教えてくれる人
門上武司
1952年大阪生まれ。関西中のフランス料理店を片っ端から食べ歩くももの足らず、毎年のようにフランスを旅する。39歳で独立し「株式会社ジオード」設立後はフードコラムニストというポジションにとどまらず、編集者、プロデューサー、コーディネーターとマルチに活躍。関西の食雑誌「あまから手帖」編集顧問であり、全日本・食学会副理事長、関西食文化研究会コアメンバー。著書には「京料理、おあがりやす」(廣済堂出版)、「スローフードな宿1・2」(木楽舎)、「門上武司の僕を呼ぶ料理店」(クリエテ関西)など。年間外食は1,000食に及ぶ。
まるでフードコート? ユニークな仕掛けの店内
2023年7月、高台寺の西側、瓦屋根の日本家屋が並ぶ石畳の“ねねの道”に、薄緑の暖簾が目をひくスイーツショップがオープン。神戸の老舗ドイツ菓子店「ユーハイム」の新展開「きこりけーき 京都高台寺店」だ。
「きこりけーき」は「世界中のおいしいものを集めて新しい可能性を発信する」をコンセプトにしたスイーツショップで、2023年6月に、ロンドンにあるフードマーケット「メルカートメトロポリターノ」内に1号店がオープン。「京都高台寺店」は日本初出店の2号店。1店舗内でいくつかのスイーツが楽しめる仕掛けとなっていてユニークだ。
店内はフードコートのようになっており、「ユーハイム」が開発したAIバウムクーヘン職人「THEO(テオ)」による「THEO’S CAFE」、ジェラート発祥の地、イタリア・フィレンツェのジェラートショップ「バディアーニ」、日本のお菓子を紹介するゲートウェイ「WA!」の3つで構成。好みのスイーツを選んで、木の切り株を模した椅子に座り、箱庭を眺めながらゆったりスイーツがいただける。
デセールのような変化するスイーツ
味わいたいのは「きこりけーきkyoto」の抹茶。カップには、丸い目が愛らしい「THEO(テオ)」が焼き上げたあたたかいふわふわのバウムクーヘンと「バディアーニ」のバニラジェラートが盛り込まれ、その上に点てたばかりの丸久小山園の抹茶をとろーり。バウムクーヘンの優しい甘みと、ジェラートのクリーミーさ、抹茶のコクのある苦みが好相性。何より温度差があることで、時間が経てばジェラートがゆっくり溶け出し、バウムクーヘンのソースへと変化していく。レストランのデセールのような感覚だ。「バディアーニ」の看板であるバニラジェラート“ブォンタレンティ”は16世紀の最古のレシピをそのまま再現。クリーム・ミルク・砂糖・卵のみで作られており、ジェラートの軽いイメージとは程遠い濃密さが印象的だ。