おしゃれフードトレンドを追え! Vol.28

キャビア、トリュフ、ウニ……時代とともに変化する、高級食材との付き合い方

2〜3年前まで、ファッション業界では「丁寧な暮らし」をキーワードに、地に足のついた生活をする人がかっこいい!とされていた。無駄なお金を使わず、洋服よりも器やインテリアなどのライフスタイル、健康に気を遣うような「足るを知る」人がシックでおしゃれ!という風潮だ。ファッション的にもエフォートレス(頑張らない)やノームコア(平凡で目立たない服を身につける潮流)といったトレンドがメインストリームとなり、シンプルな“究極の普通服”が流行っていた。

 

しかしである。昨年あたりからそんな「丁寧な暮らし」に飽きてしまった人たちが、バブル期を彷彿させるプチ贅沢に心を惹かれ始めているようだ。少し前までは「作家の〇〇さんの器が欲しいわ〜!」と人気の食器店に通い、オーガニック野菜を使った和食を作ってはインスタグラムに投稿し、「私、丁寧な暮らしをしています!」をアピールしていたおしゃれ業界人たち。それが2018年後半になり、そんな丁寧な暮らしぶりを披露している人は少なくなっている気がする。それに代わって彼らが披露しているのはキャビア、トリュフ、ウニといった高級食材だ。世界三大珍味トリュフを肉やパスタの上にシャッシャッとスライスする動画を1日に何回見たことか。インスタのストーリー上にはトリュフを削る映像がズラリ。そのどこか浮き足立ったバブル再来感が、なぜか今っぽく見えるのだ。

 

そのほかウニと牛肉を一緒に食べる「ウニク」も流行っていたり、キャビア&シャンパンを気軽に楽しめる店がオープンしたり、トリュフ入りのパンが大人気だったりと世の中的にも高級食材がブームだ。ラグジュアリーな珍味をほんの少し楽しむ、そのカジュアル感がウケている。

高級食材をカジュアルに楽しむならここ!

話題の日本橋髙島屋S.C.で食べるべきは新鮮なうに!:小川のうに丸

ランチのうに柱丼 3,240円(税込)

炙りうに茶碗蒸し 920円(税込・写真:お店から)

ポテサラ 864円(税込・写真:お店から)

 

9月末にオープンした日本橋髙島屋S.C.新館の「小川のうに丸」。隣は系列店の「加藤の肉丸」。ちなみにランチタイムは、肉丸とうに丸で別メニューだが、夜はどちらのお店に入っても両方のお店のメニューがオーダー可能だ。「うに丸」ではうにのトップブランド「丸雅小川フーズ」を使った料理が楽しめるのだが、なかでも上にちょこんとのったうにがかわいいうにのポテサラ(864円・税込)、炙りうに茶碗蒸し(920円税込)、つるっとした貝柱に甘いうにトッピングが美味なうに柱丼(3,240円・税込)、うにのクリームコロッケ(1,410円・税込)とお酒にぴったりの居酒屋メニューも豊富だ。

シャンパン&キャビアでちょっと贅沢なアペを:カフェ プルニエ パリ 伊勢丹新宿

シャンパンとキャビアマカロンのセット

キャビアマカロン

 

フランス・パリ16区にあるプルニエ・レストランをカジュアルな雰囲気にした、カウンタースタイルのバー。先月伊勢丹内で移転リニューアルオープンした。厳格な製造管理にもとづき、品質の高さで知られるプルニエのキャビアがリーズナブルに堪能できるとあってランチタイムに訪問。この店でしか味わえないキャビアマカロン(1日30食限定・2,400円)はあの「ピエール・エルメ・パリ」とのコラボメニュー。この一品のために開発した生地で上質なキャビアをサンドしており、辛口シャンパンと甘じょっぱいキャビアマカロンのコンビネーションが最高だ! キャビアがもっと食べたい人にはキャビアを1スプーンからオーダーできるので追加で楽しんで。スタッフのキャビアトークも軽快で、ちょっと贅沢なほろ酔い時間が楽しめる。(カフェ プルニエ パリ 伊勢丹新宿の記事はこちらもチェック!)

おしゃれな店内で食べられるのはトリュフパスタのみ!:OUT

こちらのお店、なんとメニューは1種類の「トリュフパスタ」だけ! チーズを絡めたもちもちのパスタに、目の前でトリュフをふんだんに削ってくれるパフォーマンスに思わずテンションが上がる。ほとんどの客はトリュフパスタと赤ワインのセット(4,000円)をオーダーし、さらに食後は赤ワイン(グラス1,300円)やシャンパン(グラス1,400円)をさらに飲む。お洒落な食券機でチケットを購入するラーメン店方式。追加トリュフ(600円)や追加パスタ(600円)も可能だ。オーストラリア人オーナーが営むお店で、接客は日本語と英語の半々。外国にいるような気分になれるのもまた面白い。下の階にはおしゃれ業界人御用達の居酒屋「なるきよ」があるため、自然とファッション系の人々が集う店になっている。

口コミとSNSで大人気!トリュフパンが主役のベーカリー:Truffle BAKERY

話題のイーストトーキョー、門前仲町の大通りから奥に入った小道に佇むレンガ壁のパン屋。店内に入るとバターとトリュフの芳しい香りに包まれて幸せな気分に。白トリュフの塩パンは150円というお求めやすいお値段! トリュフが入っていることはもちろん、仕上げに白トリュフオイルで香りづけしており香りもすばらしい。刻んだトリュフが混ぜ込まれた大人の卵サンド(580円)も人気メニューだ。欧州の専門食材を取り扱うWEB通販「ハイ食材室」を運営する会社が経営しているという。高級食材をリーズナブルに楽しんでもらいたい、というオーナーの想いがひしひし伝わってくる。SNSや口コミで遠方から足を運ぶお客が絶えない。

 

これらの高級食材が80年代のバブル時代と違うのは、お安くお得に食べる日常感をプラスして提供されているという点だ。ブランド服とバッグで着飾って食べるのではなく、スウェットやデニムにスニーカーでさりげなくキャビアをつまむ。超高級なのにアクセシブルでフレンドリーなトリュフ、キャビア、ウニ。まるで居酒屋でいかの塩辛を食べるように、高級食材をカジュアルに楽しむ。バブル時代の“これでもか!”な食べ方から、“いいものを少しだけ!”な食べ方へ。そんな食べ方が新しく、今っぽいのだ。