予約してでも行きたい! 北参道にオープンした新星パティスリーが作り出す“おかし”とは?
「The Tabelog Award 2019」でGoldを受賞するなど、連日予約の絶えない圧倒的人気を誇るフレンチレストラン「ボニュ」。そんな同店でグルマンたちを唸らせてきた名パティシエが、東京・北参道に「おかしやうっちー」なるパティスリーをオープンしたという噂を耳にし、即予約! 高まる期待を胸に、意気揚々と店へ向かった。
場所は、副都心線・北参道駅から徒歩4分、JR総武線・千駄ケ谷駅から徒歩7分ほど。メインの通りからひとつ脇道に入った通りにある建物の1階、ガラス張りの入り口が新星パティスリーの目印だ。
ドアを開けると早速、可愛らしさ満点のお菓子たちが出迎えてくれた。この日のラインアップは、フランス産クリームチーズと水のみで作った「水のレアチーズ」480円、新潟の素王卵と牛乳と砂糖だけで作った「プリン」400円など。いずれも、お手頃なものが多く、様々なスイーツとの出合いを気軽に楽しめる。
店の奥には、カウンター席が4つある。おかしの製造はシェフ一人で行っているため、予約は1日に1〜5組限定。また、予約すれば、テイクアウト用のおかし含め、作りたてのケーキを店内で味わうこともできる。
席に着くと、キッチンに面した小窓から、オーナーシェフの内山裕介さんが直接ケーキをサーブしてくれる。「Toshi Yoroizuka」をはじめ、フランス・パリ、リヨンなどの洋菓子店から、和菓子の「一幸庵」まで、様々なジャンルの製菓経験を持つ内山シェフの「洋菓子、和菓子などのジャンルにとらわれず、ここにしかない“おかし”を作っていきたい」という思いが込められたおかしの中から、今回は2つのケーキをいただくことに。
まずは、スペシャリテの「みるく3号」2,700円。内山シェフの作るショートケーキは、前述の「ボニュ」でも不動の人気を誇るスイーツのひとつで、これを目当てに同店を目指すという人も少なくないはず。そのショートケーキの「おかしやうっちー」バージョンとくれば、いやが上にも期待が高まってしまう。
真っ白なクリームで包まれた生地の中にはどんなフルーツが入っているのだろう? そんな想像とともにはやる気持ちを押さえつつ、ゆっくりナイフを入れると、その断面が露わに。
なんと、その正体は“みるく”の名のとおり、スポンジとクリームだけで構成された、ミルクが主役の究極にシンプルなショートケーキだった! そして一口食べて、さらに衝撃。まるでソフトクリームを食べているかのように滑らかで軽い口どけのクリームと、ほんのり甘くしっとりとしたスポンジのバランスが最適で、ひと口、またひと口とフォークを運ぶ手が止まらなくなってしまうのである。
しっかりとしたコクは感じるのに、なぜこんなにも口当たりが軽いのだろう? そんなことを考えていると、その絶妙な食感の秘密について内山シェフが明かしてくれた。
「生クリームの乳脂肪分は20%程度。通常は38%〜47%
直径10cmほどの大きさにしては少しお高めに感じる人もいるかもしれないが、素材選びの段階から手間ひまをかけ、徹底して丁寧に作り上げられたものだからこそ得られる食後の圧倒的な口福感を体験すれば、その価値にきっと納得できるはず。
また、ショートケーキはみるく以外に、季節のフルーツが入った「季節のフルーツみるくショートケーキ」3号/3,300円〜もあるので、クリーム×スポンジの二重奏のみならず、そこにフルーツも加わった三重奏を楽しみたいという人は、そちらもおすすめ。
そしてもうひとつは、フルーツタルトから、「巨峰のタルト」780円。全粒粉で作られたタルト生地に、巨峰のピューレ、カスタードクリーム、トップには巨峰の山がずっしりとのっている。フレッシュな巨峰のジューシーさもさることながら、特筆すべきは全卵を使用したカスタードクリームの滑らかさと、その中からじわりと出てくるピューレが表現する独特の渋み。
「カスタードクリームってこってりした印象を持つ方も多いと思いますが、素材のバランスによって全然変わってきます。うちでは全卵を使用しているので、舌触りもかなり柔らかく、後味もすっきりとした味わいに仕上げています。また、ピューレは、実と一緒に皮もすり潰しているので、巨峰ならではの皮の渋みも味わっていただきたいです」と、内山シェフ。
なお、フルーツタルトに使用されるフルーツは時期によって異なるため、季節ごとに新しいフレーバーとの出合いを体験できる。
一度味わえばきっと、内山シェフが作り出す、素材の良さを最大限に活かしたおかしの数々に可能性を感じずにはいられないはず。持ち帰って自宅でじっくり味わうのはもちろん、予約の手間を惜しまず、イートインならではのフレッシュな食体験を堪能してほしい。
※価格はすべて税抜