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古き良き食文化を継ぐ老舗がある一方で、次々と時代に添った新店が生まれる京都。けれど、その根底にあるのは「おいしいもので人を幸せにしたい、喜んでほしい」というお店の思いです。「おいしいピッツァが食べたい。けれど、前菜やお肉などのお料理も食べられたら、なおうれしい!」というときにおすすめしたい、イタリアンベースのカジュアルコースを楽しめるお店を京都在住のライター・中井シノブさんが紹介します。
熱々ピッツァとジャンルレス料理という、ありそうでなかった組み合わせ!

どうしてもピッツァが食べたい!と熱望してしまう時がある。さらに贅沢を言うなら、ピッツァ以外の多彩な料理も一緒に味わえれば、なおうれしい。そんな願いを叶えてくれるのが、2025年11月、御所南に開業した「Sudo」だ。ここで味わえるのは、4種類の小前菜の後、ピンチョス、パスタ、肉料理、季節のピッツァ2種類(2ピース)、デザート、飲み物と小菓子のコースで値段はなんと6,600円。イタリアンの定番料理パスタやピッツァに加え、季節の料理もコースに組み込まれるのだ。

贅沢にスペースをとった落ち着いた店内は、カウンター9席。L字形のカウンターのどの席からも、ピザ窯やシェフの手元が眺められるライブ感あるつくり。料理はおまかせコースだから、メニュー選びに時間をとられることもなく、じっくりとワインを選んだり、会話を楽しんだりしながら、食事を満喫できる。

シェフの須藤直道さんは、 多彩な経歴を持つベテラン料理人。埼玉県で生まれ、料理人を目指して東京の調理師専門学校へ。卒業後は、長野県にあるリゾートホテルに就職して、和食部門で腕を磨いた。
ただ、心のどこかに「和食の本場、京都でもっと学びたい」という強い思いがあり、願い出て京都の同系列ホテルへ移った。京料理や出汁文化も学び、さらに和食の技を深めたという。通算で7年、和食の料理人としてのキャリアを積んだ。

そんな須藤シェフの料理人人生において、最大の転機となったのが、イタリアンという新天地への挑戦だった。和食を深く見つめる中で湧き上がったのは、他ジャンルの技法や食材使いなども身に付けることで、自身の表現の幅をさらに広げたいということだった。京都イタリアンの名店「キメラ」の門を叩き、それを皮切りに、町場の実力派イタリアン数軒で15年もの歳月を費やし、地方料理から現代的なアプローチまで、多彩な技術を身に付けた。
「Sudo」の開業前には、ピッツァを得意とする系列店に身を置き、半年間にわたって生地とピザ窯に向き合う時間を過ごした。伝統的なガストロノミーと、ピッツァの技術を完璧に融合させ、満を持して開店に踏み切ったのだ。
コースの始まりは、庭園風景のように美しく盛り付けられた4種類の前菜から

「コースのスタートを飾る最初の一皿は、見た目にも美しく、食欲をそそる繊細なアミューズをご用意しました」と須藤シェフ。挨拶がわりの端正な4種の前菜だ。ワインやシャンパンとともに、心地よい時間を楽しんでほしいという。
この日の前菜は、新牛蒡の滋味が広がる冷たいスープに、新鮮な初鰹のカルパッチョ。さらに、ツブ貝のローストには燻製バーニャカウダソースを添え、バジルのクロケッタには生ハムを添わせた。大皿の上に美しく配され、瑞々しい青楓を飾った姿は、まるで初夏の庭園のよう。

2品目は、一口で味わうピンチョス。ベースは、ほのかな甘みのサツマイモのフィナンシェ。その上に、炭火で香ばしく焼き上げた味噌漬の鰻をのせ、仕上げにキャビアを贅沢に添えた。このピンチョスは、シェフの自信作でスペシャリテの一つ。濃厚な白ワインがよく合う。
前菜の後は、ハマグリやタケノコ、鱧などそれぞれの時季の食材を使ったパスタ料理、そして、真鴨や和牛の炭火焼といった肉料理が続く。メニューの内容は、季節の食材を取り入れながら、およそ1カ月に1度の頻度で変えるそうだ。
ナポリスタイルのピッツァを独創的な具材で、ここでしか食べられない一品に

コースのメインともいえるのが、2種類の味わいを楽しめるナポリピッツァ。マルゲリータやクアトロ・フォルマッジォといった定番ではなく、こちらも季節の食材を須藤シェフならではの組み合わせやソースで楽しませる。「一般的なイタリアンのコースですと、パスタを2種類出されるお店が多いかと思います。うちではあえて、ピッツァ2種にして、焼きたてのピッツァのおいしさを感じていただく。お客様の席からも見える位置に窯を据えているので、焼きあがる香ばしい香りや窯から取り出す際の臨場感も楽しんでいただきたい」(須藤シェフ)

フランスパン専用の小麦粉に天然酵母を加えて発酵させた生地を、カウンター前で手早く延ばして形づくっていく。耳はふっくらして、生地はもっちり。小麦粉の香ばしさが際立つ。

初夏のピッツァは、グリーンピースをベースに、スナップエンドウやモロッコインゲンといった豆類を合わせたソース。イベリコ豚のチョリソーとペコリーノ・ロマーノ(羊乳のチーズ)を具材にして、風味も食感も個性あるものに。「具材の組み合わせも含めて、独自の表現でお客様に驚きと感動をお届けできれば」(須藤シェフ)

2枚目のピッツァは、ソースや具材の組み合わせを変え、違った印象に。初夏ならば、ホタルイカ、クレソン、ケッパーを具材にイカ墨のペーストで。具材は和洋にとらわれず、相性の良いものを選ぶ。トマトソースだけでなく、豆やイカ墨などのソースで、ほかにはない一枚をつくりだす。好みで、辛味オリーブオイルを少しかけるのもおすすめだ。
ピッツァの後は、チーズケーキやジェラートなどの自家製デザート、飲み物とお菓子というラインナップで全8品ほど。コースは昼夜ともに6,600円(サービス料別)というお値打ち価格だから、家族や友人との食事にも訪れたい。
ワインも豊富に揃っているから、ピッツァコースとワインで、特別な時間を過ごしたい

イタリアワインを中心にフランスや日本ワインなど、世界各国のワインが100種類ほど揃う。相談すれば、料理に合うワインも選んでくれる。ワイン6種類のペアリングコース9,350円もある。

「お客様の『おいしい!』と喜んでくださるお声を聞けると、料理を気に入っていただけたのだと、喜びが広がります」と話す須藤シェフ。その声を糧に、新しい料理やピッツァのアイデアを生みだし続けたいという。




