おしゃれフードトレンドを追え! Vol.17
“居心地がよくてかわいい”が支持される理由!お洒落女子たちが通い詰める台湾料理店
原宿とんちゃん通りビル地下の台湾家庭料理「千」でピータン粥を食べてから、(当時は明治通りにあった)「オーバカナル」でワインを飲む。20代前半の頃はこのコースを週3でやっていた自分は、根っからの台湾好きというわけではないが、約20年前の当時は渋谷なら「麗郷」、原宿なら「千」か「チャオバンブー」にと、若手ファッション系仲間が台湾料理店やタイ料理店にわんさか群がっていた。撮影終わりにスタッフ全員で行った「麗郷」のしじみ炒めと腸詰めはファッション業界人なら一度は通った味だろう。それらの店は今も健在で、深夜にはベテラン業界人たちがちらほら。そんな台湾料理が今、違ったスタイルで再び脚光を浴びている。
昨年あたりから、レディースのスタイリストやお洒落PR女子たちの間で台湾旅行に行く人が急増中で、私もパイナップルケーキや調味料などのお土産をもらう機会が多い。週末の2泊3日で弾丸ツアーする彼女たちがSNSに投稿する九份の夜景や料理写真が台湾気分を盛り上げる。「今度一緒に行こうよ!」という会話があちこちで聞かれるし、いくつかのグループから週末台湾行きのお誘いがある。多忙なファッション業界人たちはすぐに台湾に飛べるわけではないので、まずは都内で鍋や台湾小皿料理などを楽しむわけだが、お洒落業界人に流行りの店はやっぱり特徴がある。それはまず「かわいい」、そして「隠れ家」であること。昔ながらの雑多で屋台的な雰囲気の店とは別に、日本人がお洒落にアレンジした台湾スタイルがウケているようだ。
お洒落女子たちが愛する“東京的おいしい台湾”はここ!
水餃子と魯肉飯のランチセット 1,000円
まず紹介したいのは人気スタイリストさんおすすめの「東京台湾」。中目黒駅から徒歩1分、路地裏にひっそりと店を構えるこちらはモチモチ水餃子が絶品のお店。2014年秋に中目黒の小さなビストロを改装しオープンしたこちらはその後場所を変え、毎週月曜日のみ細々と営業していたのを今年の春からランチもディナーも食べられる店としてリニューアルした。テーブル席、奥がちゃぶ台と座布団の座敷で、店内には台湾雑貨が壁や天井にぶら下がってアジアンな雰囲気。看板メニューの水餃子はもっちりとした皮が特徴で、台湾醤油ベースに様々な香辛料やフルーツを合わせて作られた特製の餃子ダレを付けて食べる。同じく台湾料理の定番としておなじみの魯肉飯(ルーローハン)とセットになったランチがお得だ。夜は単品で小皿のおつまみが豊富なので、紹興酒やビールが弾んで女子会にはもってこいのお店だ。
台湾料理とはどんなイメージだろうか? 体にやさしい、野菜たっぷり、滋養があるのに胃もたれしない、中国料理と比べて味付けがあっさりしているなどヘルシーな印象がある。台湾料理屋に行くと、薬膳スープが出されることが多いが、
そんな中、隠れ家系の薬膳火鍋の店「笑龍」が連日ファッション業界人たちで賑わっていると聞いて行ってみた。恵比寿と代官山の中間にある閑静な住宅地、ひっそりと建つ白い一軒家の店は完全予約制。玄関にはインターフォンと小さく店名が記された看板……お洒落業界人って、こういうおこもり系の店が大好きなのだ。昔は六本木の路地裏にも紹介制の鍋屋があったなぁとか、マンションのインターホンを鳴らして入る恵比寿の「福笑」もよく行ったなぁ、など昔の記憶がよみがえる。
笑龍コース(5,500円)の薬膳火鍋
笑龍の看板メニューは薬膳火鍋。美容効果や疲労回復に効果があるとされる漢方食材と、厳選した季節の食材がたっぷりと入った薬膳火鍋はよくある火鍋に比べるとあっさりした味付けの優しい火鍋だ。みつせ鶏や美肌効果が期待できる鮫のコラーゲンなど、女性にうれしい要素を鍋の中にギュッと凝縮。野菜盛り合わせ、きのこ盛り合わせ、きくらげ、鶏つくね、締めは豆腐麺や春雨が選べるのでグルテンフリー的にも100点満点だ。
このお店、とにかく「おこもり」「お忍び」「プライバシー」を大切にしてくれるので、チリンチリンとテーブル上のベルを鳴らさなければ席にスタッフが来ない。あれこれうるさく効能も述べなければ、ドリンクの追加オーダーをしつこく取りに来たりもしない。会員(無料)になるとバースデーの特典や個室予約ができたりとVIP気分を味わうこともできるので、接待やサプライズパーティには重宝されるのだろう。
ここのところ台湾が大流行りだが、某台湾茶や某アイスクリーム店の行列の中には、お洒落業界人はほぼ見つからない。彼女たちが選ぶ店は、かわいくて、隠れ家的で、薬膳を取り入れたヘルシーなところ。深夜の老舗店では、男性クリエイターやアーティストたちが紹興酒片手に語らっているかもしれない。