〈2019 食通が惚れた店〉

平成から令和へと元号が変わった2019年。外食シーンにおいても、新しい時代の幕開けを感じさせる飲食店や、グルメにまつわるトピックスが盛りだくさん。そこで、グルメ情報を熟知した方々に、2019年に最も感動したお店について教えてもらいました。「2019年のNo.1」「2,000円以下のプチプラグルメ」「2020年の注目店」をそれぞれご紹介します。

 

今回は、食べロググルメ著名人のマッキー牧元さんにお答えいただきました。

教えてくれる人

マッキー牧元
株式会社味の手帖 取締役編集顧問 タベアルキスト。立ち食いそばから割烹、フレンチ、エスニック、スイーツに居酒屋まで、年間600回外食をし、料理評論、紀行、雑誌寄稿、ラジオ・テレビ出演。「味の手帖」「料理王国」「食楽」他、連載多数。日本鍋奉行協会会長。著書に「東京・食のお作法」文藝春秋刊、「出世酒場 ビジネスの極意は酒場で盗め」集英社刊ほか。

2019年のNo.1飲食店

Q 2019年に行ったなかで、〈最も感動した飲食店〉はどこですか?

撮影:マッキー牧元

A 「割烹智映」です。

従来の日本料理や魚料理に全くとらわれず、様々な魚介と野菜の魅力を引き出した唯一無二の料理。不世出の天才である北山智映さんが作ると、今まで知っていた魚や野菜、キノコから別の魅力を感じることができる。

 

北山智映さんは、2019年12月7日に亡くなられました。ご冥福をお祈りいたします。

 

 

Q 2019年に行ったなかで、〈印象に残った一皿〉は?

撮影:マッキー牧元

A 「Restaurant État d’esprit(レストラン エタデスプリ)」の「イラブチャーの料理」です。

刺身でも加熱しても素っ気ない、沖縄の魚イラブチャーを、皮だけ取り外し、揚げるように焼き付け、身はバターの中でゆっくり火を入れ、強めの塩をして、元に戻した料理。

 

あの素っ気なかったイラブチャーが、しっとりと繊細になり、穏やかな甘みを滲ませる。粗野を、エレガントに変身させた。これこそが料理である。

 

 

2,000円以下のプチプラグルメ

Q 2019年に行ったなかで、人におすすめしたい〈2,000円以内のプチプライスで食べられる幸せ〉は何ですか?

ハスタ
出典:ハスタさん

A 「小布施堂本店」の「雁の山」です。

日本人が、和菓子に託してきた自然の美学が、この点心には息づいている。小布施から望む雁田山にちなんだ「雁(かり)の山」は、小豆あんを山に、裏ごしした栗を空に見立てた生菓子である。

 

小豆あんの甘みは、決して栗の甘みを邪魔することなく、蒸して裏ごししただけの栗は、小豆あんの思いやりに感謝して、そっと微笑む。なんとエレガントな生菓子なのだろう。エレガントとは、食べた瞬間に、現実から解き放つ優雅であり、自然の厳しさと美しさを教える品位である。この生菓子は、その真実を、静かに証明している。

 

栗あん生菓子 雁の山 650円(税込/9月10月限定商品、本店レストランで提供)

※「食べログ」に掲載されている情報をもとに、料理名・金額を掲載しております。最新の情報はお店の方にご確認ください。

 

 

2020年 注目のお店

Q 2020年、〈注目したい飲食店〉はどこですか?

写真:お店から

A 「élan(エラン)」です。

2020年1月10日に開店した、元「エスキス」の信太竜馬シェフの独立店。リオネル・ベカ氏から学んだ料理哲学と新たな食材の捉え方を、日本人としてどう展開していくのか。大いに期待したい。

 

 

文:マッキー牧元・食べログマガジン編集部