【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#233】「ラナンクルス」

流浪の間借りカレー店が待望の独立店舗をオープン

新宿歌舞伎町のホストクラブ的なバーの間借りカレー店としてスタートし、その場所の物珍しさのみならず、有名カレー研究家や人気店シェフも通った埼玉のスリランカ料理教室「紅茶屋さん」をはじめ、大阪を代表するカレーの名店のシェフたちに薫陶を受けたからこその実力の高さもあいまって瞬く間に行列の人気店となった「ラナンクルス」。その後、同じ歌舞伎町や新宿界隈で流浪の間借り営業を続けていましたが、2025年7月16日、遂に独立し自身の店舗を落合駅近くでスタートさせました。

落ち着いた雰囲気の店内

通りから少し脇に入ったお店の場所は少しわかりにくいですが、だからこそ隠れ家のような雰囲気。店内はオーナーシェフのセンスの良さが随所に感じられる、おしゃれで落ち着いた空間となっています。(通常は店内写真撮影禁止ですが、今回は取材ということで特別に許可を得ました)

「ゴラカポーク」に「チキン」を追加し「平飼い有精卵のスパイスしょうゆ漬」をトッピング

料理の内容は日替わり。ランチタイムはカレーを1種にするか2種にするか、それにトッピングするかどうかという選択肢です。「ゴラカポーク」1,700円をメインに「チキン」300円を追加、「平飼い有精卵のスパイスしょうゆ漬」180円をトッピングしていただきました。

とうもろこしポタージュの鮮やかな黄色が夏にぴったりのビジュアル

副菜もたっぷりとのるスリランカスタイルですが、オーセンティックなスリランカ料理というよりは大阪スパイスカレーのようなオリジナルの工夫がある仕上がり。例えば出汁パリップにはしっかりと和だしの風味とうまみがあり、とうもろこしポタージュにはカルパシが香るという個性。

ゴラカポークの「ゴラカ」とは、木の実を乾燥して燻製させたスパイスの一種

メインのゴラカポークはスリランカ的でゴラカの程よい酸味が豚肉のおいしさを引き立て、チキンもスリランカスタイルをもとにしながらも少し違う着地で、スパイシーすぎるものが苦手な方でも自然と受け入れられそうなテイスト。たまごは味玉のような形で満足度を上げてくれるトッピングです。

「コルトラーダの麦茶」

カレーにはプチドリンクもついてくるのですが、この日のドリンクは「コルトラーダ」というワイナリーの麦茶。細部にまでこだわりを感じます。

8月からは不定期で夜営業もスタート。「マトンキーマナッツのミニカレー」500円は追加カレーとしてももちろん良いのですが、夜にワインを飲みながらその酒肴として機能しそうなテイストでした。

「マトンキーマナッツのミニカレー」

お酒のみならずソフトドリンクもおすすめ。「ピリッと土器チャイ」350円は先述した埼玉は紅茶屋さんのルフナを使い(茶葉は日替わり)、クローブ、シナモン、カルダモンというマサラチャイの王道スパイスに加え、ブラックペッパーやティンブールも使っていてその刺激が甘やかなチャイと見事に止揚しています。器もシェフお手製ということで、それもまた素敵。

「ピリッと土器チャイ」

ようやく自身の根城を手に入れたということでますます張り切るシェフ。1店舗目から通っている僕から見ても、ひときわ楽しそうに働いている姿が印象的でした。メニューや営業情報はSNSをご確認ください。小さなお店なので3名以上のグループ来店はご遠慮くださいとのこと。1人で行っても良いですし、デートにも使えそうなお店ですよ。

※価格はすべて税込

食べログマガジンで紹介したお店を動画で配信中!
https://www.instagram.com/tabelog/

文:カレーおじさん、食べログマガジン編集部

撮影:カレーおじさん