おひとり様初心者なら、カウンター席で

仕事終わりに、ゆっくり自分の時間を取り戻す至福の時間。おひとり様ディナーは、マイペースに自分の時間を楽しめる、料理にじっくり向き合えるなど、大人数での食事とは違った魅力を持つ。

 

昨今、そんなおひとり様ディナーに関する漫画やドラマも増え、以前と比べて女性でもおひとり様で食事を楽しむハードルが下がった。また、おひとり様を歓迎する飲食店も増えたことからおひとり様ディナーのバリエーションも増えているそうだ。本連載では、おひとり様がゆったりと食事を楽しむために様々な観点から最適なお店をご提案。

連載一回目の今回は「カウンターがあるお店」がテーマ。カウンター越しにスタッフと会話を楽しむ人もいれば、自分だけの世界に入っておいしい料理とお酒と向き合って悦に入る人もいるだろう。そんな自由な過ごし方を提案してくれるカウンター席はおひとり様ディナー初心者にはぴったりとも言える。

 

今回紹介するのは、20〜30代女性に絶大な人気を誇る「ニューマルコ」さん。カウンター席には連日多くのおひとり様が訪れるという同店では、どのようなおひとり様ディナーが楽しめるのだろうか?

イケメンズに癒やされる!? おひとり女子が通う和食酒場

「和食×ヴァン・ナチュール」をコンセプトに5年前に三軒茶屋にオープンした「マルコ」。そんなマルコが、おひとり様でも気軽に入れるようにと手掛けたのが2号店の和食店「ニューマルコ」だ。席はカウンター席がメインで、奥に一部立ち飲みスペースがある独特の店構え。

 

大きな窓や、高い天井など、開放感のある店内には、窮屈さを感じさせない工夫が随所に散りばめられている。店中央にあるカウンターは、ひとり分のパーソナルスペースを広く取ることでゆったりと落ち着いて食事が楽しめるつくり。そんなカウンター席にはおひとり様の来店も多い。

 

とくに、女性のおひとり様の来店が多いという同店。その理由のひとつに「カウンター越しに話せる気さくなスタッフ」の存在があった。爽やかなイケメン揃いで、トーク力も、気遣いも抜群。お客さんはカウンター越しにスタッフと気軽に談笑できるため、明るくわいわいと食事が楽しめる。

 

そして、もちろん人気の秘密はニューマルコ自慢の一品料理にある。楽しいカウンターで、エッジの効いたおいしい創作和食がいただけるのが魅力だ。今回おひとり様に人気の三品をピックアップ。

「前菜五種盛り」1,580円/ハーフサイズ980円(税抜)

一品目は「前菜五種盛り」。少量で様々な料理が楽しめる人気のメニューだ。この日は、写真手前から時計回りに「合鴨とねぎの焼き漬け」、「蛇腹キュウリの浅漬け」、「柿とくらげの胡麻和え」、「菊のえのきの酢の物」、「白身魚の南蛮漬け」の五品。

 

「その日その日の食材の仕入れによってはもちろん、お客様の雰囲気や好みに合わせて内容も変えていけるようにしています」と教えてくれたのは、マネージャーの中村さん。お客様にあわせて柔軟に対応してくれる、その丁寧な心配りがうれしい。

「鶏そぼろとマッシュルームの揚げ饅頭」780円/ハーフサイズ400円(税抜)

二品目は「揚げ饅頭」。季節によって旬なものを組み合わせて提供してくれるこちらは、今回「鶏そぼろとマッシュルームの揚げ饅頭」をご紹介。じゃがいもをベースにした饅頭には鶏そぼろが一緒に混ぜられていて、その上にかつおと昆布で出汁をとった温かい餡がたっぷりかけられている。スライスしたマッシュルームは、あえて生の状態で上から温かい餡をかけることによって、マッシュルーム本来の香りを楽しむことができるそうだ。

 

隠し味は、溶かしバター。より味に深みを生み出してくれる。豪快に崩して、とろとろの餡と一緒に、すくって食べるのがオススメの食べ方だそう。

「いくらのおにぎり」880円/ハーフサイズ450円(税抜)

〆にオススメの三品目は、こぼれんばかりのいくらが贅沢にのった「いくらおにぎり」。いくらは北海道産の筋子を丁寧にほぐし、かつおと昆布の出汁をきかせた醤油に漬け込んでいる。お米は、新潟の岩船産のコシヒカリを使用。噛みしめると感じるしっかりとした甘みが特徴のお米だ。しっかりと漬け込まれたいくらと、炊き立てのお米の相性は言わずもがな抜群である。思わず写真に収めたくなるビジュアルは、若い女性に人気の一皿。

「BRFジンジャーシロップミルクハイ」600円(税抜)

ここではクラフトビールや自然派ワインも豊富に取り揃えているので、食事に合わせてお酒も楽しむことができる。

なかでもオススメなのが、駒澤大学にお店を構える「BROOKLYLN RIBBON FRIES KOMAZAWA」のジンジャーシロップをミルクと焼酎で割った「BRFジンジャーシロップハイ」。

 

「お酒を飲まれるお客様は多いですが、お酒があまり得意ではない方でもオススメ。甘くスパイシーな味わいで、特に女性に人気のお酒です」と中村さん。

生姜の華やかな香りと牛乳の組み合わせは、まるでチャイのような風味で、一口飲めば癖になるおいしさ。割るお酒は、お客様の好みに合わせてラムにカスタムも可能だ。

マルコ系列全店を取り仕切るマネージャー、中村錬さん。笑顔が魅力的だ

「なにを頼もうか悩んでいる方がいらっしゃったらおすすめの食事を提案したり、2名様以上のお客様には食事を取り分けて提供したり。お客様が心地よく食事を楽しんでいただけるように、日々心がけています」と語るマネージャーの中村さん。ゆっくりと過ごしてもらうための気配りは、スタッフ全員に共通している。

 

サービスが行き届いた繊細で丁寧な創作料理、そしてイケメンスタッフと談笑できるカウンターが同店の人気の秘訣。贅沢なひとり時間を過ごすなら、一度訪れてみてはいかがだろうか。

 

中華だってお好み焼きだってひとりで楽しめる、カウンター越しでのおいしい出会い

贅沢なひとりディナーを楽しむなら、おひとり様を歓迎してくれて、おいしい料理を楽しめる、カウンターのある名店を。きっとまた訪れたくなる、とっておきの4店をご紹介。

1. 木のぬくもりを感じるカウンター席で楽しむ、クラフトビールと絶品餃子「原宿タップルーム」

「タップルーム餃子(三個)」400円(税抜)/出典:natsugouさん

原宿・竹下通りの脇道に入った、ビルの2階にあるクラフトビアパブ。場所柄、アパレル関係のオシャレな女子のおひとり様も多い。木のぬくもりを感じるカウンター席がメインの店内で、カジュアルにベアードビールと食事を楽しむことができる人気店だ。

出典:natsugouさん

フードメニューは焼き鳥を中心にポテトサラダやかつおたたきといった居酒屋のようなラインアップ。どれもお手頃価格なので、ひとりでも様々な料理を楽しむことができそうだ。

「タップルーム餃子」は、餡がぎっしりとつまったジューシーな一品。ビアバーで出てくるとは思えないほど本格的なおいしさだ。ビール×餃子の絶対に外さない、鉄板の組み合わせをぜひ楽しんでいただきたい。

2. 古民家を改装したアットホームなカフェビストロ「mimet」

「本日のパスタ」1,400円〜(税抜)/出典:shelliemiffさん

松濤の人気店「cuisine et vin aruru」の姉妹店で、女性がひとりでも気軽に入れるようにつくられたというカフェビストロ。住宅街の中にある古民家を改装しており、1階はビストロ、2階では雑貨や服などを販売している。

出典:ナマダさん

温かい間接照明に照らされた手作り感のある店内には、かわいらしいオブジェや小物がずらり。どこか懐かしさを感じさせる内装は、女性から支持される理由のひとつだ。

 

「cuisine et vin aruru」でも人気のキッシュはもちろん、実はパスタも絶品。日替わりのパスタはシンプルながらも飽きずに楽しむことができる。
おひとり様ディナーはもちろん、ホットケーキといったスイーツも人気メニューなので、夜カフェとしてゆっくりとした時間を過ごすのもおすすめ。

3. 60年以上も愛される老舗台湾料理の二号店は、普段使いに持ってこいの穴場店「麗郷 富ヶ谷店」

東京で人気の台湾料理店といったら、老舗店である「麗郷」が有名だ。本店の道玄坂店は100席以上もある広い店内で、グループ客も多いこともありとても賑やか。

「五目炒飯」900円(税抜)/出典:nabechawanさん

一方で、富ヶ谷店は流行のスポット「奥渋」に位置しており、仕事終わりのお客様も多く、ふらっとひとりでも入りやすい。肩ひじを張らずにひとりでも本格台湾料理を楽しむことができる穴場店だ。

川井 潤
出典:川井 潤さん

「五目炒飯」は干し海老、焼豚、ハム、卵、グリーンピースが入っていて具沢山。パラパラの炒飯は口にいれると海老の香りがふわっと広がり、れんげがどんどん進むおいしさ。歴史ある名店の味を普段使いで楽しみたい。

4. 赤提灯ともみじが目印、東京のど真ん中で味わう広島本場のお好み焼き「もみじ屋」

肉玉ソバ 850円(税抜)/出典:utsuroさん

本場の広島お好み焼きが楽しめると広島出身の人たちからも人気の「もみじ屋」。
店名でもある、もみじを象った扉を開けると、活気にあふれた店内にはカープグッズが一面に飾られていて広島愛を感じる。

nifucchi
出典:nifucchiさん

鉄板が目の前にあるカウンター席に座れば、おたふくソースの甘く良い香りが鼻をくすぐり、更に空腹に拍車がかかる。テンポの良い手捌きでお好み焼きが出来上がっていく様子をみられるのはこちらのカウンター席の良さだ。

 

やはりここはオーソドックスに看板メニューの「肉玉ソバ」を頼みたい。たっぷりの細切りキャベツは、加熱されてとろっとした歯ごたえ。キャベツ本来の甘みが際立ち絶品だ。そこへ細麺のソバとソースが絡まることによって、口の中で一体感を醸し出す。お好みでマヨネーズをかければおいしさも倍増。せっかくのカウンター席。ツウを気取るなら、アツアツの「肉玉ソバ」をヘラを使ってフーフーしながら食べていただきたい。

 

※「食べログ」に掲載されている情報をもとに、料理名・金額を掲載しております。最新の情報はお店の方にご確認ください。

カウンターでの過ごし方はあなた次第。楽しみ方は無限大

仕事終わりにサクッと食事をするのもよし、お店のスタッフや隣のお客様と楽しい会話を楽しむのもよし。あえて自分ひとりの世界にゆっくり浸るのもまた有意義だ。お気に入りの店で極上のひとり時間を楽しんでみてはいかがだろうか。次回は、「定食のあるお店」をご紹介。お楽しみに。

 

取材・文:福島久仁恵
企画:天野成実(Roaster)
撮影:栗原大輔(Roaster)