東京にある「リトル・ヤンゴン」とは!?
今回ご紹介するのは「ミャンマー料理」。1989年までの国名は「ビルマ」だったので、世代によってはそちらの方が馴染み深い、という人も多いかもしれませんね。これまでは、日本でもマイナーな存在だったミャンマー料理ですが、食べられる店が最近増えてきています。
特に、都内のとあるエリアはミャンマー料理店が集まっていることで有名に。それはどこかというと「高田馬場」。もともと日本語学校が多いことから、さまざまな国の人が行き交う多文化タウンだった高田馬場。ミャンマー料理の店もそんないくつかの外国料理店の一つだったのですが、人が人を呼び、いつしかミャンマー人コミュニティが拡大! 今ではミャンマー最大の都市・ヤンゴンをもじって「リトル・ヤンゴン」と呼ばれるように。800人以上のミャンマー人が高田馬場周辺に暮らし、彼らをターゲットとした飲食店や雑貨店は約20軒とか。
そんなわけで、高田馬場では容易に食べられるミャンマー料理。ただ、「まだ食べたことがない」という人も多いと思うので、最初にミャンマー料理を知るための基礎知識を。
まず、ミャンマーは前回ご紹介したネパールと同じく“他民族国家”です。ただ、宗教に関しては9割が仏教徒なので、肉料理に関してはバラエティ豊か。基本的にはスパイスの使用は控えめで、日本人の口にもすんなり合う優しい味が多い印象です。しかもさまざまな国と国境が接しており、南東はタイ、東はラオス、北東と北は中国、北西はインド、西はバングラデシュと隣接。国境付近の地域は両国の料理の特色を持つこともあり、そういう意味でも興味深い料理が多いんですよ。
というわけで今回は、ミャンマー料理の中でも民族的な特徴がある2店舗をご紹介。
ノング・インレイ(高田馬場)
ドラマ『孤独のグルメ』にも登場した有名店なので、ご存じの方も多いかも。こちらではミャンマーの民族の一つ、シャン族の料理を食べることができます。
ミャンマー東部のシャン州をはじめ、中国南部の雲南省、ラオス北部、タイ北部にまたがる地域に点在するシャン族。全体的に油をしっかり使うことが多いミャンマー料理ですが、シャン族の料理は油が控えめなので日本人でも食べやすいものが多いのではないでしょうか?
発酵食品が多いのも特徴で、発酵調味料独特の風味は、味噌や醤油で育った日本人にはすんなり受け入れられるものだと思うのです。特にシャン族では、日本の納豆と酷似したものが食べられています。このミャンマー納豆を使ったチャーハンもあるので、ぜひお試しあれ。
また、この店は「昆虫料理」が食べられることでも知られています。壁に貼られた「本日のおすすめ」の張り紙には、ずらりと並ぶ「竹蟲」「蚕」「コオロギ」の文字。「えっ!?」と思うかもしれませんが、そもそも日本でもイナゴや蜂の子などを食べるエリアもありますし、山岳部に住む人達にとってこれらは大事なタンパク源。食文化が多様であるということは、また“豊かさ”だとも思うんですよね。そんなリスペクト込みで、ぜひ試してみてください。