〈映画のあの味が食べたい!〉
『オーシャンズ8』
サンドラ・ブロックがケイト・ブランシェットを落とした、ウクライナ風“水餃子”
2001年に大ヒットした『オーシャンズ11』は、ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモン、ケイシー・アフレック、アンディ・ガルシア、ジュリア・ロバーツなどスター俳優が結集、『トラフィック』(00年)でアカデミー賞を受賞したスティーブン・ソダーバーグが監督というまさにハリウッドのドリームチームによるド派手で楽しいクライム・ムーヴィーです。
ダニー・オーシャン(ジョージ・クルーニー)率いる詐欺師集団がラスベガスのカジノの巨大金庫から大金を強奪する、という軽妙で痛快なサスペンス。
1960年代の『オーシャンと十一人の仲間』のリメイクなのですが、強盗ものなのに銃など武器は使わずに、知恵と“技術”だけで、ワルなんだけど大儲けしているヤツからお金を盗む、というコンセプトやコメディタッチもウケて、大人気となりました。
その後、『オーシャンズ12』(04年)、『オーシャンズ13』(07年)とシリーズ化されていましたが、11年ぶりにシリーズ最新作として製作されたのが『オーシャンズ8』です。
“オーシャンズ”といってもなんと、今回の主人公はダニー・オーシャンの妹デビー・オーシャン(サンドラ・ブロック)。そして仲間は全員女性。女だけの窃盗団によるクライム・エンターテイメントが作られるなんて、今のハリウッドを反映していますね。
しかも、デビーを取り巻くキャストもケイト・ブランシェット、アン・ハサウェイ、ヘレナ・ボナム=カーター、ミュージシャンのリアーナなどジョージ・クルーニー版オーシャンズに負けないくらい豪華キャスト。彼女たちの華麗なるファッション七変化も見どころのひとつです。
さて、デビーが立てた計画は、ニューヨークのメトロポリタン美術館で毎年5月に開催される「メットガラ」の会場から、セレブのダフネ・クルーガー(アン・ハサウェイ)がつけている約1億5,000万ドルのカルティエのネックレスを盗み出すというものです。
ちなみに、「メットガラ」とは、米国版VOGUEの編集長アナ・ウィンターが主催する世界最大規模のファッションの祭典で、ファッション界やハリウッドをはじめ、世界中のセレブが出席することから“ファッション界のアカデミー賞”の異名をとる超ゴージャスなイベントです。
デビーは、計画を成功させるためにさまざまな“プロフェッショナル”を集めます。
ファッションデザイナー、天才ハッカー、盗品ディーラーなどなど。中でもデビーの右腕であり相棒がケイト・ブランシェット演じるルー・ミラーです。
頭が切れてクールで独自の美学をもつ。
そう、前シリーズにおけるブラッド・ピットの立ち位置ですね。
そんなルーをデビーがこの計画に誘う舞台となっているのが、ニューヨークのイーストヴィレッジに実在するウクライナ料理のレストラン「VESELKA(ベセルカ)」。1954年創業とその歴史は長く、ニューヨーカーたちにはおなじみの店です。むしゃむしゃと料理を豪快に平らげながら、大胆な計画について飄々と語るデビーの話を冷静に聞いていたルーも、その食べっぷりに思わず、差し出されたピエロギをガブリ。
ふたりが共犯者となった瞬間でした!
ミンスクの台所/出典:mercy777さん
ちなみに、ピエロギは、ウクライナやロシアなどで食されている水餃子のようなもの。本作で、ルーがデビーのフォークからひと口いただくのも、おそらくこのピエロギ。
日本でもロシア料理やウクライナ料理を出すレストランで食せます。
東京・麻布台の「ミンスクの台所」は、東京にいながらベラルーシの味を味わえる家庭料理のレストランです。こちらも創業16年とその界隈ではおなじみの店。スタッフ全員が旧ソ連諸国の出身で、本場の家庭の味をそのまま再現しています。女同士の信頼は、ゴージャスなキャビアとシャンパンよりも“家庭料理”で試されるのです!
作品紹介
『オーシャンズ8』8月10日(金) 全国公開
配給:ワーナー・ブラザース映画
史上最強の犯罪ドリームチーム「オーシャンズ」。そのリーダーのダニー・オーシャンを兄に持ち、自らもプロの強盗である妹のデビー・オーシャンが、5年の刑期を終えて仮釈放された。出所した彼女は、早々に7人の犯罪プロフェッショナルたちを仲間に引き入れる。彼女らは、ニューヨークで行われるファッションショー「メットガラ」を舞台に、1億5,000万ドルの宝石を奪うため計画を始める。