〈これが推し麺!〉
ラーメン、そば、うどん、焼きそば、パスタ、ビーフン、冷麺など、日本人は麺類が大好き! そんな麺類の中から、「これぞ!」というお気に入りの“推し麺”をご紹介。そのこだわりの材料や作り方、深い味わいの秘密に迫る。
今回訪れたのは、食べロググルメ著名人・門上武司さんが教えてくれた大阪・北新地の「tanpopo」。細生麺を使った、麺のおいしさとソースのだしの味わいに脱帽な「特製細めん焼きそば」を紹介する。
教えてくれる人
門上武司
1952年大阪生まれ。関西中のフランス料理店を片っ端から食べ歩くももの足らず、毎年のようにフランスを旅する。39歳で独立し「株式会社ジオード」設立後はフードコラムニストというポジションにとどまらず、編集者、プロデューサー、コーディネーターとマルチに活躍。関西の食雑誌「あまから手帖」編集顧問であり、全日本・食学会副理事長、関西食文化研究会コアメンバー。著書には「京料理、おあがりやす」(廣済堂出版)、「スローフードな宿1・2」(木楽舎)、「門上武司の僕を呼ぶ料理店」(クリエテ関西)など。年間外食は1,000食に及ぶ。
鉄板焼き&イタリアワインの名店
北新地駅から徒歩すぐ。永楽ビル6階にある「tanpopo」は、お好み焼きはもちろん、ひと工夫ある鉄板料理とワインがいただける人気店だ。酒類も豊富で、イタリア各州のワインも数多く揃う。いわゆる大阪のお好み焼き屋とは異なる、ワインセラーのある洗練された空間で、1軒目としてがっつりと、2軒目としてワインと気の利いたアテを楽しめる一軒だ。店主は神谷圭介さん。会社員から飲食業の道に入り、25年前に独立。2017年に現在の店に移転した。
今回紹介する「特製細めん焼きそば」については「めっちゃ、ちゃんとしたです!」と神谷さんは笑う。きっかけは、とある料理人に「おいしい麺があるよ」と教えていただいたこと。それが「麺屋棣鄂(ていがく)」の生麺。このおいしい細麺をなんとか焼きそばにできないか、と試行錯誤したという。
生麺を茹でてそのまま鉄板で炒めれば、もたついて固まってしまう。麺がうまくほぐれるようにと、茹でた麺を冷水でしめ、鉄板に広げて油で焼き固める。「焼きビーフンの発想です」。しっかり焼くのは片面だけで、サラサラのソースでほぐすと、麺の両面の焼き加減が異なるので食感にコントラストが出るそう。
さらにソースは「お好み焼き屋のソースを守りつつ、あまり食べたことのない味わいに」とのこと。だしベースのお好み焼きソースに、オイスターソースなど何種かをブレンドし、中華焼きそばとソース焼きそばの“いいとこどり”を目指したという。
門上さん
移転前の店は事務所の近くにあり、豚玉の姿が美しく、味わいも豊潤であったのでよく通いました。ある日、細麺の焼きそばが登場し、鉄板ソース焼きそばの印象が一気に変わりました!