〈食べログ3.5以下のうまい店〉
巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー! 食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。
食べログは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。
点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。
そこで、グルメなあの人にお願いして、本当は教えたくない、とっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。今回は食に精通するテレビプロデューサーの本郷義浩さんがおすすめする鍋料理店を紹介!
教えてくれる人
本郷義浩
テレビ番組プロデューサー&ディレクター。現在も継続中の料理情報番組『魔法のレストラン』を2001年に立ち上げ、『真実の料理人』『京都知新』『音舞台シリーズ』『芸術都市パリの100年』『若冲降臨。増殖する細胞』など料理情報、アート、音楽、ドキュメンタリーなど多岐にわたる番組を制作。毎週日曜日夕方4時半からMBSラジオでオンエア中の『TOROMI RADID』のMCもつとめる。
春夏秋冬を通じて鍋を楽しめる希有なスタイル
数多くの飲食店がひしめき合う大阪・JR天満駅周辺。その喧噪からほんの少し離れた場所にあるのが、今回紹介する「肉鍋 しゃぶしゃぶ 029番地」。こちらの鍋料理に魅了され、定期的に通っているのが、人気グルメ番組を手掛けるテレビプロデューサーの本郷義浩さんだ。
「自宅から近いので、最初は店頭で看板を見て偶然入りました。それ以来定期的に通ってます」とこの店との出合いを振り返る本郷さん。「最初に食べたのは『旨みトリトン』という鍋。スープのコクの深さに驚き『ほかの鍋も食べてみたい!』と思いましたね」。本郷さんをそれほどまでに惹きつけた鍋とは一体、どんな味わいなのか?
食べログ点数は3.17。鍋料理と言えば寒い季節だけのものと思われがち。そんな季節的な要因もあるかもしれない。春夏秋冬楽しめる鍋料理の魅力に迫ってみたい。
※点数は2022年7月時点のものです。
旅先で出会った異国の鍋料理をヒントに生まれた名作鍋
「鍋料理だけで5種類以上あり、それぞれが辛味、旨味、酸味など味の特徴が異なります。ほかでは味わえないオリジナルスープを楽しんでほしい!」と語る本郷さん。その中でもイチオシなのが「ラーの辛味」だ。
「フランスを旅した時に出合った火鍋料理にヒントを得て開発しました」と話すのは店主の武田佑介さん。独特な色合いのスープの完成までには試行錯誤を繰り返した。「細かいレシピは企業秘密ですが、本当に色んなものが入ってますよ」と詳細を語らない。
メインの具材は和牛の前脚の付け根周辺の希少部位「ブリスケ」。鮮やかな紅色に美しくサシが入った見た目だけでも食欲をそそる。ほかには大量のパクチー、モヤシ、エリンギ、マッシュルーム、そして季節の葉物野菜などボリューム満点だ。「パクチーが苦手な人は、ニラに変更させていただきます」と武田さん。
本郷さん
じわりと広がる唐辛子の辛さだけでなく、ほのかに感じる甘味もあり、実に複雑な味わいのスープ。しかもコクがすごい。ブリスケはとろけるように、パクチー(またはニラ)の風味を優しく包み込みます。まさにここでしか食べることができない味です!
具材を食べ終わったら、残りのスープで〆の一品を楽しみたい。別途料金の〆の食材は、麺はサリ麺のほか、沖縄そば、うどん。ご飯は雑炊、カレーチーズリゾット、トマトリゾットがチョイス可能。その中で本郷さんが好んでオーダーするのがサリ麺。
本郷さん
インスタントでありながら、コシのある食感が楽しめるサリ麺がおすすめです。スープの旨味もたっぷり吸収します。生卵でとじれば辛さもマイルドになりますよ。茹でた状態で提供されるので、すぐに食べられるのもうれしいですね。