見た目よし、味よし、食感も楽しいパスタがやみつきに

推薦人の秋山さんがおすすめするのは、絶品のパスタ3品とタパス1品。いずれもワインが進むことうけあい。

4種のキノコとトリュフが香る「キノコクリーム、トリュフオイル」

「キノコクリーム、トリュフオイル」1,100円

取材にうかがった日は「ボンゴレビアンコ」や「アマトリチャーナ」など約12種類のレギュラーメニューに加え「桜えび、ユリネ、アンチョビクリーム」など日替わりで5種類、合計17種ものパスタがラインアップ。プライスはほぼオール1,100円と明朗だ。

 

秋山さん

とにかくパスタの種類が多く、本格イタリアンパスタから和を組み合わせたパスタ、「ルパン三世」の映画に登場したミートボールのスパゲッティ「カリオストロの城」もメニューに並ぶなど、実にワクワクして楽しいんです。どのパスタも食材を最大限に生かしてありおいしいです。

生クリームを加えた贅沢なソースが4種のキノコを包み込む

秋山さんのイチ押しが、シンプルな構成ながらうまみたっぷりの「キノコクリーム、トリュフオイル」だ。具材に使われているのはシメジ、マイタケ、エリンギ、ヒラタケの4種類。

下味をつけたキノコを生クリームでソテーし生クリームと軽く煮込み、ゆで上がったパスタをからめたらお皿へ。仕上げにトリュフオイルを、パスタを囲むようにぐるりと回しかけたら完成だ。

パスタの周りに黄色く見えるのがトリュフオイル

「最後にオイルをかけることで、見た目も華やかになり、トリュフの豊かな香りも楽しめます。全体を崩しながら、トリュフオイルをからめて味わうのがおすすめです」と海老沢さん。

オイルには黒トリュフの天然エキスが使われ、生クリームの濃厚さを上品な風味に整える役目を果たしている。玉ねぎやベーコンなど他の具材は足さず、あえてキノコだけ。素材そのもののうまみや食感がより際立つよう仕上げているのは、海老沢さんならではのセンスだろう。

 

秋山さん

キノコがたっぷり入っていて、クリームをまとったパスタとキノコの食感がうれしくて、トリュフオイルの香りが贅沢で鼻にもおいしいんです。

コンフィしたサンマを味わう「ペペロンチーノ」

サンマはほぐし身と大きめの切り身が混在。意外に思えるバジルとサンマが実によく合う

秋山さんおすすめの2品目は「ペペロンチーノ」1,100円。合わせる食材は季節で変わるが、秋山さんが堪能したのはサンマ、ミニトマト、バジルのペペロンチーノだ。

「サンマは、オイルに浸してオーブンでコンフィして仕上げています」と海老沢さん。コンフィとは、低温のオイルでじっくり煮ていくフレンチの調理法のこと。時間をかけて熱を通すことで、サンマの旨味がしっかりと引き出され、しっとり柔らかく仕上がるという。

ちなみにサンマをはじめ、店で使う魚介類は、街でよく知られる老舗魚問屋「魚真」から仕入れたもの。「お手頃価格でいいものが手に入るので助かっています」(海老沢さん)

 

秋山さん

ペペロンチーノの辛味に、ミニトマトの酸味、旬のサンマの旨味と苦み、バジリコの爽やかさが合わさった、この時期に食べたいパスタです。

コク、旨味、塩味がクセになる「カラスミバターソース、九条ネギ」

本場のカラスミパウダーがたっぷり、九条ネギの食感も楽しい

3品目は「カラスミバターソース(九条ネギ)」1,100円。ボラの卵巣を塩漬けにして乾燥・熟成させたカラスミは、地中海沿岸、中でもスペインで特に人気が高い珍味。

フライパンでニンニクと九条ネギをソテーし、バター、ゆでたパスタを加えて絡め、惜しげもなくたっぷりふられた本場スペイン産パウダーが全体をまとめ上げている。色鮮やかな九条ネギとの相性も抜群だ。

 

秋山さん

バターのコクが利いたパスタに、カラスミの旨味と塩味、そしてシャキシャキの九条ネギの食感もよく、一度食べるとクセになるパスタです。

ワインのアテにも最高!「肉詰めマッシュルーム」

オーブンで焼かれる前のマッシュルーム

秋山さんが4品目にあげてくれたのは、おつまみにもぴったりなピンチョス「肉詰めマッシュルーム」700円。ピンチョスとはスペイン料理の一種で、串や楊枝に刺した一口サイズの軽食を指す。

本場スペインではマッシュルームにみじん切りにした生ハムを詰めてオーブンで焼くが、ガラムマサラやクミンなど、カレー風味のスパイスで味付けした豚挽き肉を詰めて焼くのがニューハナイ流だ。

スペインさながらのおしゃれなピンチョスピックで映える

焼き上がったら鮮やかなオレンジ色のパプリカパウダー、そこにパセリの緑をプラス。ベースがマッシュルームなので見た目よりずっと軽い口当たりで、スパイシーな豚肉がこれまたよく合い、いくつでもペロリと食べらる魅惑の一皿だ。

 

秋山さん

気軽に片手で食べられて、ワインのアテにも最高です。

料理を通じて膨らむ人の輪が何よりうれしい

左からフランス「ガム・カブ・デュ・ブレッド」、南アフリカ「フォース セレステ シュナン ブラン」、新潟「ドメーヌ ショオ yorukana」

独創性・完成度ともに高い料理ではあるが、学生も多い農大通り商店街という立地柄、この辺りの相場に合わせたリーズナブルな価格設定が喜ばれている「ニューハナイ」。

どの料理もワインとの相性が抜群で、日本を含む世界各国のワインを取りそろえ、グラスはオール700円、自然派も人気だ。リストは常に入れ替わり、訪れる度に新しい出合いと発見があるのもワイン好きにはうれしい。

料理と並んで登山も好きな海老沢さん。山を歩きながら料理のことを考えていることも

どちらかというと言葉少なめで、店構えと同じように控えめな海老沢さんだが、仕事への情熱は熱い。休みの日はジャンルを問わず都内各所へ食べ歩き、雑誌やSNSをチェックするなど、そこから新作料理のヒントやインスピレーションを得ることもあるという。

「料理を通じて、人の輪が広がることが何よりうれしく楽しいですね。仕事を終えてから顔を出した近所の店で常連さんにばったり会って、飲みながら話すこともありますよ」

日本の、経堂という街にありながら、漂う雰囲気も出てくる料理も本場感がある「ニューハナイ」。食事だけしたい、一人で飲みたい、ワイワイ飲みたい、さまざまなシーンに自然となじむ使い勝手のよさも、この店の大きな魅力だ。人気店ゆえ、予約をするのをおすすめしたい。

※価格はすべて税込です。

※本記事は取材日(2022年11月22日)時点の情報をもとに作成しています。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認ください。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

撮影:齋藤ジン
取材・文:池田実香(フリート)