〈2023 食通が惚れた店〉

コロナ禍の制限もなくなり、みんなが日常を取り戻しつつ生活してきた2023年。イベントも復活し、飲食業界も賑わいを取り戻しています。

そんな2023年に、グルメ情報を熟知した有識者が惚れ込んだお店や料理についてアンケートを実施。「最も印象に残った店」「2,000円以下のお手軽グルメ」をうかがいました。

今回は、連載「森脇慶子のココに注目」でおなじみ、フードライターの森脇慶子さんにお答えいただきます。

教えてくれる人

森脇慶子

「dancyu」や女性誌、グルメサイトなどで広く活躍するフードライター。感動の一皿との出合いを求めて、取材はもちろんプライベートでも食べ歩きを欠かさない。特に食指が動く料理はスープ。著書に「東京最高のレストラン（共著）」（ぴあ）、「行列レストランのまかないレシピ」（ぴあ）ほか。

2023年のベストレストラン

Q. 2023年、最も印象に残った飲食店とイチ押しのメニューを教えてください

A1. 「味幸（あじゆき）」の「胡麻豆腐」と「うすい豆豆腐」です

コース全体のお料理自体は極めてシンプルですし、派手なパフォーマンスとは真逆の世界ですが、しんみりと落ち着いた味わいが、しみじみと心にしみるおいしさです。昔の京都の、地元の人たちが通っていた料理屋の料理のような懐かしさもあります。中でも胡麻豆腐は、胡麻豆腐のもっちりとしてやわやわな食感と上からかけた胡麻ソースの香ばしい胡麻の香りとの対比の妙とコンビネーションの巧みさにうなりました。それも本体とソースでは胡麻の煎り加減を変えていればこそ。豆腐の方は浅煎りに、ソースは深煎りにするなど、見えないひと工夫が感動の美味を生み出しています。うすい豆豆腐も、うすい豆だけで完結させているところが素敵です。

アンダー2,000円のお手軽グルメ

Q. 2023年に食べた〈2,000円以内の感動の味〉を教えてください

A. 「GELATO BRAVO（ジェラートブラボー）」の「タルトゥーフォ〜冬の黒トリュフ〜」1,600円です

広尾「ビンゴ」の小林シェフ監修のジェラートはどれもおいしい。中でも、現在販売中の季節限定（12～翌3月）の黒トリュフのジェラートは、一見、黒胡麻のアイスか？と思われるほどトリュフがたっぷり。クリームが溶けていくに従い、口中に充満していくトリュフならではの妖艶な香りが素晴らしい。小林シェフが香リ高いトリュフを厳選し、口中で温められた時に香りがマックスになるよう工夫しているそうです。