目次
〈食べログ3.5以下のうまい店〉
巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー!
食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。
食べログは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。
点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。
そこで、グルメなあの人にお願いして、本当は教えたくない、とっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。 今回は、食べロググルメ著名人の山本憲資さんが「珍しいカテゴリーながら奇抜ではなく、しっかりとおいしい!」と言うメキシコ料理店をご紹介。
教えてくれる人
山本憲資
Sumally Founder&CEO。1981年生まれ。大学卒業後、広告代理店を経て雑誌『GQ JAPAN』の編集者に。テック系からライフスタイル、ファッションまで幅広いジャンルの企画を担当。コンデナストを退職後、自ら起業、現在に至る。スマホ収納サービス『サマリーポケット』が好評。食だけでなく、アートやクラシック音楽への造詣も深い。
親しみやすいメキシコ料理とテキーラカクテルのペアリングを提案
「面白い店があると友人が教えてくれた」とこの店との出会いを振り返るのは、雑誌『GQ JAPAN』の元編集者で、様々なジャンルのモノ・コトに精通し、現在はサマリーポケットを展開するSumallyの代表である山本憲資さん。
その店とは、2019年にオープンし「モダンメキシカン」を謳った創作料理で、感度の高い食通らに浸透しつつある「Ecle.enishi (エクレ エニシ)」。
「『エクレ』とはフランス語で『折衷』や『選りすぐり』という意味。『エニシ』は日本語の縁。和の要素も取り入れた新しいメキシコ料理を目指してます」と語るのは店長の丸山楓さん。珍しさだけでなく、その確かな味わいで山本さんも足を運ぶようになった。
食べログ点数は3.13。メキシコ料理というあまり馴染みのないジャンルが影響しているのかもしれない。現在は12,000円からのコースのみで提供。19,500円のコースになるとテキーラなどのカクテルとペアリングが楽しめるという。それではせっかくなので、ペアリングのコースを試してみたい。
※点数は2022年8月時点のものです。
濃厚な味わいの中に変化ある食感が楽しめるレギュラーメニュー
コースの料理はおよそ10品。ペアリングコースでは、それぞれの料理にテキーラマエストロの資格を持つバーテンダーの靍田有里子さんが作るカクテルが提供される。テーブルに運ばれてきたのは、アボカドとウニのワカモレをサクッとした生地で挟んだ一品だ。
中に挟まっているのは、北海道産の新鮮なウニと追熟されたアボカド。これらに醤油麹などを混ぜた辛子味噌も加わる。さっそく和とメキシコの折衷料理の登場だ。これを指でつまんで豪快に口に運んで味わおう。
山本さん
季節を問わず定番料理として楽しめる一品。ウニと追熟アボカドのねっとりした舌触りの中に、プチプチした醤油麹の食感が楽しいです。濃厚な旨みが打ち寄せてきます!
旨みの余韻を楽しみながらパロマを流し込む。グレープフルーツジュースとテキーラ、トニックソーダ等で作られた一杯は、爽やかな酸味とほのかな塩味が広がり、食欲をさらに刺激。コース序盤にぴったりのカクテルだ。
ダシとトマトの旨みがフュージョンする冷製メニュー
続いて提供されるのは魚や野菜などの冷製メニューが3品ほど。この日の一品はメキシコ版魚介のマリネ「セビーチェ」だ。マイクロハーブを散らした下には、円形に並べた帆立のムース。中心にはトマトの旨みだけを抽出したトマトスープを流し込む。
帆立はカツオと昆布のダシを混ぜ合わせムース状に。さらにカボス、スダチ、シークワーサーを加えて味を調える。マイクロハーブの可愛らしさも目を引く。
山本さん
滑らかな帆立のムースからは、帆立本来の味わいとダシの風味が広がります。さらにトマトの旨み、柑橘類の爽やかな香り、マイクロハーブの刺激が渾然一体となり、単に「メキシコ版マリネ」と表現するにはもったいないほど、奥深い料理に仕上がってます。
山本さん
この料理に合わせるのはイチゴ、ラズベリー、テキーラ等を加えたカクテル。フレッシュなイチゴの甘さと酸味がバランス良く、優しい味わいがセビーチェを引き立ててくれます。