どちらも白飯がおいしい銀座と渋谷の日本料理店

正統派で勝負する日本料理

11月27日、東銀座・歌舞伎座裏の小道に日本料理「木挽町 ごとう」がオープンしました。店主の後藤尚彦さんは「銀座 矢部」ほか、名店で腕を磨いた実力派で、美しい器に季節を宿した正統派の日本料理が味わえます。

高級食材を過度に並べたりはしないものの、蟹しんじょう椀や淡路のばちこ、マナガツオの味噌幽庵焼きなど、吟味された素材の旨さを際立たせる一皿が記憶に残ります。締めは、限られた人にしか卸されないという、魚沼産コシヒカリの白飯。はやりの混ぜご飯に流れない潔さがうれしく、香の物や自家製明太子と共に、しみじみとそのおいしさを噛みしめました。

ばちことマナガツオの味噌幽庵焼き

楽しい時間を過ごせる、大人の和食屋

並木橋から恵比寿方面へ向かう明治通り沿いに10月6日、オープンしたのは「並木橋みりん」。三軒茶屋の人気店「魚と酒 めから鱗」や、池尻大橋「酒と麺 タイノタイ 池尻本店」の姉妹店です。

ハーフコース5,500円は、山利しらすの茶わん蒸し、藁焼きの鰆、薪焼きのかます、いくらとウニとカラスミの炙りエビ、子持ち鮎の春巻きなど8品がテンポよく続きます。“ハーフ”とは名物「竈ごはん」を含まないためで、追加すれば特製竈で炊いた白米に紅鮭、いくら、明太子、海苔佃煮、牛すじカレー、しじみ汁が並び、締めの満足感は格別。さらに、しゅうまいやコロッケの追加も可能です。藁焼きや薪焼きの炎が立つライブ感も魅力で、21時以降はアラカルトのみで、単品は500円台から楽しめます。

瞬間炙り海老 いくら 生雲丹 唐墨

個性的な自然派の角打ちと雰囲気が抜群のイタリアンバル

手土産購入にもおすすめ

11月22日、永田町に角打ち「喜納屋恭兵衛商店」がオープンしました。築地での実店舗からオンラインショップになり、1年の時を経て東京ガーデンテラス紀尾井町の1階、入口すぐの場所に登場です。

大きな木のテーブルを囲むように立ち飲みができ、訪れた日は15種ほどのナチュラルワインが開いていて、卓上酒燗器も。つまみとして甘えび塩麹漬けや、三鷹のビストロ「Kuval」のパテ・ド・カンパーニュがありましたが、これからおでんなども予定しているとか。当然ワインと日本酒は販売しているので、ナチュラル好きの人はぜひチェックしてみてください。さらに長野県の「ジャンボン・ド・ヒメキ」の生ハム、千葉県「寺田本家」の菊芋の粕漬といった、あまり都内で手に入らない肴系もあるので、パーティの手土産用にも重宝しそうです。

ワイン

ここはまるでイタリア

明治通り沿いで、渋谷橋の近くに10月にオープンした恵比寿のイタリアンバル「Bar Tafazzi」も注目です。先月ご紹介した「威皇 花雕醉鶏鍋&広東料理 六本木店」はまるで中国でしたが、こちらはザ・イタリア。

イタリア人がオーナーの中目黒「クランデスティーノ 41」の姉妹店で、スタッフはほぼイタリア系。メニューも英語とイタリア語です。ただ、唯一の日本人で、英語、イタリア語、ドイツ語を自在に操るフレンドリーな女性スタッフがいるのでご安心を。道路に面したガラス張りの壁と高い天井の店内で、さまざまな言語が飛び交う雰囲気は独特の楽しさ。パスタ類はありませんが、ガラスケースから総菜を選んでワインやジンといただけば大満足すると思います。

総菜盛り合せ

「Bar Tafazzi」の紹介動画はこちら
https://www.instagram.com/p/DShNQZ0ka1B/

有名焼き肉店のステーキ業態と蒸しジンギスカン

「叙々苑」のステーキハウス

11月21日、麻布十番には「叙々苑 ステーキJJ 麻布十番店」がオープンしました。あの焼肉「叙々苑」のステーキバージョンです。

7,600円からのステーキコースもありますが、おすすめはアラカルト。和牛、国産牛のヒレとサーロイン、ハラミのステーキが150gから用意されています。特にアメリカ・プライムビーフのハラミは値段も良心的でお得感がありました。他にもエビフライやシュリンプカクテルもあるので、お酒と共にどうぞ。もちろん有名な「叙々苑サラダ」もあります。

国産牛サーロインステーキ

煙が少ない「蒸しジンギスカン」

10月30日、恵比寿にオープンしたのはジンギスカン専門店「恵比寿 焼肉 羊ビヨリ」です。こちらは「焼肉いのうえ」の新業態で、打ち出したのは煙が少ない独自の「蒸しジンギスカン」というスタイル。

3,800円の「おすすめ3種と季節のペアリング野菜セット」をオーダーしましたが、焼肉屋さんらしいタレでいただくタスマニア産のラムはもちろん、その旨みを吸ったレタスや蓮根といった野菜もおいしく、清潔感のある店内で罪悪感なく楽しめます。「瞬間燻製ラムユッケタルタル」といった“映え”系メニューも人気が出そうです。

おすすめ3種と季節のペアリング野菜セット

教えてくれた人

大木淳夫
『東京最高のレストラン』編集長 
1965年東京生まれ。ぴあ株式会社入社後、日本初のプロによる唯一の実名評価本『東京最高のレストラン』編集長を2001年の創刊より務めている。その他の編集作品に『キャリア不要の時代 僕が飲食店で成功を続ける理由』(堀江貴文)、『新時代の江戸前鮨がわかる本』(早川光)、『にっぽん氷の図鑑』(原田泉)、『東京とんかつ会議』(山本益博、マッキー牧元、河田剛)、『一食入魂』(小山薫堂)、『いまどき真っ当な料理店』(田中康夫)など。 好きなジャンルは寿司とフレンチ。現在は、食べログ「グルメ著名人」としても活動中。2018年1月に発足した「日本ガストロノミー協会」理事、「料理レシピ本大賞」特別審査員も務める。『東京最高のレストラン2026』が2025年12月に発売。同年10月に初の著書『50歳からの美食入門』(中央公論新社・中公新書ラクレ)を出版。

食べログマガジンで紹介したお店を動画で配信中!
https://www.instagram.com/tabelog/

※価格は税込です

文・撮影:大木淳夫