食のプロたちがレストランを厳選し、語り尽くす食のガイドブック『東京最高のレストラン』。最新刊の刊行を記念して、編集長の大木淳夫さんに「東京の今がわかる店5選」を教えていただきました。グランメゾン、イタリアン、中華、日本料理、焼き鳥といずれも興味を引かれるお店ばかり。

1. mærge(表参道)

焼きたてのクロワッサンに、好みのものを選んでのせてもらえる「カレ・ド・ブール」 撮影:八木竜馬

「これだけの規模とクオリティで“グランメゾン”を標榜するお店をゼロから作った例って、近年なかったと思うんです」(小石原はるか)と、業界に激震を与えたのが表参道のフランス料理店「mærge」です。三つ星を目指すと公言する柴田秀之シェフの下、厨房はもちろん、レセプションからサービスに至るまで一流のスタッフが集結。1年半の準備期間を経て、内装も素晴らしい、最高の非日常感を味わえるレストランが誕生しました。ぜひドレスアップして訪れてみてください。

2. Siamo noi(自由が丘)

「髙橋農園」の芽キャベツと「みくるべたまご自然農場」の有精卵を使ったタリアテッレ 撮影:溝口智彦

塩もチーズも醤油も自家製。水は秦野の名水を10日に1度汲みに行くなど、自分たちが足を運べる範囲の材料で、極上のイタリア料理を作り上げるのが自由が丘「Siamo noi」。「東京でそれをやっているのがすごい」(浅妻千映子)と「東京最高のレストラン」メンバー一同を驚愕させました。名店の地位を確立していた「モンド」から、店名も内装も一新したことで、宮木康彦シェフの哲学がより明確に。駅から少し距離がありますが、わざわざ訪れる価値のあるレストランです。

3. 蓮華(渋谷)

スペシャリテである北京ダックは、美しさに見惚れる 撮影:松園多聞

「シックで落ち着いた雰囲気で。価格もリーズナブルで安心感がある」(森脇慶子)のが、渋谷にオープンした中国料理店「蓮華」です。「礼華 青鸞居」で料理長だった後藤吾基秀さんの独立店。カウンター7席と個室という、プライベート感溢れる店内で、充実したコースを楽しめます。スペシャリテである独自スタイルの北京ダック、美しく丁寧な仕事を感じる前菜盛り合わせなど、料理は高レベル。野菜使いも巧みで、食後感は軽やかです。隠れ家的立地で、知っていると自慢できるレストランでしょう。

4. 寛心(赤羽橋)

今年、食通の間で話題となった胡麻豆腐ご飯 撮影:外山温子

日本料理では最初にお椀やお造りなど3品が出て、その後はアラカルトで自由に組み立てられる、6,600円のコースが話題となった「寛心」に注目です。「割烹初心者でも、通い慣れた大人でも楽しめる場所。その狙いを見事に形にしたと思います」(マッキー牧元)というお店で、ワインや日本酒のセンスも出色。お品書きは50種以上あり、さらにメニューに無くても食べたい料理のリクエストまでできます。食事物も充実ですが、特にユニークな胡麻豆腐ご飯はおすすめです。

5. 酉囃子(麻布十番)

各メンバーから大絶賛を受けたのが麻布十番の焼き鳥「酉囃子」です。神楽坂で人気だった「焼鳥茜」が、移転して再スタート。店主・林裕太さんは「とにかく技術が高く、素材や調理に対する知識も豊富で引き出しも多い」(松浦達也)。お酒の勧め方が上手な奥様、茜さんとのコンビネーションもよく、エアカーテンで煙も気にならない、ホスピタリティの高いお店です。締めの煮麺や鶏形のチーズケーキまでたっぷり楽しんでみてください。

カフェモカ男
確かな技術で、早くも「食べログ 焼き鳥 EAST 百名店」に選出   出典:カフェモカ男さん

※価格は税込

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『東京最高のレストラン2026』(ぴあ株式会社)

今年で創刊25周年を迎えた、歴史あるグルメガイド『東京最高のレストラン』。12月に発売された最新刊に参加しているのは、マッキー牧元さん、森脇慶子さん、小石原はるかさん、松浦達也さん、浅妻千映子さんという、東京の食を知り尽くした面々。レストランを厳選し、実名で評価、さらに座談会で語り尽くすという、正直でレストランへの愛が溢れるスタイルに、根強いファンが多い名ガイドです。

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文:大木淳夫、食べログマガジン編集部