ブームの中で、進化を遂げたかき氷

ここ数年のブームの中で、かき氷はどのように進化を遂げたのか? 第一回第二回に引き続き、成熟しつつあるかき氷の世界の中で特に注目のジャンルとそのおすすめ店を、かき氷マニア・原田麻子さんに解説していただきます。今回ひもとくのは「パティスリーのかき氷」。

原田麻子さん

学生時代に京都で食べたかき氷のおいしさに感動し、以来その虜に。今では主食として年間1,500杯をたいらげる、別名「かき氷の女王」。かき氷への探求心はとどまるところを知らず、会社を辞めて、かき氷専門店「氷舎mamatoko」(中野新橋)をオープン。かき氷好きとして「マツコの知らない世界」にも2度出演。2018年夏は、監修したかき氷が「メットライフドーム」(埼玉西武ライオンズ)、「COBI COFFEE AOYAMA」「COBI COFFEE box」「COFFEE VALLEY」「J.S. BURGERS CAFE」にて販売中。

「パティスリー」だからこそ作れる、デザートかき氷

「この2、3年で、かき氷を出すパティスリーが増えました。パティスリーならではのクリームやソースを使ったものが多く、一般のかき氷店とはひと味違う繊細な味わいが楽しめます。ただし、ケーキに使うパーツをそのまま氷にのせても、おいしくならないことが多いんです。脂肪分のあるものをいかにして氷と合わせるか、というのがポイント。例えば、クリームの脂肪分を落としたり、パーツに合った氷の削り方をしたり。そういう工夫をしっかりされているのが、おいしいお店だと思います」(原田さん)

 

じつは「かき氷以外のスイーツは一切食べない」という原田さん。ケーキは食べられなくとも、パティスリーのかき氷は「ケーキよりかるく食べられるから好き!」なのだそう。

原田さんおすすめ・パティスリーのかき氷

ラヴィアンレーヴ(梅島)

キュートな見た目と、おいしさを兼ね備えたケーキが人気のパティスリー「ラヴィアンレーヴ」。かき氷は2015年より、4~10月くらいの期間限定でメニュー入りしています。「暑くなってくるとケーキが売れにくくなるので、流行にのってかき氷を始めてみました。ただ、作るからにはパティシエらしいかき氷を作りたい、と思い試行錯誤しています」と、オーナーの北西さんは語ります。

 

「こちらの氷は、天然氷を薄く削ったふわふわタイプ。ショートケーキ、モンブラン、ティラミス、ミルフィーユなどの『ガトーシリーズ』は、『これぞパティスリーのかき氷!』というおいしさと美しさです。なかでも注目したいのは『ショコラスペシャリテ』という一品。コンクールで優勝したことのある同名のケーキを、かき氷仕立てにしたものです。ガトーショコラが入っているのに氷と違和感なく馴染んでいるのがお見事!」(原田さん)

白桃エスプーマ、白桃、ラズベリー、クリーム、パイがのった氷に桃ソースがついた「白桃のミルフィーユ~エスプーマ仕立て」1,600円

ココアパウダー、ガトーショコラ、クリーム、クランチがのった氷にオレンジソースがついた「ショコラスペシャリテ」1,600円

焼き目をつけたプリン、カスタードソース、ラズベリーがのった氷に、キャラメルソースといちごソースがついた「クレームブリュレ」1,400円

 

写真のサイズのほか、今年8月からは小サイズも提供。ここにしかない「ガトー仕立てのかき氷」を食べ比べて楽しめます。

 

※桃を使ったメニューは9月初旬に終了予定

パティスリー ラ・グリシーヌ(池尻大橋)

「『ラ・グリシーヌ』のかき氷は、チョコミント味のソース、濃厚なキャラメルソースなどのしっかり甘いソースがかかり、中にさっぱりとしたジュレが入っているのが特徴。チーズソースの中に細かく刻んだレモンピールが入っていたり、パティスリーならではの小技がきいています! シャリッとした氷と、ソースの甘味がよく合っていると思います」(原田さん)

「チーズ」1,000円。レモン風味がさわやかに香るチーズソースは、レアチーズケーキのような味わい。底にはりんごのジュレ入り

「いちごみるく」1,000円。自家製いちごシロップ、いちごコンフィチュール、練乳がかかり、 紅茶のゼリー入り

「フレッシュミント」1,000円。ミントシロップに、ミントの香りをつけたチョコレートガナッシュ がかかり、パイナップルジュレ入り

 

他に、「ミルクナッツキャラメル」、「ブルーベリーカシスヨーグルト」があり、すべて1,000円。

 

※2018年のかき氷は8月末で終了

食べてみたいかき氷は見つかりましたか? パティスリーならではの逸品、ぜひ味わってみてください。

 

※価格は税込です

 

写真/「ラヴィアンレーヴ」馬場敬子、「パティスリー ラ・グリシーヌ」食べログマガジン編集部 取材・文/斎藤涼子(食べログマガジン編集部)