〈2023 食通が惚れた店〉

コロナ禍の制限もなくなり、みんなが日常を取り戻しつつ生活してきた2023年。イベントも復活し、飲食業界も賑わいを取り戻しています。

そんな2023年に、グルメ情報を熟知した有識者が惚れ込んだお店や料理についてアンケートを実施。「最も印象に残った店」「2,000円以下のお手軽グルメ」「おすすめのお取り寄せ」をうかがいました。

今回は、食関連の番組を数多く手がける放送作家の塩沢航さんにお答えいただきます。

教えてくれる人

塩沢 航

小山薫堂事務所「N35」の放送作家。1975年生まれ。師匠・小山薫堂の一番弟子にして、師匠譲りのグルメ作家としておなじみ。主な担当番組は「アナザースカイ」「オモウマい店」「有吉くんの正直さんぽ」など。「パレ・ド・Z」「リモートシェフ」など食にまつわるコンテンツも多数担当している。

2023年のベストレストラン

Q. 2023年、最も印象に残った飲食店と料理を教えてください

A. 「L’ETERRE」の「卵かけご飯をイメージしたシメのパスタ」です

lunem
出典:lunemさん

2017年、パリに「L’ARCHESTE」をオープン。当時史上最速でミシュランの星を獲得した伊藤良明シェフが、コロナ禍を経て、神楽坂の路地裏にオープンさせた新店。厨房を任されたのは「ひらまつ」時代からの弟分、田篭彬シェフ。気心知れた2人が、密に連携を取りながら、日本の輝ける食材にパリのエスプリを利かせ、唯一無二の皿に仕立ててゆく。若いシェフが頭の中で創り上げたような料理とは一線を画す重さ、確かさが、そこにはある。コースとしての総合力。強いて挙げるなら、夏に出していた、卵かけご飯をイメージしたシメのパスタ。

アンダー2,000円のお手軽グルメ

Q. 2023年に食べた〈2,000円以内の感動の味〉を教えてください

A. 「桜上水 船越」の「ワンタンメン(塩)」(1,200円)です

井手上 真樹
ワンタンメン(塩)   出典:井手上 真樹さん

すっきりとしたスープにプツプツとした細麺、という、いわゆる香港スタイルとは真逆のワンタンメン。動物の力強さを無理に抑え込まない白濁スープに、茹でる間際に手で揉んだ太麺を合わせた超ワイルド系。ご夫妻と思しき2人の丁寧な接客にも好感。生まれてこの方、47年、ワンタンメンというものに存在意義を見いだしたことがなかったが、ここのは何度でもリピートしたい。

2023年のお取り寄せ

Q. 2023年に出会った、人におすすめしたいお取り寄せを教えてください

A. 「食肉料理人集団 ELEZO」の「ポトフ」です

ポトフ 3,800円 写真:お店から

ベースは「ELEZO」のオーベルジュやレストランで最初の一皿として出されるコンソメ。 蝦夷鹿の骨やスネ、香味野菜のうまみ、香りが溶け出したそれに合わせるは、ホロホロにほどける蝦夷鹿のスネ肉。かみしめるほどに滋味が広がるサルシッチャ。甘みという生命力を湛えた根菜。おうちでレストランクオリティ。冬のごちそうです。

購入方法:ELEZOオンラインショップ

※価格は税込です。
※アンケート内容と「食べログ」に掲載されている情報をもとに、料理名・金額を掲載しています。最新の情報はお店にご確認ください。

文:塩沢航、食べログマガジン編集部