TOKYO HIP BAR vol.45

あなたは神(ジン)を信じますか?

世の中にコンセプトのあるバーは数多あれど、おそらく日本のここにしかないコンセプトはなんと“神”!?

極彩色とネオンサインで彩られたマリア像や、巨大なお面、長い髭の生えたトラ。壁からカウンターまで、数々の神々の像に囲まれているのが渋谷の「GOD BAR」です。

このプロデュースをしたのは編集者でもあり、さまざまな場づくりをしている「東京ピストル」の草彅洋平さん。仕事で訪れたベトナムで、偶然入った教会で電飾のついたキリスト像を見つけたことがきっかけで、神様の像のコレクターとなったといいます。サイケデリックな色合いの神の像の数々は、なんと実際にアジア各地の教会や仏具屋にあるものだそう。やがて家中が“神グッズ”だらけとなり、その中でお酒を振舞っていた企画を、お店としてスタートしました。

自らもベトナムの新興宗教であるカオダイ教の信者が身にまとう白いアオザイ姿で、カウンターに立つ機会もある草彅さん。お店のシグネチャーカクテルは、その名も“神(ジン)トニック”です。

仏具である“おりん”に入っているのは、オーナーが季節ごとに選んだジンで作られたジントニック。冬にはフルーツの風味が効いたフィンランドのジンにりんごのスライスが添えられたアレンジに。おりんの冷たさがジントニックを冷やす効果があるとともに、その重さになんとなく有り難さすら感じます。

一見遊んでいるように思えるこのスペースですが、東南アジアでは自分たちが愛する神や仏をもっと美しくしようという思いで、この表現になっていったのではないかと草彅さんは推測します。メニューには編集者らしくお酒とお酒のストーリーも紡がれます。

世界でも日本でも

お酒と神は昔から好相性だった

 

「古代人の生活において神の恵みである神聖な飲み物であったビールは、神や死者への供物リストにたびたび登場していたり、ギリシャ神話にもローマ神話にもワインの神が存在します。また、日本の御神酒も、神様の霊力が宿ったお酒を体内に取り込むことで、健やかな成長を祈るということもあります。お酒と宗教は好相性なもの。神様に囲われた空間で神様と乾杯する気持ちでいらしてください」と草彅さん。

さまざまな神様を同じ空間で許容できるのも八百万の神の国である日本ならでは。他のどこの場所にもない「GOD BAR」で非日常体験をどうぞ。