【食を制す者、ビジネスを制す】

ティファニーか、瓢亭か

オードリー・ヘップバーン主演の名作『ティファニーで朝食を』。作中では主人公がニューヨーク五番街にあるティファニー本店でショーウィンドウを眺めながら、パンとコーヒーで朝食をとるシーンが有名だが、実際のティファニー本店でも映画公開から50年以上の歳月を経て今年11月、本当にカフェをオープンしてしまった。報道によれば、店名は「ザ・ブルー・ボックス・カフェ」。本店の4階にあり、クロワッサンやフルーツなどの朝食が29ドル(約3300円)で供されるという。

 

この映画の主人公は、気持ちが沈んだとき、ティファニーのショーウィンドウに並ぶジュエリーを見ながら、朝食をとることで気分を和らげたというが、現代のビジネスパーソンの皆さんはどんな朝食で気分を盛り上げているだろうか。

 

私の場合、朝食は和食派で、自宅ではごはんと味噌汁と納豆を基本に、鮭とキュウリの浅漬けがあれば、それで満足してしまう。出張でホテルに泊まったときでも、朝食は必ず和食だ。とはいえ、最近のホテルの朝食はバイキング形式が多く、和食のラインナップ以外に洋食のおかずやフルーツにも、手を出してしまうことも多い。貧乏性のせいか、お金のもと以上のものをとろうと、むやみやたらに食べてしまうのである。

朝食はモチベーションアップにつながる

実は朝食こそ、ビジネスパーソンにとって、非常に重要なものだ。それは朝からモチベーションを高めていくために必要なエネルギー源だからだ。朝食を食べるには早く起きなければならないし、早く起きるには健全な生活を送っていなければならない。朝起きたときに、お腹が空いている状態がベストで、何を食べてもおいしいという状態がいい。

 

実際、リーダーの地位に付いているビジネスパーソンたちは、そうした状態を保つことに自覚的である。彼らほど朝早く起きて、ジョギングやウォーキングなどでウォーミングアップをしながら、身体を調整していく。そうした過程で自然とお腹も空いてくる。だから、朝ごはんを一杯食べる。まさに「腹が減っては戦(いくさ)ができぬ」という言葉さながらに、エネルギーを補給していくのである。

 

例えば、外資系社長を歴任し、プロ経営者と言われたある著名な社長は、朝食ではできるかぎり同じものを毎日食べるという。それは、もし日頃と違うものを食べてお腹をこわすようなことがあっては仕事に支障をきたしてしまうからだ。さらに言えば、同じものを食べることで、自分の体調が万全かどうかを確認するためという理由もあるという。

 

リーダーたちは、朝からエンジンをフル回転させなければならない。懸命に仕事をするには体力がいる。一日中、パワフルに動きまわり、そのリズムを毎日保つためには、きちんと朝食をとることが必要なのである。

日本が誇るとっておきの朝食

リーダーは、普通の社員のように、昨夜酒を飲み過ぎて今日は二日酔い、ランチ時の食事はちょっと軽めで、というわけにはいかない。リーダーになりたい人なら、きちんと朝食を食べてモチベーションを高めていくことが大切だ。

 

その意味で、ときには豪華な朝食を目指すことがあっていいかもしれない。日本で「ティファニーで朝食を」並みに朝食が有名な店といえば、京都「瓢亭」の朝がゆが挙げられる。こちらは朝がゆとともに瓢亭玉子と言われる半熟卵が名物で、本館では6,000円、別館では4,500円で供される。共に税・サービス料込の値段だ。

 

若い方なら「瓢亭別館」のほうをお薦めする。ちなみに朝がゆは3月16日〜11月30日までで、12月1日~3月15日は同じ朝がゆでも鶉(うずら)がゆとなる。別館の営業時間は午前8時〜午前11時までで、予約は必須だ。

出典:ぴーたんたんさん
出典:ぴーたんたんさん

 

瓢亭は京都の料亭の中でも最高峰の一つに位置付けられる名店であり、これまでも多くの政財界人たちが朝食のためにこの店を訪れてきた。ここでは朝食についても、常に紳士淑女たちが集ってくる。それゆえ、心理的なハードルは高い。だが、勇気を出して、一度行ってみると、その素晴らしさに気づく。

出典:bottanさん

 

京都の名店は、どこに行くにしても、この勇気が必要だ。そうしなければ扉は開かない。ティファニーならぬ「瓢亭で朝食を」を実践するには、ティファニー以上に勇気がいるかもしれない。だが、一度体験しまうと、その気分は最高潮に達する。京都の名店、一度はお試しあれ。