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“野菜たっぷり”がうれしい。身体が喜ぶ、定食のあるお店
ひとりでホッと一息つけるお店は、大事にしたいもの。本連載では、ひとりでも気軽に入ることができ、歓迎してくれる、おひとり様必見の名店を紹介していく。連載2回目の今回は「定食のあるお店」にフィーチャー。
野菜たっぷりの汁物、彩り豊かな小鉢、そしてお米はミネラル豊富な玄米など、普段偏りがちな栄養バランスを整えてくれる、「定食」。そんな定食でお腹を満たすべく今回向かったのは、浅草にある「食堂うんすけ」だ。ここでは昼でも夜でも栄養満点な定食を食べることができる。おひとり様が集う同店では、どのような定食がいただけるのだろうか?
その日あるものでこしらえてくれる“おばあちゃんごはん”の店
2014年に奥浅草エリアにオープンしてから、個性の光るお店として人気を集めているカレーと民藝の店、「食堂うんすけ」。店内は、カウンター4席とテーブル8席の、こぢんまりとしたつくりだが、そのなかに、店主こだわりの民藝品や絵画、書籍がずらりと並ぶ。異国の雑貨店に迷い込んだような新鮮な感覚と、仲の良い友人宅を訪問したような安心感を覚える、独特の雰囲気が特徴だ。
ひとりでふらっと訪れるお客さんも多いという同店。おひとり様にも人気の滋味に富んだ定食メニューをご紹介いただいた。
ひとつ目の定食は「民藝咖哩定食」。メインの「牛すじカレー」は、「食堂うんすけ」の看板メニューである。5時間ほどかけて作られる味わい深い一皿で、しっかりと煮込まれた牛すじはまろやかでトロトロ。具材は全て、ホクホクとしていて奥まで旨味が染み込んでいる。特にゴロンと大きな人参の、柔らかな食感がたまらない。ピリッとした辛さがアクセントとなり、食べる手が止まらない一品だ。
こちらの定食にはカレーのほかに、冷奴がついてくる。この日は、しらすののった冷奴。さっぱりとした小鉢料理で箸休めできるのもうれしい。
夜には、「ルゥだけ」というメニューがあるのも見逃せない。名前の通り、お米を抜いた「牛すじカレー」のことだ。お酒を飲む人が、シメとして食べる用に作られたという飲ん兵衛メニューは、やはりお酒と共に楽しみたい。この日は寒いので熱燗に。日本酒にあわせていただくカレーもオツである。
ふたつ目の定食は、「おばあちゃん家定食」。「一汁三菜」という縛りで、3品のおかずが日替わりの定食だ。本日のメニューを、店主である嶋田さんに聞いたところ、「何にしようかな」と回答が。メニューは、その日あるものでつくったり、店主の気分でメニューを決めたり、はたまたお客さんのリクエストに応えてつくったりすることもあるそうだ。
この日のラインアップは左から、「切りこんぶと油揚げの煮物」、「こんにゃくとごぼうのきんぴら」、「ひよこ豆のキーマカレー チーズ乗せ」、「自家製味噌の味噌汁」、「玄米ご飯」、「赤大根とかぶの漬物」。どこかやさしい味わいに、ホッとする。
味噌は、店の手作り。毎年新年に、地元の方や常連さんを店に招いて、みんなで仕込んでいるのだとか。「つくった味噌は1年ほど発酵させて完成。発酵が終わったものから順に使っているんですよ。今は11月なので2年前の新年に仕込んだ分は、もうすぐ使い切りますね」と嶋田さん。自然な甘味がやさしい味噌は、地元に愛される店ならではの味わいだ。
「おばあちゃん家で出されるような、ホッと落ち着く健やかなごはんを毎日食べてもらいたいという思いから、この定食を出し始めました。開店当初は『民藝カリーうんすけ』という店名でしたが、定食を出し始めたタイミングから店名も『食堂うんすけ』に変えたんですよ」と嶋田さんは語る。
「おばあちゃん家定食」などの定食メニューは、日々の生活や仕事で忙しく、“ちゃんとしたごはん”を食べられていないお客さんのために嶋田さんが考案したとっておきのメニューなのだ。
たしかに、どこか安心する定食の数々は、“おばあちゃん”の存在を彷彿とさせる。食べ終わると、心の底から元気になり、力がみなぎってくるのを感じた。体の栄養は心の栄養だということを思い出させてくれる。
おひとり様の訪問も多い「食堂うんすけ」。エナジーチャージをするなら、おばあちゃんごはんを食べに「食堂うんすけ」へ“帰省”してみるのがオススメだ。