〈食べログ3.5以下のうまい店〉

巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー! 食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。

食べログでは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。

点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。

そこで、グルメなあの人にお願いして、まだまだ知られていないとっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介。今回は、「最高の音響設備、最高の選曲、そして最高のお酒で『遊びの質』にこだわる大人が楽しく過ごせる」とフードライターの船井香緒里さんが教えてくれたバーをご紹介!

教えてくれる人

船井香緒里

福井県小浜市出身、大阪在住。塗箸製造メーカー2代目の父と、老舗鯖専門店が実家の母を両親に持つ、酒と酒場をこよなく愛するヘベレケ・ライター。「あまから手帖」「dancyu」「BRUTUS」などでの食にまつわる執筆をはじめ、「dancyu.jp」で連載「大阪呑める食堂」を担当。「GOOD EAT CLUB」では、日本中の愛すべき食の発掘や執筆も担当するなど、食を軸としながら縦横無尽に展開。暴飲暴食を日課とし、ジョギングとロードバイクにて健康維持。「Kaorin@フードライターのヘベレケ日記」で日々の食ネタ発信中。

リラックスできる大人の遊び場

地下1階にある店内は雰囲気満点。真ん中のカウンターでは珍しい、サーバーからそそぐタップ・カクテルなどが楽しめる

ストレス社会とも言える現代において、誰にでもスイッチを切る時間は必要なもの。仕事終わりに好きな音楽を聴きながら、好きなお酒を嗜み、ゆっくりとリラックスするのはまさに至福のひと時と言えそうだが……それを実際に行おうとすれば意外と大変なものである。

ワイワイと騒がしい大衆的な居酒屋では落ち着かず、小路でひっそりと営業しているバーで一杯というのはハードルが高い場合もある。「大人のリラックスタイムなんて夢のまた夢」と結局はコンビニで買った缶チューハイとおつまみを肴にして自宅で過ごすなんてこともよくある話だ。

だが、そんな「大人のリラックスタイム」に憧れるあなたに紹介したいのが「THE MUSIC BAR CAVE SHIBUYA」。口コミの点数は3.09。最高の音楽を聴きながら、お酒や料理を楽しめるというまさに大人の遊び場とも言うべきミュージックバーだ。

※点数は2022年12月時点のものです。

居心地のいいゆったりとした空間で過ごす贅沢なひと時

カウンターの両サイドにはタンノイのウエストミンスターを1台ずつ設置。3,000枚超のレコードから専属のセレクターによるチョイスで音楽が流される
マネージャーの水口さん。バーテンダーとしての顔も持ち、オリジナルのカクテルも考案する
シェフを務める山名さん。イタリアンのシェフとして長年のキャリアを誇る

渋谷・明治通り沿いを歩いてすぐのところにある「THE MUSIC BAR CAVE SHIBUYA」は、もともと音楽家の小林武史氏が2011年に代々木でオープンした「YOYOGI VILLAGE MUSIC BAR」が2021年に渋谷に移転したもの。代々木時代はバーとレストランと業種を分けて営業していたが、渋谷に移転後はそれらを融合させることでよりリラックスできる雰囲気の店内になったという。

「カウンターなどは代々木のころから使っていたものをそのまま持ってきて仕上げています」と教えてくれたのはマネージャーの水口さん。そのため、代々木のころからの常連客からは「カウンター席だと代々木のころからの見慣れた光景」と評されることも多いという。ゆったりとくつろいでいる様子がわかるエピソードである。

カウンター席の後ろに見えるスピーカーはイギリスのタンノイというメーカーのウエストミンスターという最上級品。柔らかいフワッとした音が流れるため、大音量でも聴き疲れずにくつろげるというのも、この店ならではの工夫である。ここでマネージャーであるとともにバーテンダーを務める水口さんが作るカクテルとシェフの山名さんが担当する料理が楽しめるのだから、なんともぜいたくな時間を過ごすことができる。

 

船井さん

最高の音響設備、最高の選曲、そして最高のお酒。