【第3週のカレーとスパイス】福岡特別編!「カリー フランキー軒」「CURRY AND RICE ロールス」

カレーのレベルが高い都道府県と言えば、東京や大阪はもちろんですが、福岡もそれに続く存在だと感じています。福岡には古くから「GARAM」や「ガネーシャ」、あるいは「アトリエてらた」のようなシンプルでスパイシーなカレーライスの人気店が存在し、さまざまなお店に影響を与えてきています。今回はそんな福岡らしさのある、シンプルイズベストなスパイシーカレーライスの新店舗を2軒ご紹介しましょう。

「カリー フランキー軒」

お店はビルの2階にあります

北九州市は小倉駅近くで2024年1月にオープンしたお店。メニューは「骨付きチキンカリー」1,000円のみという潔さ。店内はカウンター席のみですが、広々としており、そのカウンター内をステージかのごとく動き回るおしゃれなマスターが明るい接客で好印象。

とっても明るくてお洒落なマスター

カレーはチキンの骨からもしっかりと出たうまみとスパイスの香りが調和して、シンプルかつワイルドなおいしさ。

「骨付きチキンカリー」

卓上にトマト、パクチー豆苗、青唐辛子があり、これを途中から自分好みに追加して味変できるという楽しさもあり、単一メニューながら通っても飽きのこない仕様もよく考えられています。

卓上の調味料とトッピングで味変も楽しめます

マスターは、著名なカレー伝道師である水野仁輔さんのカレーの学校に通い、カレーへの知見を深めた後、友人のカレー店の手伝いやインドカレーを習いに行った後に間借りカレー店をスタート。その際はグリーンカレーなどさまざまなカレーを出していたそうですが、骨付きチキンカリーが完成してからは「これ一本で勝負しよう」と決め、こちらのお店を開いたとのこと。それがズバリ北九州のカレーファンにハマり、既に行列店となっています。

ホネ骨注意!

シンプルかつインパクトある骨付きチキンカリー。昔ながらのインド風カレーライスが好きな方は要チェックのお店です。

「CURRY AND RICE ロールス」

続いてのお店は福岡市・西鉄平尾駅の近くでこちらも2024年1月にオープンした「CURRY AND RICE ロールス」。看板に「CURRY AND RICE」とあるように、基本的にはカレーとご飯のシンプルなカレーライスなのだという姿勢がうかがえます。

お店は西鉄平尾駅の近く

メニューは定番のチキンカレーを筆頭に、日によってさまざまなキーマや他のカレーもあるという構成。店内は古き良きカレースタンド的な趣で、券売機で食券を購入して渡すシステムです。

券売機制
店内にはカウンターとテーブル席もあります

今回は「ドライキーマ」950円に「あぶりチーズ」150円をトッピングし、ご飯は少なめで注文しました。

「ドライキーマ」に「あぶりチーズ」をトッピング

文字通りドライで程よくオイリーなキーマは噛めば噛むほどにおいしさが口内に広がり、炙って香ばしさのあるチーズがそのうまみをさらに引き上げます。硬めに炊かれたご飯も良く、付け合わせもにんじんときゅうりのピクルスと実にシンプルながら、カレーの箸休めとして適切なものであり、バランスの取れた一皿となっています。

炙ったチーズの香りが食欲をそそる!

食べていてどことなくGARAMのカレーが思い浮かんだのですが、マスターに聞いてみるとやはりGARAMにハマって通いまくり、その味を再現しようと独学でカレー作りをするようになったのだそう。「結局作れませんでした」と笑うマスターですが、その方向性を確かに感じられるカッコ良いカレーでした。

こちらのカレーもオールドカレーファンのストライクゾーンにズバッと来るカレーですよ。

【第4週のカレーとスパイス】南インド料理メニューが豊富に! 西日暮里の百名店が東長崎に移転リニューアルオープン「ミスタークマール」

9月12日にオープンした「ミスタークマール」

「カレーは別腹」というインパクトある看板で人気となり「食べログ アジア・エスニック TOKYO 百名店」にも選出された西日暮里のインド料理店「シルクロード」が、2024年9月12日、東長崎駅の近くに「ミスタークマール」と名を変えて移転リニューアルオープンしました。

メインのカウンター席

店内はカウンターメインで明るい雰囲気。以前のお店はインドカレースタンド風なスタイルでメニューもビリヤニをメインに北インド的なカレーが多かったのですが、新しいお店では南インド料理に力を入れています。

メニュー

前店舗からの人気メニューである「チキンビリヤニ」1,100円は、スパイスで均一に色づいたバスマティライスの中に手羽元、上にはアチャールもあしらわれ、カレーのグレイビーもついてきます。インドの街の気軽な食堂で味わえるような庶民的なおいしさです。

「チキンビリヤニ」
存在感のある手羽元

「ケーララミールス」1,500円はフィッシュフライとフィッシュカレーをメインにしたシンプルなものですが、やはりこれもケララの町場を想起させるテイスト。

「ケーララミールス」
スパイシーな味付けのフィッシュフライ

フィッシュフライと言っても揚げ物ではなく、インドのフライはスパイスで焼いたもの(ちなみに揚げたものはディープフライと言います)。ドライでスパイシーな味でこれをそのまま食べて良し、サンバル(南インドの野菜カレー)や副菜と合わせて混ぜて食べても良し。

「マサラドーサ」

南インドのティファン(軽食)も充実しています。「マサラドーサ」1,200円はスパイスで味付けされたじゃがいもが入った豆粉のクレープ的な料理。部分によって食感が変わるのが楽しく、サンバルをかけて食べるとまた印象が変わります。

スパイスで味付けしたじゃがいもが包まれています

「ワダァ」600円は南インドの甘くないドーナツ。ワダと表記されることの方が多いのですが、ふわっとした食感が印象的でこちらは一部をサンバルに浸しておいて食べるのがおすすめです。

「ワダァ」

どの料理も南インドの庶民的な食堂をイメージする味とスタイルであり、それがとても良いと感じました。高級感ある料理も良いですが、こちらのような庶民派南インド料理店は意外と日本には少ないので貴重ですし、接客もフレンドリーで価格も良心的。

東長崎もスパイス料理の面白いお店が増えてきましたが、そんな中においても地元の方々に愛されていきそうなお店です。

【第5週のカレーとスパイス】神奈川のソウルフード的存在!「バーグ」の姉妹店が川崎にオープン「スタミナカレーの店 バーグ」

1974年、新杉田駅前で洋食店として誕生した「バーグ」。豚肉のしょうが焼きをのせたスタミナカレーで一躍「横浜でカレーと言えばバーグ」と言われるまでの人気となり、横浜界隈に店舗を増やし、創業50周年となる今年もファンを増やし続けているお店です。そんなバーグが、2024年9月10日、川崎で新店舗をスタートさせました。

9月10日、京急川崎駅近くにオープン

ちなみに川崎店は本店直営とは違い、弥生町店と同系列の姉妹店的な立場になるようです。メニューも洋食店である本店と違いカレーにしぼった構成となっていますが、レシピや作り方などは正式に受け継いでいるので味のクオリティに遜色は無いと言えるでしょう。

「スタミナカレー」(ヤキ)に「千切りキャベツ」をトッピング

何を食べようと考えるまでもなく、僕はここに来たら「スタミナカレー」950円のヤキ一択です。ヤキというのはスタミナカレーに付く卵のことで、生卵か両面焼きの目玉焼きを選べます。初めてバーグに行った時には特に何も言わず注文したら生卵で出てきて、それもそれでおいしかったのですが、ヤキを注文できることを知ってからはヤキ一択。どちらが良いかは完全に好みです。

卵はナマ派かヤキ派か、お店に食べに行って自分の好みをチェックしたい

カレー自体が、オールドスクールなジャパニーズカレーとしてはスパイシーな部類に入るので、生卵でマイルドにするのも良し、しっかり両面焼きの目玉焼きにしてカレーの味を邪魔しないトッピングとして考えるも良し。川崎店はメニューにナマかヤキを選べると書いてあるので親切でわかりやすいです。

山盛りの千切りキャベツ

今回はこれに「千切りキャベツ」110円をトッピングして注文しました。

まずカレーだけ食べてみると、もったりした濃厚なテクスチャのルウは先述したように意外なほどスパイシー。このカレーだからこそ甘めの味付けで仕上げられた豚のしょうが焼きとの相性がとても良いのです。

しょうが焼きもたっぷり!

しょうが焼きといえばキャベツも合いますから、ここにキャベツをのせると濃厚なカレーの良い箸休めともなります。キャベツの量もうれしい山盛り。

また、ご飯の量も辛さも選べます(レベルによって追加料金)。ご飯は並盛でも280gとかなりのボリュームがあるので、平均的な食事量の方であれば十分満足できる量です。ちなみに写真はご飯半分でオーダー。それでも歳をとった僕の胃袋には十分の満足感でした。

ライスの量やカレーの辛さはお好みでチョイス

若い頃は並盛の肉多め、辛さ5倍が好きだったのですが、今はご飯半分で辛さ普通のキャベツトッピングが一番おいしく感じます。バーグのカレーは変わらずとも自分の胃の調子は歳とともに変わることを痛感させられましたが、それでもおいしさが変わらないと思えるのは尊いこと。

店内はカウンター、テーブル席があり、テイクアウトにも対応

店内はカウンターメインですがテーブル席もあり、テイクアウトにも力を入れているのでさまざまなニーズに対応し、老若男女が楽しめる使い勝手の良いお店となっています。

古き良きスタミナカレーのスタイルを今後も守り続け、未来へ残してほしいカレー文化遺産のひとつだと言えるでしょう。

※価格はすべて税込です。

撮影:カレーおじさん

文:カレーおじさん、食べログマガジン編集部