メニューすべてが“名物”と言っても過言ではない料理をご紹介

素材をこだわり抜いた前菜から心をつかまれる!

その日のメニューにはパスタだけでなく、前菜も用意されている。中でも定番のサラダは、久保さんの出身地・福岡県の無農薬農家などから届く、採れたての野菜がたっぷり。野菜の味が濃いので、あえてオイルとレモンというシンプルな味付けにしているという。

「産地直送野菜のサラダ」1,500円(ハーフ750円)

季節の前菜は、この日は大きな真ダコがドーンと入った「明石産真ダコとじゃがいもの温菜」。粗くつぶしたじゃがいもがほくほくとおいしい温かい前菜だ。料理は可能な限りハーフを用意しているのも使い勝手がいい。前菜も軽いメインくらいのボリュームがあるので、女性なら前菜ハーフとパスタがちょうどいいかもしれない。

「明石産真ダコとじゃがいもの温菜」1,500円(ハーフ750円)

グラスワインも用意されているが、好きなワインを食料品、酒販エリアで購入し、持ち込むのもおすすめだ。抜栓料がかからないので、レストランなのに家飲みのように気楽にワインが楽しめる。早くもそこに目を付けたワイン好きが通ってくるというのも納得だ。

左「NVシルヴァー・ブリュット・ナチュール(アンドレ・クルエ)」6,400円、「2015サヴィニー・レ・ボーヌ(パスカル・クレマン)」5,500円

開店早々話題となった絶品パスタとは?

具だくさんで食べていて楽しい、シグネチャーパスタ

久保シェフのシグネチャーは貝だけで作ったペスカトーレ。その日の朝に豊洲で仕入れた5種類の貝をたっぷり使い、貝の旨みをまろやかに持ち上げるトマトソース、シンプルなオイルベースの2種類から選べる。また、最大限のおいしさを追求するため、メニューに合わせてパスタの銘柄も変えている。ペスカトーレはグランフィーロというこだわりのパスタ麺を使っているので、小麦の風味や食感も素晴らしい。

最後にしっかりパスタと貝を和えて旨みを吸わせる

イタリアでは使わないシジミを具に加えることで、シジミ独特の旨みが利いて、ペスカトーレはグッと奥深い味になる。

「豊洲の貝づくしペスカトーレ」(ロッソ/ビアンコ)3,000円

シラスとカラスミの量に驚愕する!

「パスタの原価率が高くなりすぎてしまいがちです」と久保シェフが苦笑するほど、どのパスタも具材が充実し、食べ応えがある。旬のシラスを使った季節のパスタは、豊洲市場にあるシラス専門店からシラスを仕入れているそうで、この日は大阪産。すこし大きめのシラスは食べると味わいが濃く、長ねぎはグリルすることで、香りを引き出して食感を残している。

これでもかとカラスミを投入

食材の塩気を計算してパスタの塩気は最小限。上質なからすみとシラスがこんもり、その相乗効果の味わいはとても豊かで、口いっぱいに魚介の旨みが広がる。

「新鮮シラスと長ネギとからすみのオイルパスタ」 3,300円

季節感あふれる期間限定メニューは必食!

「5種のキノコのパスタ」3,500円

旬のおすすめは日本各地のキノコを使ったパスタ。この日は、ひらたけ、大黒本しめじ、黒あわび茸、柳松茸、花びら茸などが入っていた。アーリオオーリオをベースに、バターとチーズを少し加え、キノコのだしを加えることで、多層的なおいしさを作り上げている。

パスタ好きにも、ワイン好きにも魅力がいっぱいの同店。気持ちのいい昼飲み、夜にしっとりと食事を楽しむなど自由度が高い。グルメマートは上質な日常に寄り添ってくれる、ありそうでなかった食を支える新しいスタイル。その存在にこれから注目が集まりそうだ。

※価格はすべて税込

文:岡本ジュン、食べログマガジン編集部 写真:山田大輔