おしゃれフードトレンドを追え! Vol.41

腸内環境改善で健康に! 晩夏にこそ発酵食品を

想像を超える暑さが続いた今年の夏。打ち合わせや取材で外出すれば即汗だく、部屋の冷房は24時間つけっぱなし、SNSの仕事で四六時中スマホ画面を操作し、原稿書きで長時間PCの前に座り続けているファッションエディター達は体のだるさが極限に達している。そんななか、仕事仲間と話していて話題に上るのは当然、「どうやったら疲れが取れるのか」という話だ。

 

今まで美容と健康のためなら先陣を切って色々と試してきたファッション業界の女性たち。これまではジュースだけで3日間、寝かせ玄米だけで10日間、グルテンフリー、砂糖抜き、ケトンダイエット(赤肉食べて糖質オフ)、断食といった“〇〇を抜く”的なマイナス型健康維持策がメジャーだった。それが今年は違う。何かを抜くのではなく、今の気分は発酵をプラスすること。前向きに発酵を日常に取り入れてハードな疲れをやっつけよう!というマインドになってきている。

「マリッカエンザイム」の酵素ドリンク(写真:美人ファッションPR、S.YさんのInstagramより)

最近、意識高い系女子の間で人気急浮上しているのが、「マリッカエンザイム」の酵素ドリンク。美人ファッションPRやエディターたちのインスタに続々投稿されているのを見て、1本1000mlで6,480円という値段に震えながら私も試しに買って飲んでみたが、なるほど自然な果実感と酸味が爽やかで美味。スパークリングウォーターで希釈して飲んだり、日本酒をミックスしてロックで飲んでみたりしている。夏は胃腸炎や消化不良で悩まされていた私だが、今年はなんだか調子がいい。もちろん、酵素ドリンクのおかげだけではないと思うのだが。このドリンク、75種類のフルーツと野菜を3年半以上沖縄県産の黒糖で発酵させたエキスを使っているそうで、発酵パワーが高いらしい。手作りが得意な人たちは梅やリンゴの酵素ジュースを仕込んでいるようだ。

 

そもそも、発酵食品は何が体にいいのか? ご存じの通り日本にも伝統的な発酵食品は多い。醤油、味噌、納豆、みりん、かつお節、漬物、米酢などの食品は全て発酵食品。微生物の働きで人間にとっていい食物へと変化した食品で、発酵させることで風味が増して味に深みが出るなど、元の食材以上の魅力を持っている。健康的観点から見れば、例えば納豆には血栓を溶かして血圧を下げる効果があると言われており、 味噌は疲労回復や老化防止、ヨーグルトには整腸作用など、とにかく我々の腸内環境を整えて善玉菌を増やして免疫アップする効果もあるといううれしいことだらけの食品だ。

発酵居酒屋5の「発酵5定食」

昨年あたりから青山の「発酵居酒屋5」(カフェカンパニー経営)には、からあげランチを求める行列が絶えないし、発酵デザイナーの小倉ヒラクさん(東京農業大学の醸造学科研究生として発酵を学び、全国各地の醸造家たちと商品開発や絵本・アニメの制作やワークショップを行う発酵界の伝道師)の会期3ヶ月間に及んだ渋谷ヒカリエの展覧会 Fermentation Tourism Nippon 〜発酵から再発見する日本の旅〜 (通称『発酵ツーリズム展』)は、入場者数がなんと5万人。「発酵」というレアなテーマのイベントにこれだけの盛り上がりとは、やはり今年は発酵が熱いらしい。

Kabiのメニューより(写真:美人広報・M)

さて、おしゃれ業界の人たちがこぞって集まる発酵レストランと言えば、やはり「Kabi」であろう。国内外の星付きレストランで修行を重ねたシェフが、日本の伝統的な技法「発酵」を使って生み出す斬新な料理が目にも舌にも新しい。既に有名な人気店なので再びここでの紹介はしないが、未踏の方は一度訪ねてみると、今のムードが味わえるはずだ。日常的においしく発酵を取り入れたい方にはぜひ以下の2店舗をご紹介したい。

腸内からヘルシーに! 発酵パワーを取り入れるならここ

発酵学者考案メニューが人気の文化発信型日本食レストラン:豊年萬福(日本橋)

日本の伝統食をテーマにした文化情報発信型のレストランで、日本橋の川沿いにある大きな江戸風建物。浮世絵が飾られた壁面や行灯風の照明がジャパン!な雰囲気で外国人客にも受けそうな店内だ。発酵学者であり東京農大の名誉教授である小泉武夫氏による講座が開かれ、さらにディナーでは小泉氏考案の発酵メニューが食べられる。

ランチの冷汁定食 1,100円(税抜)

小泉先生の酒粕床漬けの食べ比べ760円、旬鮮魚のヨーグルト味噌漬焼 長芋の醤油麹焼を添えて 860円、いしる風味のスルメ烏賊の肝バター陶板焼 960円など通好みする日本の様々な土地の郷土料理に着想を得ているものだ。ランチメニューは海鮮丼や牛スジ鍋膳、など発酵以外の和食だが、必ず添えられているのがぬか漬けと味噌汁。1,000円(全て税抜)からと手頃な価格で日本の伝統食ランチを味わえる。

レジまわりにはフグの子醸し漬けやかんずりといった発酵食品が販売されている。日本の発酵食文化の情報発信者、小泉先生は270年続く福島の老舗酒蔵に生まれ、麹菌の中で育った、“生まれながらの発酵屋”を自称されている。発酵第一人者が提案する和食を日本橋で!

厳選した数々の発酵食品とヨーグルトが食べ放題:ブルガリアンダイニング トロヤン 銀座

ムサカ(ジャガイモとひき肉のオーブン焼き)
キュフテ(ブルガリア風ハンバーグ)

欧米で長く親しまれている発酵食品、ヨーグルトをふんだんに使った、日本で唯一のブルガリア料理専門店はランチがお得でオススメだ。ジャガイモとひき肉のオーブン焼き(ムサカ)、ブルガリア風ハンバーグ(キュフテ)などメインを一つ選んで、あとはバイキングで前菜&ドリンク類が食べ飲み放題だ。メインディッシュの肉にもヨーグルトソースがかけられている。

さらに取り放題のサラダバーには、ハーブを利かせた酸味のあるヨーグルトスープ、チーズをおろしたサラダ、水切りヨーグルトのサラダ、ヨーグルトドリンクなど発酵食品だらけ。酸味が爽やかで、ハーブ使いもほんのり優しくて家庭的なホッとする味だ。60分制、1,100円(税抜)で腸内環境が好調になる。

 

多くの医者が「病気の根源は腸内環境の悪さにある」と、指摘している昨今。乳酸菌などはサプリメントもあるが、発酵食品を食事として摂取しないと腸内環境は効果的に改善しないらしい。疲れてきたなと感じたら、発酵食品。仕事の合間に発酵ランチに駆け込めば、午後の課題もクリアできそうな気がする。

発酵フード目的で訪れたい、 余呉湖ほとりのオーベルジュ

徳山鮓の「ますこ」

そして今度のリゾートは是非、滋賀県・琵琶湖の北にある小さな湖、余呉湖のほとりにある和のオーベルジュ徳山酢へ! 周囲は山々と田園風景に囲まれ、日本の原風景を眺めながら、発酵料理、自然の恵みに満ちあふれた食事を味わえるとあってはるばる東京から美食家のおしゃれ人たちがこぞって駆けつけているそうだ。発酵は今、旅の目的にもなっているのだ。

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撮影・文:小泉恵里