【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレー#90】「エーラージ」
2019年の東京のカレー事情を見てみると、全国的な流行にともなってスパイスカレーのお店が激増したということのほかに、南インド料理店もかなりの勢いで増えたということも言えるでしょう。南インドカレーは一般的にイメージされるインドカレーとは違うんだということが多くのカレー好きに知られるようになったのは、2009年に「アーンドラキッチン」が開店、そして2011年に「エリックサウス」が開店したあたりの2010年前後で、同時期に南インド料理専門店のオープンが立て続けにありました。
その時期を第一次南インド料理ブームとするならば、今年は第二次南インド料理ブームと呼べるくらいに南インド料理店が増えた一年だったと言えるでしょう。しかし、そのもっと前に南インド料理にこだわり、それを出し続けてきたお店があるのです。「ダバインディア?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、「ダバインディア」の開店よりもさらに前の2002年に開店した「エーラージ」です。
シェフのラージさんは、多くの名店シェフを輩出した「アジャンタ」の出身。僕の南インド料理との初めての出会いはエーラージでした。ミールスを頼んでみたらそこには沢山のカレーが並び、ご飯と一緒に混ぜながら食べて行くスタイルにワクワクしたのと同時に、それぞれのカレーのメリハリが凄く、特にマトンカレーのおいしさに驚いたのを覚えています。
その後、数多くの南インド料理の名店ができて選択肢は広がったのですが、それでも相変わらず僕の中でトップクラスに好きな南インド料理店であり続けているお店。現在は開店当時の店舗からすぐ近くの場所に移転していますが、厨房もお店も広くなったことによって様々な面で安定感が出てきています。
この日は「ノンベジミールス」1,800円と「マトンビリヤニ」1,680円をシェア。ノンベジミールスはエーラージの真骨頂を味わえる看板メニューと言えるでしょう。こちらの内容は日替わりなのですが、この日はほうれん草チキン、そして僕の大好きなモツマサラ、さらに久々のマトンキーマという肉カレーとともに、豆カレー、オクラのカレー、キャベツのポリヤル(ココナッツとスパイスの炒め煮)という贅沢な組み合わせ。
マトンキーマを食べても思いましたが、ラージさんは本当にマトンの扱いがお上手。なんでこんなにおいしくなるのでしょう。モツマサラもラージさんの自信作だけあって最高です。モツ煮込みもインドカレーも好きな方にとっては究極の組み合わせといえるでしょう。
マトンビリヤニは限定メニューなのですが、あったら確実に頼んでおくべき逸品です。骨付きのマトン入りビリヤニに、ライタ(ヨーグルトサラダ)、そしてマトンカレーのグレイビーがついてくるセットなのですが、先述した通りここのマトンカレーは最高においしい!
数々のお店でマトンカレーを食べてきましたが、今も1、2を争うくらいのおいしさで、改めて食べてみて感動しました。シナモンの本来上品な香りが上品とはいえないレベルでガツンときて、それがマトンの荒々しい旨味と見事に調和してえも言われぬ味わいに仕上がっています。
数年ぶりに復帰したホールスタッフのマリガさんとも久しぶりにお会いできて懐かしいひと時。マリガさんとラージさんの口喧嘩も相変わらずでなんだか逆に微笑ましい気持ちになりました。初めて2人の口喧嘩を聞いた方は少し驚いてしまうかもしれませんが、これが通常営業。喧嘩するほど仲が良いというやつです。そうじゃなければ一度退職したマリガさんが復活するわけありませんから。
味についてもお店のスタイルについても、良くも悪くもクセがあると言えるかもしれません。しかしそれにハマってしまったら抜け出せない強烈な魅力を持っているお店でもあります。事実、僕はこれだけ南インド料理店が増えた今でも、エーラージを愛し続けているわけですから。
余談ですがラージさんは大のクリスマス好き。そろそろやってくるクリスマスシーズンには今年もスペシャルメニューを用意してくれるのかなと期待しています。
※価格はすべて税抜