酒の肴にもおすすめな鰻料理を紹介

串の盛り合わせ

最初に紹介する「とりあえず一通りセット」(1,700円税込)は、初めて訪れる人がよく注文するという、お得な串の盛り合わせ。どれにしようか迷ったら、ぜひコチラを頼んでみて欲しい。内容は、くりから、かぶと、短尺、きも、野菜の5種類が基本。野菜や部位は仕入れ状況によって変わるとのこと。焼き鳥の盛り合わせのように、手軽に色んな部位をちょこっとずつ手軽に食べられるので、酒の肴としては優秀なメニューである。

山本さんは、いろいろな部位をよくばりに頼んで少しずつ味わうとのこと
 

山本さん

すっかり高級なイメージになってしまった鰻だけど、本来はこのように串でカジュアルに食べたいところがある。その気持ちをしっかり満たしてくれる。

白焼き

白焼きのシンプルな味わいに合うお酒を店長にセレクトしてもらった。特上(3,900円)と並(2,000円)があり、写真は特上

鰻のうまみをダイレクトに味わえる白焼きは、塩を適度にふって焼き上げた一品。添えられた、わさびと柚子胡椒を少し付けて食べると、鰻の上品な脂とうまみが、繊細に引き立つ。柚子胡椒を付けて食べるのは、あまりメジャーではないが、料理長のおすすめだけあって、好相性な薬味である。こちらの柚子胡椒は九州産のもので、通常より柚子の風味が強いのが特長。

 

山本さん

定番ではあるものの、やはりうまい。お酒に合わせるなら丼ではなく、焼きで。

うな重

王道のメニューであるうな重は、飲んだ後の〆や飲みながらつまみとして食べる人も多いとのこと。お酒との相性を考えて、タレは甘さ控えめにして、ご飯もやや硬めに炊くというこだわり。タレの分量も少なからず、多からずの絶妙な塩梅にしており、鰻とお酒を一緒に楽しめるよう工夫されている。三河産の鰻を遠火の強火で丁寧に焼いたうな重は、食通をも満足させるクオリティだ。

テイクアウトもできるうな重は、特上(3,900円)と並(2,000円)の2種類。写真は特上。

お茶漬け

鰻がしっかりとトッピングされて1,000円は、かなりお値打ちだ

飲んだ後の〆にはやっぱりお茶漬けも捨て難い。うな重に出される、肝吸いの出汁を使い、かつおの風味を豊かにきかせた、鰻の身もしっかりと味わうことができる定番メニューだ。少々お腹がいっぱいでも、優しくさっぱりとした後味なので、ついかきこんで一気に食べてしまう。

わさびの風味がアクセントになり、鰻のうま味をより感じる
 

山本さん

うな丼を食べに行くとお茶漬けにたどり着かないところだが、飲みながらシメにお茶漬けというのはこのお店らしいポイント。

シーンや時間帯によって使い分けることができる店

日本酒をこよなく愛する店長と、酒に合うメニュー作りに妥協をしない料理長との2人で切り盛りをする「勝手口 ひまり屋」は、料理もさることながら、知人の家に遊びに行ったかのような居心地もとても良い空間だ。昼飯をフラッと家族で食べに行ったり、友人と夕方から一杯飲んだりと、いろんな使い方ができる貴重なお店。鰻好きはぜひ一度は訪れてみて欲しいと思う。

※価格は税込。

撮影:千葉英里
文:千葉英里、食べログマガジン編集部