〈食欲を満たすヘルシー麺、麻辣湯を食べにいざゆかん〉第3回

日毎に増す食欲とどう付き合うか。そんな秋の一大テーマにきっちり応えてくれる、食べ応えのあるヘルシー料理が、重慶発祥と言われる野菜たっぷりの春雨麺、麻辣湯(マーラータン)。第1回の注目の新店、第2回で紹介した日本における麻辣湯人気の火付け役となった店に続き、第3回はあの有名な餃子屋さんが手がける新たな麻辣湯のお店を、3回にわけてご紹介します。

ヘルシー派も納得の幸せ麺。“一麺三長!”とよびたくなる、麻辣湯の3つの魅力

がっつり食べたいヘルシー派にも選ばれるのは、全方位的に優秀だから。唐辛子や花椒をかせたスープと低カロリーな春雨、トッピングにはたっぷりの野菜。知っておきたい、その“三長”をまずはおさらい。

◆その1)野菜やキノコ類ほか、選べるトッピングが多彩!

白菜や青梗菜、香菜などの葉物からレンコンやジャガイモなどの根菜、しめじや舞茸などのキノコ類まで、トッピング野菜の種類がとにかく豊富。旬の野菜を楽しめるほか、野菜不足を解消できる!

◆その2)旨い・辛い・痺れるスープで発汗!

旨味たっぷりの白湯に唐辛子と花椒、そしてさまざまなスパイスが加えられた旨シビ辛スープが麻辣湯の特徴。飲み干せば体がポカポカに。代謝アップも期待できそう。

◆その3)麺がヘルシー

春雨麺は小麦粉を主原料とする中華麺に比べてぐんとカロリーが低いのが魅力。食べ応えもしっかりあってスープもよく絡む。店によって太さや食感が違うのも楽しい。

第3回 老舗餃子屋が手がける麻辣湯は、“旨味”と“辛さ”の絶妙なハーモーニーが決め

原宿餃子樓 麻辣湯の店

多彩な飲食店がずらりと軒を並べる中目黒の高架下に2018年7月にリニューアルオープンした、麻辣湯と餃子が楽しめる店が「原宿餃子樓 麻辣湯の店」。行列のできる餃子の店として有名な「原宿餃子樓」が、名物の餃子にプラスして楽しめるものを、と考えて研究を重ねた、痺れる辛さと深みのある味わいが魅力の麻辣湯が食べられる。中目黒駅から歩いてすぐという場所柄、お酒の後の〆の一杯を楽しむのにもぴったり。餃子をつまみにお酒を楽しむのも良さそう!

 

好みの辛さで味わう、身体が喜ぶ、鶏+豚のこっくりスープ

スープは鶏と豚のベースを合わせたもの。大きな寸胴で煮込まれたスープには陳皮、八角、香叶、クミンなど十数種類の薬膳がしっかりと溶け込み、飲めばジワリと元気になれそう。0辛から5辛まであるが、このスープに旨味満点のかえしをプラスしただけの0辛でも十分美味しい。「辛いだけのものは作りたくなかった。そこで、旨味を感じやすい日本人の味覚にアピールする、四川料理の痺れる辛さと旨味をうまく融合させた新しいスープを開発しました」と話すのは、店の“番長”を務める米屋龍治さん。

 

香港直送の薬膳各種と多彩なトッピング。夜遅くに食べても胃もたれの心配なし

「麻辣湯を店で出したい!と思ったものの、当初は薬膳の知識はゼロでした。そこで最初は香港の街を歩き回って薬膳の店を探し、買いまくってきたんです。帰国後はその薬膳を組み合わせて試行錯誤しながら、理想のスープの味に近付けていきました」と米屋さん。今も手に入りにくいものは香港から直送してもらっているそう。

トッピングとして用意されているのは常時40〜50種類。冷蔵ケースの中にあるもの以外に、パクチーをはじめとした「あとのせトッピング」がある。

 

トッピングで特に人気なのは青梗菜やレタスなどの葉もの、もやし、豚バラ肉、海老団子など。意外なところではラム肉も人気だという。米屋さんによれば「パルミジャーノチーズはカレーにチーズをのせる感覚と同じで、意外に合いますよ」とのこと。「もちろん、ほとんどの女性たちはパクチーを“あとのせ”しています」とも。

 

春雨は太麺と細麺からチョイス。ボリューム系もあっさり系も自由自在

豚バラ肉、肉団子、パプリカ、青梗菜、ブロッコリーをトッピングした「麻辣湯」(2辛)。基本トッピング3品+春雨で720円(税込)、追加トッピング100円(税込)/薬膳追加100円(税込)/春雨太麺、春雨細麺、豆腐は無料、中華麺は100円(税込)/ランチタイムはライス無料 「紹興酒」(180ml)550円(税込)

 

味わい深いスープとともに主役を張る春雨は、コシと弾力のある緑豆春雨。特に太麺は「これだけでお腹がいっぱいになる!」と女性たちに人気。カロリーや糖質を気にする人、お酒を飲んだ後に〆の一杯として食べたい人は豆腐を選ぶこともできるし、もっとボリュームが欲しい!という人は中華麺を選んでもOK。薬膳度の高いスープが飲みたい人は薬膳追加もできる。米屋さんによれば「麻辣湯を召し上がる方の半分くらいが追加されていますね」とのこと。味に複雑さが加わるのでおすすめ!

 

お酒のつまみにもぴったり。人気の餃子はリーズナブルな価格も魅力

餃子を目当てに店にやって来る人もいるくらい安定した人気の「焼餃子」。小ぶりのサイズで皮が薄く、軽い食感なので、麻辣湯のお供にしても重すぎないのがいい。

 ニラとニンニクはあり・なしを選べるので、臭いを気にする人も安心。「焼餃子」(1人前6個)290円(税込)※写真は2人前 大きめのレモンが4カット入った甘めのレモンサワー「“匠”のレモンたっぷりサワー」450円(税込)

 

同じ皮、タネで「水餃子」もある。ランチタイムの「餃子ランチセット」は餃子二人前セット(餃子12個、小鉢、ライス、スープ)で580円(税込)、餃子一人前セット(餃子6個、小鉢、ライス、スープ)で450円(税込)と驚異的にリーズナブル!

濃いめの味付けでサクサク食べられる「肉味噌ご飯(卵黄のせ)」380円(税込)

 

麻辣湯だけでは足りない人のために、ご飯ものは3種類用意。中でも米屋さんが「なぜか毎日ものすごく数が出る」と話すのが「肉味噌ご飯(卵黄のせ)」。味噌と醤油でしっかり味付けをした肉味噌とトロトロの卵黄、香ばしい白胡麻のマジックで白飯が瞬く間に消えていく。子供にも人気の一品だとか。

毎日替わる「あとのせトッピング」や「本日だけのメニュー」は黒板に記載。お酒のつまみとしてちょうどいいサイドメニューが日替わりで登場するのが嬉しい。

 

カウンター8席、テーブル8席とこじんまりした店内。台湾の食堂のようなテーブルがキュート。

撮影:ミヤジ シンゴ
取材・文:山下紫陽