〈これが推し麺!〉

ラーメン、そば、うどん、焼きそば、パスタ、ビーフン、冷麺など、日本人は麺類が大好き! そんな麺類の中から、「これぞ!」というお気に入りの“推し麺”をご紹介。そのこだわりの材料や作り方、深い味わいの秘密に迫る。

今回は、食べロググルメ著名人・山本憲資さんがおすすめする、唯一無二の「しいたけソバ」を提供する名店をご紹介。

教えてくれる人

山本 憲資
Sumally Founder&CEO。1981年生まれ。大学卒業後、広告代理店を経て雑誌『GQ JAPAN』の編集者に。テック系からライフスタイル、ファッションまで幅広いジャンルの企画を担当。コンデナストを退職後、自ら起業、現在に至る。スマホ収納サービス『サマリーポケット』が好評。食だけでなく、アートやクラシック音楽への造詣も深い。

惜しまれつつ閉店したあの名店が代官山で復活!

かつて渋谷・並木橋にあって、多くの芸能人にも愛された「中華 有昌」。家族経営の小さな中華料理店は、中華そばをはじめ、誠実な味の親しみやすい料理で人気を博していたが、2013年、惜しまれつつ42年の歴史の幕を閉じた。やがてその唯一無二のおいしさは伝説のように語り継がれ「中華 有昌」のラーメンは幻の名作となっていった。


「いつかきっと戻ります」
2代目となる橋本和雄さんが約束した言葉は、2020年に果たされた。神泉にあるとある店の間借りとして復活を遂げたのである。そのウワサは「中華 有昌」ファンの間にたちまち広がり、本格的な復活への期待はみるみる膨らんでいった。

そして2023年9月、ファンの熱望に背中を押されるように、10年という長い時を経て代官山に第2幕を開けたのである。

赤い看板が目印

店を開くに当たって、場所は馴染みの深い並木橋からも遠くない代官山町を選んだ。恵比寿と代官山のほぼ中間地点という静かな立地で、駅前ではないがどちらの駅からも歩いて行けるアクセスの良さが魅力だ。オシャレなカフェの入ったポップな建物の2階にあり、看板がなければそこにあることに気づかないような場所でもある。

おしゃれな白いビルの2階にあり、階段を上ると現れる小さなドアが入り口

ドアを開けるとコンパクトなスペースにL字カウンターが広がっている。白い壁に明るい色の木のカウンターは、中華というよりカフェやワインバーのようなムードだ。オープンキッチンで調理風景を眺められるライブ感が楽しい。

窓が大きく広間はカフェのように明るい
 

山本さん

東京で住んでいた家(並木橋)の近所に元々あって、通っていました。今回の復活を耳にした時はとてもうれしかったです。

並木橋「中華 有昌」の初代を父に持つ店主の橋本さん。並木橋時代から厨房に立ち、父の味を受け継いできた。地元渋谷区出身で、並木橋時代からの常連の芸能人、そして料理人仲間にも顔が広く、そんな縁もあっておいしいものにも通じている。

初代の味を引き継ぐ店主・橋本和雄さん

メニューは名物として知られた「しいたけソバ」と夏季限定の「冷やし中華」とのことで潔い。オープンしたばかりとあって、メニューを絞って全力投球で臨みたいというのが橋本さんの考えなのだ。これから先、余裕ができれば徐々に夜はつまみも出す飲み屋スタイルにもチャレンジしたいと考えているそうだ。

サイドオーダーの「ザーサイ」と「腸詰」をお供にビールで一杯もおすすめ
 

山本さん

通年ある「しいたけソバ」も、夏の「冷やし中華」もどちらもおすすめです。