定食王が今日も行く!Vol.49

セレブな街で戦前から!ご飯が止まらない焼き魚とお刺身のダブル主演定食

麻布十番で昭和初期から続く

元魚屋ならではの新鮮な魚定食

 

麻布十番といえばセレブな街の代表格だが、昔は町の中心に麻布十番温泉が湧き出て、賑わっていたバリバリの商店街だ。

そんな昭和初期、戦前からこの土地で鮮魚店を営んでいた「魚可津」さん。1990年代後半になってから、現在の定食屋に業態を変え営業を続けているそう。業態は変われども、店の入り口上には、「おいしい魚を食べさせる店」という、この店のコンセプトと心意気が表れている。

その心意気通り、毎朝築地から確かな目利きで仕入れた新鮮な魚が、ほぼ日替わりで提供される、麻布十番でも指折りの人気ランチスポットだ。

 

焼き魚と刺身盛りのWメイン!

汁五菜の豪華「魚可津御膳」

 

通常の「魚可津定食」も、焼き魚と刺身の盛り合わせの「魚可津御膳」のどちらも一汁五菜の豪華定食だ。今が旬、まるまると太った“いさき”。皮目が擦れているくらいが、脂が乗ってて美味しい証。淡白な白身ながらも芳醇な味わいが感じられるのも、この季節ならではだ。

「かますの焼き食い一升飯」と言われるほどご飯が進む、夏のかますの塩焼き!

焼き魚だけで、ご飯一杯。刺身の盛り合わせで二杯目に突入。これから薄着の季節になるので三杯めのご飯は控えたが、これは止まらない。

御膳についてくる刺身の盛り合わせも、毎日組み合わせが替わる。トロやホタテ、サーモンにカツオなど、常に新鮮な魚介が食べられるので、毎日通っても飽きない。これが競争が激しい、麻布十番で常に人気トップのランチスポットとして君臨しつづける理由だろう。

JAZZの流れる店内で

郷愁を誘う「のりたま」ご飯を

 

最近では少なくなっている、白飯のお代わり無料。店内の棚の上に炊飯器が備え付けられている。柔らかめに炊いてあり、ふっくらした焼き魚や、肉厚な刺身にとても合う。そして何よりもうれしいのは、「のりたま」のふりかけ。この店のBGMは常にJAZZがかかっており、なんともゆったりとした空間だ。自分のお気に入りは麻布十番の商店街を眺めながら、行き交う人々を見てゆっくりできる2階の窓際席だ。

セレブな街にある庶民的な定食屋で、JAZZに揺られながら、旬の焼き魚と刺身を思う存分楽しむ。そんなささやかだけれど、贅沢な時間を過ごしてみてはいかがだろうか?