アジア料理は今月も絶好調。新たな味の提案と、マニアックな家庭料理

「新しさ」を感じられる、アジア料理の新店

7月1日、渋谷と表参道の中間、いわゆる渋二エリアに誕生して早くも話題なのが“Mixed Asian”のお店「Night Market」です。シェフは三つ星「レフェルヴェソンス」のスーシェフを経て、外苑前のベトナム料理店「An Di」のシェフとして活躍した内藤千博さん。

木製のアンティーク家具を中心にした店内は、上品なアジアンテイスト。大人数でも楽しめるテーブル席と、オープンキッチンのライブ感を堪能できるカウンター席があるので、1人でもグループでもどうぞ。料理はソースやディップのバリエーションが豊富で、楽しさを感じられます。メインデッシュのバクテーや炭火焼の鴨は3~4人前と記されていますが、2人前なども可能です。通常、エスニック系のお店は圧倒的に女性客が多いのですが、私が訪れた日は男性だけのグループなどもいて、新しい流れを感じました。

BBQ Duckとケチャップマニス 撮影:片桐圭

四川の本気の家庭料理を味わえる

なんだか数カ月おきに際グループの新店を取り上げている気がするのですが、同社、というか中島武社長がアグレッシブにカジュアルで面白いお店を立ち上げるからだと思われます。

今回紹介するのは、6月12日、乃木坂にオープンした「暁家菜(シャオジャツァイ)六本木龍土町」です。「蒼龍唐玉堂 龍土町」をガラッとリニューアル。“家菜”とは家庭料理のことで、四川の魅力的でマニアックなメニューが盛りだくさんでした。本場同様、葉にんにくを使った回鍋肉、発酵野菜とエンドウ豆の焼き餃子、大量の唐辛子が特徴的な辣子鶏(ラーズージー)など、お酒が進むこと請け合いです。もちろん麺・飯も充実しているので複数の食いしん坊で訪れると、とても楽しいと思います。

辣子鶏

焼き鳥有名店の新業態も! 五木田シェフのビストロと鳥しきの焼き鳥+鍋

魅力的なシャルキュトリー

7月7日、下北沢にオープンした「Boucherie Gokita Tokyo (ブーシェリー ゴキタ トーキョー)」はビストロをメインに、魅力的なシャルキュトリーと総菜、ワインの販売もおこなうお店です。オーナーシェフは、フレンチのシェフとして活躍後、フランス料理のソースをベースにした焼き鳥という新しいジャンルで大人気を博している「神保町 五木田」の五木田祐人さん。訪れた日はまだビストロがオープンしておらず、立ち飲みスペースでワインと共にテイクアウトできる濃厚なパテ・ド・カンパーニュ、ロースハム、パストラミ、レンズ豆の煮込み、キャロットラペを楽しみましたが、どれも手土産でいただいたらうれしくなるおいしさ。

現在はモーニング、アラカルトメニューが魅力的なランチ、そして3,000円のアミューズとシャルキュトリー盛り合わせ、5,500円のコースがあるディナーというラインアップ。今後は夜のアラカルトもスタート予定とのことですので、個人的にも活用しそうです。

釜ニキ
出典:釜ニキさん

気負わず楽しめる焼き鳥

6月20日、 中目黒で完全紹介制だった、おなじみ「鳥しき」系列の「とりそら」が目黒に移転オープン。誰でも予約できるお店になりました。

最後に鍋が出るのは同じですが、こちらでは一品料理ではなく王道の「近火の強火」で焼く、大ぶりの焼き鳥6串と野菜類をまずいただきます。これだけで満足と思ったら登場するのが、鳥しきICHIMON総帥・池川義輝さんの家の鍋がベースという「東京かしわ鍋」。鳥の首の部分などで出汁を取っているとのことで、このスープでいただく氷見うどんも締めにぴったりでした。おまかせコースのみで9,800円。一斉スタートではないし、お酒の値段も常識的でスタッフの接客も丁寧。あまりレストラン慣れしていない人でも、緊張せずに楽しめるお店です。

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東京かしわ鍋   出典:gori_logさん

渋谷の九龍城にまたもや間借りカレー! 道玄坂には80年代のイタリアンのアレンジ店が

間借りカレーに新星

かつて「狛犬 hug me」があったことで、グルメ界でも有名になった“渋谷の九龍城”こと第2大番ビルに、また新たな間借りカレー店が誕生しました。7月1日にオープンした「1×4curry」です。店主は2006年に小林カツ代さん監修で「はじめてのカレーライス」を出版したこともある、“カレー仙人”ことエディトリアルデザイナーのMUTSUMIさん。カレーに魅せられて五十数年、60代後半にしてのチャレンジです。

メニューは「赤カレー(トマトとビーフ)」と「黄色カレー(オニオンとポーク)」の2種。トッピングは「ナイルレストラン」直伝という「玉ねぎのアチャール」など6種。ベースは欧風カレーなのですが、穏やかなうまみがあって、スパイスカレー全盛の今、懐かしさも感じて新鮮なおいしさでした。

乞食少年ムレス・ホー(Mules ho-)
赤カレー(トマトとビーフ)   出典:乞食少年ムレス・ホー(Mules ho-)さん

“イタメシ”を現代風にリバイバル

7月10日、渋谷の道玄坂上交番前交差点の近くには路面店「イタメシ食堂 アペロ 渋谷道玄坂店」がオープンしました。誰もが知るイタリアンの有名メニューを現代風にリバイバルというコンセプトです。

気になってオーダーした「ネオミラノ風ドリア」は、サフランライスを使い、上にはパートブリックが。ドルチェでは1980年代と現代風のティラミスを一皿にのせた「時代のティラミス1980-2025」も楽しそうでした。スパークリングの「アペロの泡」はグラスにすり切り状態ですし、アラカルトで全体的に値段もお手頃。覚えておくと便利な一軒でしょう。

ネオミラノ風ドリア