TOKYO HIP BAR

Vol.12 夜をはじめる心地よい口づけのカクテル

指先と唇で触れたときにも

ときめくカクテルとは

 

カクテルを味わうときに関わるのは味覚や嗅覚。だけれど加えて指先や唇から伝わる感触もとても大切だと気づいたのは、あるカクテルを飲んだときからです。

 

 

ザ・ペニンシュラ東京の最上階に位置する「Peter バー」には「東京ジョー」というシグネチャーカクテルがあり、京都町屋の格子造りからインスピレーションを受けたホテルのロビーのインテリアをモチーフにした持ち手に杯がのったこのカクテルが人気のカクテルとして君臨していました。

 

 

2017年9月1日にザ・ペニンシュラ東京は開業10周年を迎え、それを記念して11月1日より「東京ジョー ネクストジェネレーション」なるカクテルが誕生したのですが、そのカクテルはまさに唇や指先で味わうカクテル。新生「東京ジョー」のグラスは、よく磨き込まれた竹製のグラス。ほのかに香る竹の香りはもちろん、つやつやの竹の感触が心地よく指先を魅了します。

 

オリジナルの「東京ジョー」は「カサブランカ」のハンフリー・ボガート主演で撮られたアメリカ映画「東京ジョー」から名づけられたもの。1948年の戦後間もない東京で撮影されており、現在ザ・ペニンシュラ東京が建つ、当時の日比谷の街並みがモノクロ映像の中に映されています。

 

 

女性バーテンダーが作ったカクテルで

バーでの出会いにも期待!?

 

構造的でモダンな器にいれられた「東京ジョー」は東京の高度成長を思わせるようなカクテルなのですが、一方「東京ジョーネクストジェネレーション」は素材感を生かした竹に入れられたカクテル。

 

ボンベイ・サファイアにドランブイ、梅酒、クランベリー、レモンジュースを加えていた「東京ジョー」に対し、レモンフレーバーのウォッカであるグレイグースシトロンに、梅酒、クランベリージュース、よもぎリキュール、柚子ジュースと味わいもより柔らかなものになっています。自然との共存や日本回帰が時代の主軸になりつつある時代性を映した「東京ジョー ネクストジェネレーション」はまさに東京の進化を表したようなカクテルです。

 

カクテルを開発したのはバーテンダーとして活躍後、現在は飲料部のビバレッジマネージャーを務める鎌田真理さん。女心をつかむ術を心得ています。ちなみにオリジナルの「東京ジョー」を開発したのも鎌田さんで、このカクテルは鎌田さんご自身の進化も見て取れます。クランベリーで鮮やかに染まった赤い液体は、より爽やかで洗練された味わいになり、指先や唇に触れる竹の感触と合わせて楽しめます。既存の「東京ジョー」の提供も続くそうなので、新旧の飲み比べもおすすめです。

 

艶やかな「東京ジョー ネクストジェネレーション」から始まる夜は、いい出会いにつながりそうな予感がします。