目次
【噂の新店】NORCINA
広尾のイタリアンで食べログの予約人気ランキングTOP3(2026年10月25日現在)に入る「Melograno」の後藤オーナーシェフが“僕が今一番行きたい店”をコンセプトに、行き来できる徒歩2分の場所に新店をオープン。つまみとワイン1杯からOKという気軽さに早くも大賑わいです!
ラボ隣接! 「Melograno」誕生の場所に工房とオステリアをオープン!

広尾駅から商店街を抜けて程なくすると見えてくるのが「Melograno」のオーナーシェフ、後藤祐司さんがオープンした「NORCINA」です。店名と場所を聞いてピンときた人はかなりのイタリア料理通。店名はウンブリア州ペルージャのノルチャ村発祥の「パスタ・アッラ・ノルチーナ」に由来し、ウンブリア州は後藤さんが初めて渡伊した修業先。そしてここは「メログラーノ」が誕生した場所です。

パスタ料理屋を経営していた父の背中を見て育った後藤さんは16歳でイタリア料理人になると決め、調理師学校を卒業後は国内のイタリア料理店数軒で修業し、洗練されたリストランテ料理ではなく本場の田舎料理を学びたいとイタリア・ウンブリア州へ渡りました。初めて教わったノルチャ名物「パスタ・アッラ・ノルチーナ」には“洗礼”を受けたと話します。

海に面していないウンブリアはジビエ、トリュフなどの山の幸と、「サルーミ(肉加工品)」が食の主役です。ことにノルチャの「サルーミ」は格別で、手仕事を大切と考えるイタリア人は畏敬の念を込めて肉加工職人のことを「ノルチーノ」と呼ぶそう。その圧倒的なおいしさと技術に魅了された後藤さんは、ペルージャの「マチェレリア・サンタクローチェ」で加工品やショーケースに並ぶ惣菜を学びました。

ウンブリアでの経験はいつしか“自身の食肉加工工房で作ったソーセージやハムを最高の料理に仕立てて振る舞う店を持ちたい”という夢になりました。それから17年、「メログラーノ」があった場所に「NORCINA」を、隣に工房「Casa Melograno」をオープン。その夢を叶えたのです。
これぞスペシャリテ! 濃厚なのに驚くほど軽い、つまみになるパスタ「ノルチーナ」

「日本は素晴らしい生産者さんが多くて食材のポテンシャルが非常に高い。食材と向き合い、食材そのものの味を引き出すことを重要視してきましたが、余計なことをしないことが良いのか?と思うようになりました。“料理をする”のが料理人の仕事なのだから、経験を形にするという次のフェーズに来たのかなと。一見なんてことのない料理だけど、実はものすごい手が込んでいる、そういう“ダサかっこいい”おいしさがイタリア料理っぽいと思うんです。ここではそんな料理を提供します」と、メニューには後藤さんならではの料理名が並びます。料理は2〜3人でシェアできる量ですが、可能な限り人数に合わせてアレンジしてくれるそう。

こちらは工房で手作りした「チストラ」。熟成牛リブロースのかぶりや骨周りといった端材をミンチにしてパプリカパウダーと唐辛子を混ぜ、羊の腸に詰めて熟成させています。「端材は今までラグーソースや豚肉と混ぜたサルシッチャにしていたのですが、もっと牛肉の味がわかる主役となる料理はないかと考えていたら、視察に行ったスペインで『チストラ』に出会って、これだ!と思って作ってみました」と後藤さん。

焼き上がった「チストラ」にサフランとスパイスを利かせたマヨネーズソースをかけ、マリネした赤キャベツを添えました。「チストラ」は予想していた一般的なソーセージとは違い、しっとりと肉のうまみをじわじわ感じさせます。使った熟成牛のポテンシャルが高いとはいえ、味付け、香り、食感のコントロールは料理人の腕次第。思わず唸る仕上がりです。

目を見張る大きさのムール貝を使い、後藤さんがマルケ州で食べた「インペパータ·ディ·コッツェ」を再現しました。鍋に大量の黒胡椒、フレッシュトマト、ニンニク、白ワイン、オリーブオイル、パセリ、エシャロットを入れて蒸し煮にするというシンプルな料理は、ぷっくりとしてうまみたっぷりのこのムール貝にうってつけ! 酒がグイグイ進みます。

添えてあるフライドポテトにも注目です。「大船渡のムール貝を見たら、パリのビストロで食べた『ムール・フリット』を思い出したんです。ムール貝の煮汁を吸ったフライドポテトの背徳感がたまらなかった!」と言うだけあって、このフライドポテト、付け合わせのレベルではありません。聞けば、低温で30分ほどコンフィにしたジャガイモは水分を風で飛ばしてから冷凍し、米粉の衣をつけて揚げるそう。そのままでも美味、スープに浸しても美味、もう手が止まりません!

皿に残ったムール貝のエキスがたっぷり入った極上スープ。なんとかして食べたいとリクエストして作ってもらったのがこちらのパスタ。メニューにないものでも材料があれば即興で作ってもらえるのも「NORCINA」の楽しさです。

こちらは「サルティンボッカ」。ローマでは伝統的に仔牛を使うそうですが、後藤さんは「『サカエヤ』の佐助豚S」にセージと生ハムを挟んで仕立てます。「90年代は毎日オーダーが入るほどの人気料理でしたが、今メニューに載せているところが少ないくらいになってしまいました。昔作っていた料理をあらためて作ると新鮮ですね」と後藤さん。サクッと歯切れよく、それでいてプリンとした食感は仔牛には出せないおもしろさがあります。

さて、店名でもあるシグネチャーディッシュの「ノルチーナ」の登場です。ほぐした自家製サルシッチャを玉ねぎ、ローズマリー、セージと炒め、白ワインで煮詰めたソースに茹で上がったリガトーニを加え、黒トリュフとリコッタチーズをたっぷり削りかけて絡めます。


「地元の人はワインのつまみにするので基本はショートパスタです」と、こちらでも使うのはショートパスタの「リガトーニ」。「サカエヤ」の熟成肉で手作りしたサルシッチャの力強いコク、トリュフの贅沢な香り、リコッタチーズのピュアな甘みが三位一体となってリガトーニに絡みます。使っている食材を考えれば濃厚なはずなのに食べると驚くほど軽やか。永遠につまんでしまいそう!
深夜0時まで営業! 0次会から〆の一杯まで「今、行きたい!」に応えてくれる

この店のコンセプトは“僕が今一番行きたいと思う店”。後藤さんが旅先で引かれた、おいしい料理と酒がアラカルトで選べるオステリアをイメージしています。「しっかりと手をかけたクオリティの高い料理をグラスワインとで0次会から、1軒目、2軒目、〆の一杯のバル使いまでお腹の空き具合に合わせて立ち寄ってもらえたらうれしいです。ここでは自然と会話が弾むように音楽も音を大きめにしています」と後藤さん。

そんな思いを象徴するのがこちら。デザートと食後酒をセットにしたメニューです。トッツェッティをヴィンサントに浸して食べれば気分はイタリア人!

後藤さんは食いしん坊を喜ばせる天才ではないだろうか。ふらりと引き寄せられる気軽な空間で、確かな技術に裏打ちされた“しっかりとおいしい”料理にお手頃ワインが17時半から24時まで楽しめる、美食の街、広尾でこれほど「今、行きたい!」をストレートに満たしてくれる店は見当たりません。工房で作ったサルシッチャは「Melograno」では焼いてもらい、「NORCINA」ではパスタに入れてもらって、「Casa Melograno」では家飲み用に持ち帰る。これからは3軒ハシゴすることになりそう!




