〈これが推し麺! 〉

ラーメン、そば、うどん、焼きそば、パスタ、ビーフン、冷麺など、日本人は麺類が大好き! そんな麺類の中から、食通が「これぞ!」というお気に入りの“推し麺”をご紹介。そのこだわりの材料や作り方、深い味わいの秘密に迫る。

今回訪れたのは、食べロググルメ著名人の塩沢航さんがおすすめする中国料理店、代々木八幡にある「宝味八萬(ホウミハチマン)」。具が一切入っていないにもかかわらず、頼まずにはいられないという“具なしの焼きそば”こと「鼓油皇炒麺(シーヤウウォンチャウミン)」を紹介しよう。

教えてくれる人

塩沢 航

小山薫堂事務所「N35」の放送作家。1975年生まれ。師匠・小山薫堂の一番弟子にして、師匠譲りのグルメ作家としておなじみ。主な担当番組は「アナザースカイ」「オモウマい店」「有吉くんの正直さんぽ」など。「パレ・ド・Z」「リモートシェフ」など食にまつわるコンテンツも多数担当している。

本場中国の家庭料理の味をリアルに楽しめる

塩沢さんの推し麺「宝味八萬」の鼓油皇炒麺は900円

昨今人気を集める「町中華」と呼ばれるジャンルとは一線を画し、本場中国の料理がリーズナブルな価格で楽しめるということで食通たちの間でひそかな話題になっているのが通称「味坊集団」。神田の「味坊」を筆頭に都内各地に異なるコンセプトの系列店が出店し、各地で人気を博している。

その中で渋谷区では初の出店となったのが「宝味八萬」。代々木八幡駅から徒歩1分……どころか数十秒という抜群の立地を誇り、塩沢さんも昨年のオープン当初からひいきにしているという。

 

塩沢さん

リーズナブルな値段設定でありながら、オリジナリティあふれる業態を展開する「味坊集団」の新店ならばと伺ったのが去年。期待通りでした。

食材はすべて自家製。30年以上のキャリアを積んだ職人が点心を作り上げる

「味坊集団」は店舗によって提供するメニューがやや異なり「宝味八萬」では点心や広東料理をメインに提供している。厨房のスタッフは全員中国出身、中でも点心を担当するスタッフは広東の出身で30年以上のキャリアを誇る職人が担当するというこだわりようだ。

お話を伺った店長の目黒さん

「料理に使う野菜や点心の皮など、すべて一から手作りするのがこのお店のこだわりです」と、教えてくれたのは店長を務める目黒さん。ファミリーも多い代々木八幡という街に合わせて「味坊集団」では初めて点心をメインにして、さらにテイクアウトも可能にした。そのため、週末のランチタイムは多くの家族連れがやって来ては本場の味を堪能している。

店内はすべてテーブル席で40席が用意されているが、夜には晩酌目当てでやって来る一人客も多いという