おしゃれフードトレンドを追え! Vol.14

おしゃれ業界人は世間のパフェブームにどう乗っかっているのか?

グルテンフリーをまだまだ気にしているファッション業界の方々。パンケーキなど小麦系スイーツは敬遠しがちだが(パンは好きなくせにね)、なぜかここ数年継続するフルーツパフェ人気は無視できないようだ。これからの季節、ファッションの展示会やパーティでは、フルーツはおもてなしの主役的な存在。小さなパフェがタワーのように積み重ねられていたり、無農薬フルーツのスムージーが振舞われたりすれば「かわいい!」と女子から歓声が上がる。鮮やかな色のフルーツは、見た目だけでもパーティ映えして十分おしゃれだが、肌の老化の原因の活性酸素を取り除く抗酸化成分、血行促進など体や肌の機能を整えると話題の「フィトケミカル」も多く含んでいるので、美容にも一役買っているというわけだ。

 

おしゃれ業界人はフルーツパフェなら何でもいいわけではないらしい。昨今のスイーツブーム、果物ブームのなか様々なパフェが登場しているが、ファッション業界人のファンを増やしているのが、老舗果物店が営む由緒正しいフルーツパーラーだ。少し前にインスタ映えフードとして人気に火がつき、ケーキなどに比べて食べた時の罪悪感が低いギルトフリーなスイーツとして再注目。オシャレなパフェを引っさげ新しいお店も続々オープンしているが、天邪鬼なファッション業界人は、世間のトレンドよりも昔ながらのお店を好むという“コンサバ派”が多い。そんな彼ら、彼女らが食べているパフェが、フルーツパーラーのフルーツパフェ。もともと果物屋を営んでいて、その延長線上に喫茶をやっているお店だ。果物屋なのだがら、フルーツの美味しさは信頼できる。まずはちゃんとフルーツが美味しいパフェを提供し、お店の空間は創業年数の分だけどこかレトロ。そんな“信頼感のある”フルーツパーラーに彼女たちは惹かれ、足を運んでいるのだ。

通い詰めてスタンプを貯めたい「フルーツパーラーフクナガ」

マスターの気まぐれかんきつパフェ 850円

フルーツパフェ 750円

 

フルーツパフェブームで注目されたのが、四ツ谷三丁目のフルーツパーラーフクナガ。1階が果物店で、2階がパーラーというこの店は1973年に創業、70年代の喫茶店の雰囲気をそのまま残した懐かしくてかわいい店だ。ここのパフェは見た目がコンパクトで愛らしくて上品なのが好印象だが、一番の人気の理由はフルーツの美味しさにある。常に旬のフルーツのみを使っているので季節ごとにメニューが替わる。たっぷりのフルーツを低価格で提供できているのは果物店の強みだ。まずは定番のフルーツパフェ。イチゴやグレープフルーツ、バナナ、金柑にバニラアイスとシャーベットが完璧なバランスで共存している。デコポン、せとか、たんかん、金柑など旬の柑橘類がたっぷり入った「マスターの気まぐれかんきつパフェ」は今だけ楽しめる一品だ。甘み、酸味、苦味を感じる様々な柑橘類にさっぱりとしたシャーベットと、ミルク感が優しいアイスクリームが溶け合ってとってもまろやかな味わい。フルーツの美味しさを引き立てる脇役的な、小さな生クリームもいいバランスだ。何度でもリピートしてみたい!と感動していたら、レジ横にはスタンプカードが置いてあった。コンプリートすると素敵な景品がもらえるのだとか。週末は大行列なのでご注意を。

生産者の想いも味わえる進化系「フタバフルーツパーラー」

フルーツバスケット 1,380円

 

東京都中野区で77年続く老舗果物店フタバフルーツが、カフェ・カンパニーとタッグを組んで今年オープンしたのがフタバフルーツパーラー。ポップ&レトロなビジュアルが目を引く店の前にはやはり行列、若い女性だらけの店内は華やかな雰囲気だった。昭和感のあるガラス食器とてんこ盛りのフルーツが目にも鮮やかだ。パフェ、ホットケーキ、フルーツサンドウィッチをはじめ、サラダにもフルーツたっぷりで、ヴィーガンケーキも揃えるなど、今時のメニュー構成だ。フタバフルーツの3代目店主・成瀬大輔氏はサーファー・スノーボーダーでもあり、他ジャンルと様々なコラボをしつづけている面白い人物。「単にフルーツを売るだけでなく、その楽しさや生産者の想いまでも伝えていきたい」と語り、フルーツと他ジャンルを融合させたイベントも行なっている。ユナイテッドアローズなどのセレクトショップやファッションブランドのパーティーにも登場している進化系果物店、今後も見かける機会が増えそうだ。

女性人気が高いのに気取らず居心地がいい「果実園リーベル」

ストロベリーパフェ 1,300円

 

もう一つのフルーツパフェ人気の火付け役、果実園リーベル。大粒のフルーツ、少々多すぎるかなと思われる生クリームとアイスで、かなりボリューム感あるパフェだ。ちょっと一人では食べきれないと思ったが、店内には若い女子も妙齢の女性も巨大なフルーツパフェを満喫していた。果実園リーベルのオーナー長嶺氏は、果物屋のアルバイト時代を含めて50年近く果物の仕入れをしていたというフルーツ一筋の人。乙女感ある花柄の壁が、過度におしゃれではなくて心落ち着くインテリアだ。大画面テレビでバラエティが流れているのも、近所の洋食屋感があって親しみやすい。そう、おしゃれすぎないのがいい感じなのだ。

ファッション的センスを感じるおしゃれすぎるパフェ「パティスリ アサコ イワヤナギ」

パルフェビジュー ショコラ 3,000円

 

等々力のパティスリ アサコ イワヤナギもおしゃれ業界人が注目するパフェを出している。人気パティシエの岩柳麻子さんが作り出すスイーツは、まるでアート作品のような美しさが他の追随を許さないわけだが、この方はもともと服飾学校でデザインの勉強もされていたのだとか。ファッション業界の人たちがこぞって通うのには、そこにファッション的センスがあるからか? 建築家のご主人が設計したコンクリート打ちっぱなしのモダンなインテリアも、シンプルかつアンティーク感あるガラス食器も、カトラリーの形も、そしてスタッフの制服(白衣)も、全てがパーフェクトにスタイリッシュなのだ。ご主人の実家であるフルーツ農園のフルーツを使用している、というバックグラウンドも好印象だ。

 

パフェに求めることは何だろうか? それは美しさと非日常! フルーツの甘みと酸味を味わいながら、子供の頃に喫茶店で食べたあの味に思いを馳せるのもいいではないか。