ハンバーガーをこよなく愛し、そのおいしさを探求し続ける、ハンバーガー探求家の松原好秀さん。そんな、ハンバーガー界唯一の存在である松原さんに、一食の主食として満足できる、じっくり食べられるハンバーガーを紹介してもらうこの連載。第16回は、ステーキハウスが手がけるハンバーガー店「COWMAN STEAK CLUB Express」(カウマン ステーキ クラブ エクスプレス)の魅力をじっくり教えてもらいます!

【じっくり食べたいハンバーガー】第16回「COWMAN STEAK CLUB Express

「ちょっと変わったハンバーガーが食べたい!」というあなたにピッタリのお店をご紹介しましょう。今年の8月下旬に東京・神楽坂にオープンしたばかりのステーキハウス「COWMAN STEAK CLUB」です。

都内屈指の人気スポット、その目抜き通りである神楽坂通りの中ほどに、新進気鋭のステーキハウスがオープンしました。なんと! 米国ユタ州に「自社牧場」を持つステーキハウスです。自社牧場から直輸入のアメリカンビーフを卸販売・調理提供しています。

現地で部位ごとに真空パックした肉を一度も冷凍することなく、チルドで輸送。牛の品種はブラックアンガス。ロッキー山脈を望む広大な牧場でストレスフリーで育ちました。エサはホルモンフリー、完全オーガニックの飼料を使っています……というイマドキの最先端を行く、すごいステーキハウスです。

「Express」は全品テイクアウト形式の提供で、テラス席を自由に使えるシステム。「The Grill」は地下1階のL字のカウンター12席に加え、夜はテラスでも飲食可能

食べログではカウマンステーキクラブは3つのページに分かれています。まずは外に面したテラス席の「Express」。ハンバーガーはここで提供しています。1階奥のステーキレストランは「The Room」。地下1階の「The Grill」は、昼はランチメニュー、夜はバルメニューを提供。そしてもうひとつ、店内入って正面の冷蔵ケースでは肉の販売もしています。ここが「Butcher」です。

3人前“FOR THREE”の「ポーターハウス」。骨から下がフィレ、上はサーロイン

簡単にご紹介します。「The Room」は17時から営業。夜になると現れる秘密の扉の奥に33席のレストランスペース。その奥にさらに6席のVIPルームがあります。看板メニューはTボーンステーキ。850gの“FOR TWO”は2人前、1,300gの “FOR THREE”は3人前。900℃の専用オーブンで焼き上げます。コースはなく、食べたいものを好きに選ぶシステムです。

「STRIP LOIN(サーロイン)ステーキ」200g(持ち帰り用に肉のみ購入の場合2,000円、店内飲食の場合2700円)。ツンと辛くてウンと甘い「わさび醤油ソース」で食べるのがおすすめ

地下1階の「The Grill」は15時までランチタイム、17時からバルタイム。ランチのシステムがユニークです。まず1階の「Butcher」で食べたい肉を選び、それを下へ持って行くと、炭火で表面を軽く炙ってくれます。あとは各席の前にある鉄板で各自焼いて食べるという趣向。平日は「ハンバーグ」「肩ロース」のステーキが、週末は「サーロイン」「リブロース」などが人気です。

サーロイン(写真手前)とリブロース(写真奥)のブロシェット。どちらも880円

夜はステーキの代わりにブロシェット(串焼き)が登場。20gの肉が3つ刺さって1串。炭火で芳ばしく焦げた牛肉は、ステーキとはまた違う味わい。ステーキ、ペッパー、マスタードの3種類のソースが出てきます。

「肉屋のポテトサラダ」460円

こちらは「肉屋のポテトサラダ」。酸味のさわやかなポテサラと「サガリ」のローストがセットになったお得な一品。生ビールはプレミアムモルツ。つまみメニューも牛串も、すべて1階のテラスでも食べることができます。

そして本命のハンバーガー……これが変わっています。挽肉じゃないんです。こま切れにしたステーキ肉を円く固めたバーガーです。

※3枚の写真の縮尺は同じではありません。真ん中の写真はやや「引き」で、右の写真は「寄り」で撮っています

ここ数年、挽肉とハンドチョップした肉とを半分ずつ合わせて作るパティが国内で流行っていますが、カウマンのパティは5mmにカットした肩ロースのみでできています。そんなので「崩れないの?」「くっつくの?」とお思いでしょうが、前回ご紹介した「ミッケラー カンダ」のようにギューッ! と圧をかけて押し潰す方法で肉同士の結着をよくしています。その食感は挽肉のパティとはまるで別種。ステーキとも違う独特な感じで、強いて言うなら鶏肉の「ぷりん」とした感じに似ているでしょうか。

「COWMAN BURGER」1,200円。ポテトとケチャップ&マスタード付き。全品モールドパックに入ったテイクアウトのスタイルで提供

バーガーメニューは「COWMAN BURGER」たった1品。あとはトッピングで……というシンプルな構成です。パティはサイズ120g。中に少量の塩。焼く際に砕いた黒コショウをパラッとひと振り。ヒール(下バンズ)にハニーマスタード。野菜はトマトとレタス、バンズはクラシカルな天然酵母バンズ――。

「COWMAN BURGER」にチーズ100円のトッピング

おすすめはチーズトッピングです。パティの上にチーズ2枚をのせ、上からフタをして「蒸らし焼き」にするのですが、その分、熱がよく入り、ちょうどいい加減に焼き上がります。その「ぷにぷに」「クニクニ」とした独特の噛みごたえが心地よし。塩とコショウによる最小限の味付けのみで、アンガスビーフの旨味が絶妙に引き出されています。チーズの塩気とハニーマスタードの甘味もちょうど釣り合って、ワイルドな食べ口の中にも自然な調和と味付けが見られる一品です。

「COWMAN BURGER」にチーズ100円とアボカド150円のトッピングで1,450円

そこへアボカドを足したらどうなるか。肉が強いので負けてしまうのでは? と案じましたが、心配ありません。メキシコ産のハス種のアボカドを2分の1個のせているので、しっかりと存在感があります。コショウの風味と塩気をほんのりまとったパティを、チーズが膜を張るように薄ーくコーティング。そこへアボカドがマイルドにのって、これまたナチュラルな味付け。アンガス牛の肉の旨味とチーズの絡みを中心にお楽しみください。

かつて食べたことがない「コリコリ」「クニクニ」とした食感のバーガー……いや、これは新手の「ステーキサンド」かも知れません。いずれにせよ、都内で唯一ここカウマンでしか食べられない食べ物であることに違いはないでしょう。ということで、「ちょっと変わったハンバーガーが食べたい」あなたにおすすめです!

※ハンバーガーは税込、そのほかのメニューはすべて税抜価格

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は、感染症対策の実施と人混みの多い場所は避けるなど、十分にご留意ください。

※本記事は取材日(2020年11月22日)時点の情報をもとに作成しています。

取材・文・撮影:松原好秀