「食べログ グルメ著名人」で渋谷区初のCEO(Chief Eat Officer)を務める小宮山雄飛さんに、東京の“料理がおいしい酒場”を教えてもらう連載! 第11回は、豊富な蕎麦前が楽しめると人気の下町のそば屋「手打そば さかき」のおいしいポイントを教えてもらいます。
【東京メシうま酒場 vol.11】「手打そば さかき」
日々居酒屋巡りをしている僕ですが、酒場の原体験は実はおそば屋さんでした。
父が老舗のおそば屋さんで、いわゆる「蕎麦前」で一杯やる姿を見て、いつか自分もそば屋でかっこよく呑める大人になりたい、と思ったのが酒飲みへの入口でした。ということで今回は、僕の大好きなそば屋飲み!
そばはもちろん、そば前もおいしいと人気のさかきさん。 店主は「食べログ そば 百名店」にも選ばれている武蔵小山の有名店「紫仙庵」にいらした方。
おそば屋さんでは、玉子焼きや板わさなどがツマミの定番ですが、日替わりでさまざまな料理を楽しめるというのもうれしい限り。それでいて、創作料理になりすぎない、あくまでそば屋のツマミとして成立する和食ベースなのも絶妙です。
おひとりでもあれこれ楽しめる三種盛り。そばの実がたっぷりのった蕎麦豆腐に、青豆の色が綺麗なゆば刺身、あっさりしたツマミでチビチビ始めるのがそば屋飲みの醍醐味。ということで、さっそく日本酒を注文。
京都の弥栄鶴をぬる燗で。
アナゴにこごりを口に含みつつ、ぬる燗のお酒を呑むと、口の中で煮こごりがじゅわっと溶けて、最高のハーモニー。なんとも味わい深いそば前です。
見た目もキレイな苺の白和え。
常連さんからも人気の白和えは、季節ごとに旬のフルーツを使用していて、定番の柿はもちろん、シャインマスカットの白和えなんて時もあるんだそう!
苺の白和えは、酸味と甘味が絶妙で、裏漉しした豆腐の滑らかな食感も相まって、酒のツマミでもありスイーツのようでもあります。なんてお洒落なそば前なんだ!
苺に合わせるのは、こちらもお洒落なパッケージの寒菊OCEAN99。千葉県は九十九里浜の純米吟醸酒。
冬季限定の無濾過生原酒で、実にフレッシュな味わい。下町のそば屋さんで味わう、苺と新酒の爽やかな組み合わせ。
こういうお店を一軒知っていると、かっこいい大人に思われるんでしょう(たぶん)。 ここら辺から、ぐっとそばの方に寄せて行くのがそば屋飲みの良い流れ。
ということで、そばがきを注文。
ふわふわトロトロの食感が絶妙です。 そのままでもおいしいのですが、お箸で適量を取って焼き海苔で包んでわさび醤油で食べると、ぐっとツマミ感が出て、さらにお酒が進むやつです。
そば屋飲みといえば、外せないのがそば焼酎のそば湯割り。
鳥取の「がんばるなかれ!」は、そばの香りが爽やかな焼酎。こちらを割るそば湯はいわゆる濃い〜タイプ。
そばがきをツマミに、そば焼酎のそば湯割り、そば前なのにめっちゃそばを堪能しています。
〆のそばに行く前に天ぷらを。
プリプリの牡蠣が4つに野菜天もついて1,200円はお得! 熱々を塩で味わい、その後はおろしと天つゆで味変を楽しむ。
豪華なそば前をしっかり堪能したところで、いよいよおそばです。
最後はシンプルなせいろがおすすめ。
十割でしっかりそばの香りを感じながら、コシもしっかりあり、これぞおいしいそばの見本!という感じのそばです。
量が多すぎず少なすぎずというのも、そば前もそばもしっかり楽しみたいそば好きにはうれしいポイントです(少なすぎるのも嫌だけど、多すぎてもまた困るという、そば屋飲み好きの面倒な性格をよく理解してくれています!)。
いつもは冷たいせいろで〆るのですが、こちらのお店ではぜひとも温かいそばも試していただきたい。だしの味をしっかり感じる、透き通った上品な汁がめちゃくちゃおいしいのです。
こちらはそば粉10割に対して小麦粉2割を足した外二(そとに)のそばで、温かい汁でもしっかりコシが残っています。ごぼうかきあげからじんわり染み出してくる油で、味が変化していくのもいいんです。
そば前をしっかり楽しんでからの、冷たい&温かいそばでのフィニッシュ! そば屋飲みの魅力をじっくり堪能できる、下町の名店です。
※価格はすべて税込