ハンバーガーをこよなく愛し、そのおいしさを探求し続ける、ハンバーガー探求家の松原好秀さん。そんな、ハンバーガー界唯一の存在である松原さんに、一食の主食として満足できる、じっくり食べられるハンバーガーを紹介してもらうこの連載。第11回は、雰囲気抜群のテラス席で味わえる、東京・自由が丘「BAREBURGER(ベアバーガー) 自由が丘店」のハンバーガーの魅力をじっくり教えてもらいます!

【じっくり食べたいハンバーガー】第11回「BAREBURGER 自由が丘店

実力はあるのに世間の評価がイマイチ伴わない“過小評価気味な名店情報”を裏テーマにお届けしている本連載ですが、今回は「食べログ ハンバーガー 百名店」に3年連続で選出されている名店中の名店をご紹介します。なぜなら……テラスが素敵だから!

お店の入り口にはグリーンがいっぱい

こちら「ベアバーガー 自由が丘店」は、米・ニューヨーク生まれのハンバーガーレストラン「BAREBURGER」の日本1号店です。日本国内ではアパレルブランドの「トゥモローランド」が運営しており、ベアバーガー 自由が丘店のある小さな街「メープルファーム」自体がトゥモローランド発祥の地でもあります。

素敵な緑のアーチをくぐると、カエデの木が植わる中庭があり、その木の周りに現在4卓ほど席が置かれています。中庭と言うより、スペイン語で言う「パティオ」ですね。イタリアや南仏が舞台の映画に出てきそうな、まるで時間が止まったような田舎町の風景。あんな感じです。都心のど真ん中を少し離れた自由が丘だからこそ味わえる、のんびりスローなこの空気。時を忘れてお楽しみください。

ベアバーガーは、この中庭に向いた席数100席ほどの大きなお店です。店内は1階と2階の4つの部屋に分かれていて、さすがアパレルブランドのプロデュースだけあり、どの部屋もオシャレ! 授乳スペースも用意されています。あと、キッズメニューの出数がハンパないそう。自由が丘という場所柄、女性に大人気のハンバーガーレストランです。

NYで定番の「スイート フライ」600円〜。セットメニューのポテトにも選択可。日本で一般的に使用されている品種よりも糖度の低いオレンジ色のサツマイモを使い、自然な甘さ。シェイクにディップして食べる人も

ベアバーガーの一番の特徴は“オーガニック”。ホルモン剤や化学肥料を使わない食材、添加物を極力含まない食材でハンバーガーを提供しています。USDA(米国農務省)やJAS(日本農林規格)の認証を受けた調味料などを多く使用。ワインもオーガニック、ボトルビールもオーガニック。コーヒー・紅茶もオーガニックの豆や茶葉で淹れたもので、シロップやシュガーも有機です。

「シュプリーム」1,580円。フライドポテトの上から有機トマトケチャップを使ったスペシャルソース。ゴチャゴチャっとしそうなところをオニオンリングの食感が「ガリッ」とまとめて意外な食べやすさ

バーガーメニューはレギュラー9品。ランチタイムはポテト・ドリンク付き1,350円から食べられます。「カウンティ フェア」「ザ スタンダード」辺りが基本のバーガーですが、今回はメディアへの露出も多い「シュプリーム」をご紹介しましょう。

豪州産のオーガニックビーフ「オーべビーフ」使用の150gパティと、新宿「峰屋」のブリオッシュバンズの組み合わせに、ニュージーランド産のエグモントチーズ、めずらしい豚肩ロースのベーコン。そこへオニオンリングが外と中に計3つ、フライドポテトが4本ほど入った、揚げ物多めなパワフル系バーガーですが、ところがこれが意外な食べやすさ。

サイドメニューの「ハウスメイドオニオンリング」は500円~。オリジナルブランドのスパイスで味付けした衣をつけてフライに。黒く見えるのは乾燥パセリ

甘めなバンズに、挽肉の適度なパラパラ感。そこへオニオンリングが“ガリガリ”とエッジを利かせて、これがナイスアクセント! TBS『マツコの知らない世界』のオニオンリングの回で“ガリガリ系”代表で取り上げられた“オニリン”で、北海道産のオーガニック玉ねぎ(※季節により変わります)をNon-GMO(非遺伝子組換え)のキャノーラ油で揚げています。もちろんサイドメニューにもおすすめ!

数量限定「トゥモローバーガー」2,480円。尾崎牛をこんな乱暴な食べ方で食べることの贅沢! 中身は生野菜3点にスペシャルソース、ブリオッシュバンズというシンプルな内容で、とにかく主役は尾崎牛!

そしてブランド牛を使ったバーガーとして有名なのが「トゥモローバーガー」。パティにあの「尾崎牛」を使った贅沢この上ないハンバーガーです。パティのサイズはレギュラーパティと同じ150gですが、パン粉や玉ねぎなどの“つなぎ”を中に入れています。これは、溶け出した脂を受け止めるため。和牛は脂が溶けやすく、グリルの際にどんどん流れ出します。パティの形がいびつなのもそのためです。2,480円しますが(前はもっとしました)、騙されたと思って食べてみてください……。

パラリとした肉粒感のオーべビーフパティに対し、こちらはしっとりやわらか、赤身の味がまぁ~濃厚! ソースの味を押しのけて、黒毛和牛の濃い肉の味わいが終始力強く利いています。噂通り! 一年に一度はその味を確かめたくなる至高の一品!

シェイクは「バナナフォスターミルクシェイク」880円ほか全3品

ドリンクはシェイクが人気。メニューには「ミルクシェイク」とありますが、牛乳は入っていません。バニラアイスをミキサーにかけ、そこへハウスメイドのキャラメルソースやチョコソース、有機認定のピーナッツバターなどが加わります。「バナナフォスターミルクシェイク」はバナナが1/2本入って、まぁ~甘~い!

「グリーン モヒート」700円。なお、この白いストローは、植物由来の原料で作った「バイオマスストロー」です

もう一杯。夏なのでモヒートで涼みましょうか。ミントの葉っぱがしっかり多めのモヒートです。「グリーン」と「レッド」の2種類あります。有機ライムジュースを使用。以前はラムもオーガニックラムでした。梅雨の晴れ間の昼下がり、強い日差しの下、パティオで飲むモヒートは爽快!

見た目もボリュームもごっついイメージのバーガーですが、食べてみると、味も作りも案外軽く、スルッと胃の腑に収まって、やはり女性に人気のバーガーです。なお、ベアバーガーの“ベア”は「ありのまま」といった意味の“bare”で、クマの“bear”ではありません。が、マスコットキャラクターとしてクマがガンガン使われてます。オシャレでかわいいTシャツ、バンダナ、トートバッグetc……ガンガン販売中!

※価格はすべて税抜

※外出される際は、感染症対策の実施と人混みの多い場所は避けるなど、十分にご留意ください。

取材・文・撮影:松原好秀