定食王が今日も行く!Vol.54

新宿に生きる様々なお客を受け入れるお店の名物レバニラ

歌舞伎町のオアシス

伝説の系譜を継ぐ名店

 

連日の猛暑で、夏バテで食欲も減退気味という方も多いのではないだろうか。かくいう自分は「生命の危機を感じるほど食欲が増す」という都合の良い体質で、夏ならではの辛旨フードやアジアン料理、肉や鰻などのスタミナフードを満喫している毎日だ。

 

そんなスタミナフードの中でも、定食の代表格と言えば「レバニラ炒め」。元々は中国発祥と言われており「ニラレバ炒め」として、昭和の町中華でも愛された一品。『天才バカボン』の影響で「レバニラ」と呼ばれるようになった、スタミナみなぎる夏にぴったりのメニューだ。

日本で有数の歓楽街、新宿・歌舞伎町に「日本一うまいレバニラ」を出す店がある。歌舞伎町、ゴールデン街を抜けた先のビルの一階にあり、知らなければ通り過ぎてしまうような立地だ。下北沢で行列ができる伝説の定食屋「三福林」で修行したというご主人が、10年ほど前に独立してオープンした店だという。

店内はDDTのポスターが貼ってあり、店内にもプロレスラーかと思しき方もちらほら。ランチタイムは11時半からだが、22時まで営業している。遅めのランチやなかなか自分のタイミングで食事を取れない飲食業の方にこそ、こういった営業形態はうれしいのではないだろうか。

肉厚のレバーはプリップリ!

日本一とも称されるレバニラ炒め

 

ランチタイムの定食メニューには、いろいろな種類のレバー炒めが登場する。「三福林」では肉ニラ定食がお店のおすすめだった気がするが、レバーニラ炒め定食を注文。

シンプルにして最強の「レバーニラ炒め定食」の参上だ。「とにかくレバニラを食ってくれ!」と言わんばかりにメイン以外は、お新香だけという潔さ。不器用な男子中学生のラブレターのようなプレゼンは嫌いではない。

角切りステーキのように肉厚にカットされたレバーは、プリップリ。野菜はニラのみ。カサ増しのもやしやキャベツは入っておらず、とてもシンプルだ。

醤油ベースで生姜がほんのり香り、そして甘〜く、箸が止まらなくなる。日本一旨いレバニラ炒めと呼ばれるのも納得の満足感と中毒性がある。

「三福林」の系譜を受け継ぐ肉ニラも絶品だが、レバーピーマン炒めや他の組み合わせの炒め物も豊富なので、来るたびに色々試して自分なりの正解を見つけてほしい。

豊富なオムレツ定食は

伝説の定番人気メニュー

 

そして「三福林」のメニューを引き継ぐのが明太子オムレツ定食だ。シンプルなオムレツだが、明太子以外にも納豆、あさり、サラダと4種類があり、おかずとしても十分にご飯が進む濃厚な一品だ。

フランク玉ねぎピーマンポテト炒め定食という、カレー味のソーセージの野菜炒めなども、他ではなかなか見ないメニューでありながら、絶対に間違いなく旨いと思える定食ばかりだ。

 

客層は営業を終えたホストの方々や、カップル、近所のプロレス居酒屋で働いているプロレスラーさんなど様々だ。歌舞伎町という歓楽街で働く人々、そしてそこを訪れる人々をやさしく包み込むオアシスなのだ。

 

「定食 for all」。働く時間も、職業も、生き方も価値観も違う人々も定食の前ではみんな平等だ。みんながおいしいおかずと白飯に食らいつく。そんな姿はちょっとした「世界平和」への近道なのではないかと思うことがある。「定食は世界を救う」と願いながら、猛暑を乗り切るスタミナたっぷりのレバニラ炒めを召し上がれ!