今、一番“おしゃれ”なフードが食べられている場所はココ！

ファッション業界歴○十年の著者が、ファッション業界の食べ物にまつわるトレンドを独自の視点で語る連載コラム。今回はファッションの撮影現場での好まれる食べ物について。モデルや女優に人気のケータリングはどこ？

おしゃれフードトレンドを追え！ Vol.6

モデルや女優を満足させるのがマスト！今、ケータリングフードがアツい理由。

12月は雑誌やカタログも年末進行で、出版・広告業界にとっても繁忙期だ。連日の撮影でスタジオに引きこもり状態だったり、ロケ現場を転々としたりと、みんな馬車馬のように働いている。そんな撮影現場で、モデルや編集者たちはどんなランチを食べているのか？　唐揚げ弁当？　寿司？　そば・うどん？　いえいえ、最近の撮影ごはんは「お弁当」よりも「ケータリング」が主流だ。木やかごで作られた器の上に鮮やかなメニューが並んだ、とにかくお洒落なランチばかり。昼時になると、無機質なスタジオがまるでパーティー会場のように華やぎ、女性スタッフがキャッキャ言いながら写真を撮っている。

昔から、できるエディター（雑誌編集者）はいい店を知っていると言われているが、今の時代は編集者たるもの、お洒落で美味しいケータリングを押さえずして、いい撮影現場は作れない！と言われているほど。「あの雑誌の撮影現場って、ゴハンがいいよね～！」なんて噂になったらこっちのもの。撮影ゴハンは、ファッションまわりの業界にとって重要な意味をもっているのだ。

最近のケータリングは、店を持たない個人が請け負うスタイルが人気だ。フードコーディネーターとして撮影やイベントで活躍している料理研究家だったり、元ヘアメイク、元プレスといった異業種からのケータラーへの転身も多く、最近では現役モデルまでもが展示会にスイーツをケータリングしているほど。センスとやる気とコネクションさえあれば、ケータリング業デビューは難しくない。今撮影現場などで人気なのは、断然ヘルシー系！　しかも無農薬野菜を使い、無添加。お米は当然雑穀米や玄米が多く、おかずは野菜中心だ。スパイス使いもお洒落で、一見普通に見える唐揚げもアジアンな味付けだったり、魚の煮物もココナツミルクで仕上げてあったり、切り干し大根をツナで和えたサラダだったり。こうしたちょっと不思議かつ絶妙な組み合わせが、女子の心をくすぐるのだろう。

男子が多い現場で好まれるのはお腹にガツンとくる王道系？

しかしメンズが多い現場ではどうだろう？　野菜中心のヘルシーな料理、食べたことのないお洒落なメニューが続いたら、なかなか厳しいのではないか？　連日お洒落ケータリングを食べていたレディス誌編集者が「モデルを気遣ってヘルシー系のケータリングにしているんだけど、やっぱりあれだとお腹空いちゃうんだよね」と言っていた。そうだろう、そうだろう。またある日、私が食べていた人気ヘルシー弁当を見て30代男子に「肉はないんスか？」と聞かれたこともある。やっぱりたまには王道の唐揚げ弁当、スタジオ近くの早くて安くて旨い蕎麦屋さん、餃子が美味しいロケ地近くの大衆中華料理、なんてのも親しみがあってよいのではないか。

食事で話題作りをして盛り上がりたい女性誌の撮影時は、お洒落ケータリングが必須、でも男子が多く集まる撮影時には普通の店屋物の方が無難なのだ。私が男性誌の編集部に在籍していた頃は、撮影御飯のベストランキングはうなぎ、寿司、カレー、うどんという、女子っぽさのかけらもないメニューだった。

最近お洒落ママたちの間では、ケータリングを家（ホムパ）に呼ぶのも流行っているのだとか。女性誌の撮影ゴハンを真似して、ケータリング新年会でも開こうかと思い始めている。

撮影で大人気な2大ケータリングはここ！

MOMOE（西小山）

出典：酔いどれお姉さんさん

稲垣晴代さんによるフードケータリングユニット。ケータリングやイベント出店から、フードコーディネートまで行なっている。野菜中心のメニューで、野菜は自然栽培か有機栽培、化学調味料も無添加の体に優しい味。コンセプトは「体も美味しいごはん、つくります」

chioben（代々木上原）

美大出身の料理人、山本千織さんが作るお弁当。彼女のワークショップは連日大盛況で、出版された『チオベン見たことのない味チオベンのお弁当』（マガジンハウス刊）も大人気。わっぱ飯風に、丸いお弁当箱にごはんを敷き詰めて、その上にお惣菜を並べていく「のっけ弁当」方式。男性でも食べ応えがあるようにと揚げ物を1品入れている。現在一般販売は行なっていないので、イベントなどで登場する機会を待とう。