伝統バーガーと2018年新バーガー。専門家が選ぶハンバーガーの日だからこそ食べたい注目店はこの2つ!

7月20日はハンバーガーの日です。1996年に制定されて以来、今年で23回目となるハンバーガー界にとって記念すべきこの日に、その道の専門家が食べたいと思うハンバーガーとは一体どんな店のものなのでしょうか?

 

というわけで、日本で唯一のハンバーガー探求家であり評論家の松原好秀さんに、7月20日に食べたいハンバーガーについて教えてもらいました!

 

松原 好秀:ハンバーガー探求家、評論家。2014年に『ザ・バーガーマップ東京』(幹書房)出版。ウェブ・雑誌の連載のほか、テレビ・ラジオの出演も多数。2017年夏には映画『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』の公開記念キャンペーンの企画協力も担当した。

なぜハンバーガー の日は7/20なのか?その理由はあの有名チェーン店にあり!

1971年7月20日、銀座三越1階に「マクドナルド」日本1号店がオープンしました。だから7月20日は「ハンバーガーの日」。日本のハンバーガーの歴史にとって重要な一日なのです。

 

マクドナルドが出来る以前にも、ハンバーガー店は日本にありました。ですが、今のように世間一般に広く食べられるようになったのはマクドナルドができた後のことです。つまり、もしも日本にマクドナルドが来ていなかったら、私たちは今ほどハンバーガーを食べていなかったかも知れない――ということになるのです。

 

ハンバーガーが生まれたのは、19世紀末から20世紀初頭にかけてのアメリカです。発祥には諸説ありますが、「焼いたアツアツの牛肉をパンの間に挟み、手で持って食べられるようにした簡便な食事」といったところで大体は共通しています。その手軽さが受けて全米に広まり、1948年12月、西海岸カリフォルニアに「McDonald’s」という革新的なハンバーガー店が誕生しました。

 

世界的チェーンに拡大したMcDonald’s は、71年に日本上陸。翌72年には「モスバーガー」「ロッテリア」など国産のバーガーチェーンも続いて、ハンバーガーは「ファストフード」として日本に広まります。いわゆる「グルメバーガー」の動きが始まったのは、おおむね90年代に入ってから。ファストフードでは表現できない高品質なハンバーガーが、日本人特有の手先の器用さ・勤勉さをもとに、徐々に形作られていきました。

専門家が選ぶ今年のハンバーガーの日に食べたいのはこの2店

まずは押さえてほしい!ベーシックなハンバーガーといえば「BROZERS’ 人形町本店」

 

BROZERS’外観

BROZERS’店内

 

今では「専門店」でハンバーガーを食べる機会もだいぶ増えてきたと思います。そんな2018年現在のハンバーガーを考える時、私はこの「ブラザーズ」こそ、日本のハンバーガーの「ベーシック」ではないかと思います。

 

胡椒がパティの肉の旨みを引き出してくれる

香ばしくかおるBBQソース

 

2000年にオープンしたブラザーズは、それまでのどの店もやっていなかった革新的なことを次々と行いました。まず、サンドイッチメニューを一品も置かず、ハンバーガーだけを三十数品ずらりと並べて「ハンバーガーの専門店」であることを強調しました。

 

丁寧に重ねられていく具材

 

BBQ、スイートチリなど「ソース」をベースにしたハンバーガーを売り出したのも同店。レタスを四角くきれいに折り畳む方法もブラザーズから広まったと考えられています。

 

完成間近の美しきハンバーガー

 

さらに名物の「ロットバーガー」によって、ハンバーガーが「華のある食べ物」そして「背の高い食べ物」であることを示してみせました。味のみならずそのビジュアル・造形美をも意識したハンバーガーを最初に考え、確立させたのは、他ならぬブラザーズです。

 

今では当たり前になっているハンバーガー専門店の基本の数々を最初に考えた店。今年で創業18年。美しく積み重ねられた背の高いバーガーを今も変わらず提供し続けています。

 

名物「ロットバーガー」1,782円

 

名物「ロットバーガー」1,782円は、“ベーコンエッグチーズ&パイン”がその正体。パティはオージービーフ110g。バンズは城東の名店「三好屋」の特注。ソースはBBQ、テリヤキ、レッドホットチリ、スイートチリの4種類から選択可能。

 

「ホットドッグ」810円

 

長さ24cm・重量100gの特注ソーセージを同じく特注のドッグバンズで挟んだ「ホットドッグ」810円も、ハンバーガーに負けない、なかなかの力作です。

ハンバーガーの現在を知りたいなら!ハンバーガー再燃の街・三茶の新店「TEN FINGERS BURGER」

各店の地道な研究により、日本のハンバーガーの技術はますます高く、深く、進化を続けています。その一方で「シンプルに行こう」という動きも見られるようになりました。その筆頭が今年6月にオープンしたばかりの、三軒茶屋の「テンフィンガーズバーガー」というお店です。

 

TEN FINGERS BURGER外観

TEN FINGERS BURGER店内

 

バーガーメニューは大・中・小のわずか3サイズ。あとはトッピングで――というシンプルなシステムで、そのサイズを「10本指で持てるぐらい」「8本で」「6本で」……と、持つ指の数で表わしているところがこちらの面白さ。

 

パティの焦げ目が食欲をそそる

 

1995年創業のサンドイッチ&ハンバーガーレストラン「FUNGO」からスピンオフしたバーガー店で、同店で培った高度なハンバーガーの技術を単純化して、その分安く、手ごろな値段で提供しようというコンセプトです。それでもパティはUSアンガスビーフ100%。これを溶岩石を敷き詰めたグリラーで熱します。

 

「テンフィンガーズ」(12cmバンズ/140gパティ)1,080円、トッピングにゴルゴンゾーラチーズ140円、フレンチフライS

 

バンズは姉妹店「クロスロードベーカリー」が作る特注品。ビーフのコゲ味や噛み応えなど、シンプルな中にもおいしさのツボを要所要所しっかり押さえたバーガーにまとまっています。

 

専門店の高度な技術を手ごろな価格で――これが2018年に起きたハンバーガーの新潮流。今後に注目です。

 

小、中、大と並ぶハンバーガー

 

左から「シックスフィンガーズ」(8cmバンズ/80gパティ)648円、「エイトフィンガーズ」(10cmバンズ/110gパティ)864円、「テンフィンガーズ」(12cmバンズ/140gパティ)1,080円。「テン」はハニーマスタードとゴルゴンゾーラチーズ、「エイト」はエッグとテリヤキソースのトッピングをチョイス。

 

ソースを選べる「チキンウィング」4ピース 648円~

 

指4本でつまめるサイドメニュー「チキンウィング」(4ピース 648円~)も大人気。フレーバーは4種類、写真はバッファローオリジナル(左)とハニーBBQ(右)。

 

また、平日11:00~15:00のランチタイムには、ハンバーガーにプラス200円でフレンチフライ(S)とドリンクが付くお得なランチセットも用意しています。

7月20日、あなたならどんなハンバーガーを食べたいですか?

今日こうした様々なハンバーガー店が全国各地にあるのも、47年前の7月20日にマクドナルドが日本に上陸したおかげです。そのことへの「感謝」の意を込めて、毎年7月20日に「McDonald’s」創業当時の素朴なハンバーガーを再現して「原点に立ち返ろう」という動きも、一部の専門店で見られます。

 

2018年の7月20日、皆さんはどこでどんなハンバーガーを食べますか?

 

取材・文:松原好秀

 

撮影:大谷次郎