〈2021 食通が惚れた店〉

新型コロナウイルスの流行により、飲食店にとって引き続き大変な一年となった2021年。油断のできない状況は続きますが、各店が工夫を凝らし、おいしいものを届けようと努力しています。

そんな2021年に、グルメ情報を熟知した有識者が「最も印象に残った店」や、おすすめの「2,000円以下のお手軽グルメ」などをうかがいました。

今回は、食べロググルメ著名人で「東京最高のレストラン」編集長・大木淳夫さんにお答えいただきます。

教えてくれる人

大木淳夫
「東京最高のレストラン」編集長 
1965年東京生まれ。ぴあ株式会社入社後、日本初のプロによる唯一の実名評価本「東京最高のレストラン」編集長を2001年の創刊より20年に渡り務めている。その他の編集作品に「堀江貴文 VS.外食の革命的経営者」(堀江貴文)、「新時代の江戸前鮨がわかる本」(早川光)、「にっぽん氷の図鑑」(原田泉)、「東京とんかつ会議」(山本益博、マッキー牧元、河田剛)、「一食入魂」(小山薫堂)、「いまどき真っ当な料理店」(田中康夫)など。 
好きなジャンルは寿司とフレンチ。現在は、食べログ「グルメ著名人」としても活動中。2018年1月に発足した「日本ガストロノミー協会」理事も務める。

2021年のベストレストラン

Q. 2021年、最も印象に残った飲食店を教えてください

A. 「ビストロ・バー・ア・ヴァン・コダマ」です

ビストロ・バー・ア・ヴァン・コダマ店内 写真:松村宇洋

コース主体・少量多皿という、最近のブームの真逆をいき、アラカルトでトラディショナルなビストロメニューをドン!と提供する(でも客次第で分量は調整してくれる)姿勢は素晴らしいと感じています。しかも、ただ従来のレシピで出すのではなく、フロマージュ・ド・テットなら、非常に丁寧な下拵えでなめらかな味を生むなど、フレンチのシェフらしい細やかな技術を駆使していて、そこも人気の秘密なのでしょう。

アンダー2,000円のお手軽グルメ

Q. 2021年に食べた〈2,000円以内の感動の味〉を教えてください

A. 「マトリキッチン」の「チキンストロガノフ」(1,000円)です

ガレットブルトンヌ
チキンストロガノフ   出典:ガレットブルトンヌさん

夜であっても、この値段は間違えじゃないですか?と言いたくなるくらい安くておいしい銀座のロシア料理店です。「マトリョーシカ」出身の誠実そうなシェフの料理は優しい味なのですが、旨味のポイントをしっかり押さえていて大変美味。ランチのチキンストロガノフは、見目麗しいオレンジのソースとバターライスが絶妙で、これだけで大満足の一皿です。ところがさらに、サラダとドリンクか小菓子、そして抜群な味わいのボルシチまでついて1000円。忘れ難いランチでした。

2021年のお取り寄せ

Q. 2021年に出会った、人におすすめしたいお取り寄せを教えてください

A. 「Chipoon」の「ヴィーガンJ系ラーメン」です

写真:公式Instagramから

原宿「Chipoon」で大人気のヴィーガンラーメンを作った「レンゲ」の鬼才・西岡シェフがなんと、J系ラーメンを作りました。野菜だけで作ったとはどうしても思えない、煎った大豆や黒にんにくの皮を活かした深みのあるスープ。そして動物性の食材を使用していないというボリュームたっぷりな麺。叉焼の代わりである湯葉は、スープの旨味を存分に吸ってまたうまいんです。ラーメンの世界が、また広がったのではないでしょうか。

※価格は税込です。

※「食べログ」に掲載されている情報をもとに、料理名・金額等を掲載しています。最新の情報はお店にご確認ください。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

文:大木淳夫、食べログマガジン編集部