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お菓子の歴史を語らせたら右に出るものはいない! といっても過言ではない、お菓子の歴史研究家・猫井登先生が、現在のトレンドを追いつつ、そのスイーツについて歴史を教えてくれちゃうという、一度で二度おいしいこの連載。第16回は、高級住宅地としても知られる、東急東横線沿線のスイーツ店を紹介します。
【猫井登のスイーツ探訪16・前編】〜東急東横線・都立大学駅周辺でスイーツ巡り〜
食べログマガジン編集部
今日は東急東横線・都立大学駅からスタートということですが、この辺りのスイーツにはどんな特徴があるんですか?
猫井先生
このあたりは、目黒区の中でも高級住宅街として知られ、多くの政治家、芸能人などが住んでいる街ですからね。それなりの歴史をもった、落ち着いた感じのハイグレードなスイーツ店が多いですね。そんな中、まずは由緒ある和菓子屋さんから紹介したいと思います。
【1軒め】「ちもと」
猫井先生
今年で創業54年の和菓子店ですね。東京にあった本店で修行した職人さんたちが暖簾分けをしてもらい、それぞれ、軽井沢、箱根、そして、こちら都立大学にお店を構えられました。
食べログマガジン編集部
こちらの名物はどんなお菓子なんですか?
猫井先生
なんと言っても、「八雲もち」でしょうね!
食べログマガジン編集部
ちまきみたいな見た目ですね! 中はどうなっているんでしょうか?
猫井先生
専門的に言うと、羽二重粉(もち粉)に上白糖、黒糖を混ぜ合わせたものに、メレンゲ(卵白)と寒天を混ぜたもの(和菓子では泡雪という)、砕いたカシューナッツを合わせたものということになりますが……。まあ、分かりやすく説明すると、カシューナッツ入りの黒砂糖風味の求肥ですね。とても柔らかで、黒糖のコクのある甘みに、カシューナッツの食感がいいですよ。
食べログマガジン編集部
和菓子にカシューナッツって珍しいですね。
猫井先生
そうですね。もともと、本店にあった「ちもともち」に何か独自性を加えられないかと考えていた職人さんが、偶然食べた中華料理にカシューナッツが入っていて、ひらめいたらしいですよ。
食べログマガジン編集部
なるほど! だから見た目もちまきっぽいのかもしれませんね!