【第3週のカレーとスパイス】カレー界の古豪「夢民」が野菜を強化して大復活! 古参も新規ファンも虎ノ門へ「Spice and Vegetable 夢民

かつて西早稲田駅近くに連日行列を作る大人気カレー店がありました。その名は「夢民」。と言っても西早稲田駅ができるずっと前から行列店であり、当時は高田馬場駅から15分近く歩いて通ったものです。

シャバシャバでスパイシーなカレーに野菜や卵を炒めた具材を合わせるスタイルは斬新で、インスパイアされたお店も増えたほどカレー界に影響を与えたいわば古豪なのですが、フランチャイズ展開からその終了、そして本店閉店からお台場のフードコートに復活。しかしそちらも閉店してしまうという紆余曲折を経て、遂に虎ノ門の地で装いも新たに「Spice and Vegetable 夢民」として復活したのです! めでたい!

一見渋さも感じる料亭のようなファサードですが、店内に入ってみると緑が印象的なカフェのような雰囲気。タッチパネルで注文します。

まずは名物の「ポパイカレー」1,100円を。辛さやご飯の量もタッチパネルで選べるということで、辛さは5(30円追加)、ご飯は少なめ(20円引き)で。このあたり好みにカスタマイズできるのもうれしいポイントです。

「ポパイカレー」

たっぷりのほうれん草とトマト、そしてトロトロな火入れの卵。それをすべて包むスパイシーなカレー。今食べてもこれぞ夢民と思える個性を感じる、まさに時代を問わないおいしさです。

そして今回の店舗は店名に「ベジタブル」がついているとおり、野菜にも力を入れています。野菜の数によって値段も変わるのですが「20種の野菜カレー」1,700円にポークをトッピング(200円)、辛さは3(20円追加)のご飯小(20円引き)でオーダーしました。

「20種の野菜カレー」

規格外野菜を積極的に使用しているというその姿勢も現代的。形が良くなくとも味や栄養には問題ありません。ご飯の上にたっぷりのった色とりどりの野菜。この上にカレーをかけて食べます。

それぞれの野菜の味を引き立てるようなカレー。ポークが加わることによって満足度も上がり、身体が喜ぶようなおいしさ。こちらのカレーは昔の夢民の印象とは少し違うものでしたが、新たなチャレンジということでしょう。老舗の名に甘んじることなく攻めていく姿勢も素晴らしいです。

虎ノ門エリアはカレー激戦区であり、すぐ近くに行列店もあるのですが、ここもその仲間入りしそうな気配。

古いカレーファンにとっては懐かしく、新しいカレーファンにとっては新鮮な温故知新的カレーライス。かつて他の場所の夢民で食べたことがある人も、まだ食べたことがない人も、カレー好きなら必食です。

【第4週のカレーとスパイス】まずはランチ限定のカレーからトライ!「レストラン アロム」出身シェフが赤羽にカウンターフレンチをオープン「odorat(オドラ)」

赤羽に、昼はカレー、夜はコースという形式の「香り」をテーマにしたお店ができました。その名も「odorat」。フランス語で「嗅覚」という意味です。

シェフはフランス料理に携わること10年以上。かつて牛込神楽坂にあった隠れた名店「レストランアロム」のシェフを務めていた方で、フレンチの星付きレストランやスパイス料理の名店で研鑽を積んだという経歴。

住宅街の中にぽつんと佇むお店。入ってみると清潔感があり、明るく落ち着いた雰囲気です。

ランチのカレーは「カシューナッツチキンカレー」1,300円と「ポークビンダル」1,300円の2種。あいがけ(1,600円)もできます。

「レモネード」

行ったのが暑い日だったので「レモネード」600円を飲んでみれば、レモンのほろ苦さが絶妙に残った爽やかレモネードとなっていて、文字通り一服の清涼剤。残暑厳しい折におすすめです。

「カシューナッツチキンカレー」

カシューナッツチキンはペースト状になったナッツのまろやかな口当たりと旨みがチキンと融合したカレー。老若男女幅広く愛されるであろうおいしさ。

「ポークビンダル」

一方、ポークビンダルはしっかり立たせた酸味と細かめにカットされた豚の甘みがスパイスで融合した仕上がりで、マニアも満足なおいしさ。

どちらもオーセンティックなインド料理をベースとしつつ、シェフのフレンチの経験も活きていそうなハイブリッド感あるカレーであり、副菜も彩り的にも味的にも意味あるものなのが良いです。

「クレームブリュレ」

デザートに「クレームブリュレ」400円もいただきました。パリッと焼かれた表層を割って中をすくってみるとクリーミーで濃厚なチャイのようなテイストのクレームブリュレ。これまたおいしい。

ドリンク、カレー、デザート、すべてがバランス良くハイレベルです。夜のコースにはどのようなものがあるかうかがってみると、自家製の七味を使った鹿のグリルと野菜の料理や、コリアンダーベースのスパイスオイルを使ったハタのラタトゥイユなど、契約農家から仕入れた鮮度の良い野菜を使いフレンチの技法で作り上げた料理に、プラスアルファ的にスパイスやハーブの香りを加えたものをナチュラルワインと合わせたコースとのこと。こちらも気になります。

ちなみにディナーコースの予約は前日夜まで、ランチは予約不可の数量限定となります。

赤羽というと飲み屋街が有名で、カレー味のおつまみがある人気店やインド料理の隠れた名店など色々と選択肢がある町ですが、こちらはその飲み屋街とは逆の方向の喧騒を離れた一隅。

日常的に使えるランチに、特別な日のディナーに、是非訪れてみてほしいお店です。

※価格はすべて税込です。

写真・取材:カレーおじさん\(^o^)/

文:カレーおじさん\(^o^)/、食べログマガジン編集部