51年間、多くのファンに支持された「排骨担々麺」の味とは?
2019年7月8日にオープンした「Renge no Gotoku」。初日は朝からすごい行列ができていた。その多くは看板メニューの「排骨(パイクー)担々麺(税込980円)」目当てである。
実はこの店、渋谷駅前再開発で惜しまれつつ閉店した名店、「亜寿加」の味を引き継いでいるという。ラーメン愛好家が通い続けたその魅力は、丸鶏、豚ガラ、鶏ガラ、香味野菜などから取る透き通った出汁に、自家焙煎した胡麻を使った胡麻ペースト、数種類の唐辛子をブレンドした自家製ラー油で作る絶品スープ。そのスープが絡んでも負けないくらいおいしさが際立つ細めのストレート麺。そして、ほんのりとカレーの味がするカリッカリの衣を纏った三元豚のジューシーな「排骨」。これらが三位一体となって喉を通った時の破壊力は想像以上なのである。
まずはスープをひと口。醤油ベースでサラッとしていて思ったより辛さはない。自家製ラー油は瞬発ではなくじんわりとまろやかに広がってくるタイプだ。胡麻は店内で焙煎しており、香りと風味が十分にある。これは危険だ、一滴残らず飲み干してしまうではないか。
続いて麺を食す。強力粉のみで練ったシコシコの細麺はスープに負けじと、ものすごい存在感で攻めてくる。担々麺はどちらかというとスープに注目しがちだが、こちらは麺でも勝負できるレベルである。
そして真ん中に鎮座するのは、三元豚にオリジナル配合の衣をつけて揚げた排骨。注文を受けてから揚げるのでカリッカリである。薄切りでもうまみたっぷり。サービスでつくライスにのせてミニ丼にしても楽しめそうだ。
復活の裏には、味と接客に惚れ込み15年通い続けた社長の想いがあった
長い間ラーメンの名店として愛されてきた「亜寿加」が、渋谷駅前開発のためにやむなく閉店したのは2018年11月のこと。そこで、15年ほど前から排骨の衣と担々スープの味に惚れ込み通っていた株式会社上昇気流の笹田隆社長が、店長だった原子力(はらこちから)さんと一緒に約8ヶ月かけて、前と同じ渋谷・桜丘町にて「Renge no Gotoku」として、メニューも味も完全復活させた。
「あとを引くうまさがたまりません。前オーナーや奥さま、店長の、テキパキとした中にも温もりのある飾らない接客と、名店の雰囲気が好きでした」と話すのは笹田社長。場所は変われど、味も接客も再現している。さらに、清潔感のある空間は女性も入りやすく新たなファンが増えそうだ。
「蓮のようにどんな泥の中からでもすっと茎を伸ばし、美しい花を咲かせ多くの実をつける。そういう風に美しく繁栄する幸せとおいしさをめざしたい」との想いで名づけた店名。名店の味を受け継ぎ、今まで以上に愛される店になるだろう。