珍しい自然派ワインをリーズナブルに

左端のワインがドゥイエの名付け親、イタリアのコスタディラの通称ぐるぐるワイン

ドゥイエの自然派ワインは、8割がフランス産。そのほかは日本やヨーロッパのワインがセレクトされている。グラスワインは13種〜14種類(900〜1,300円)、ボトルワインは80種類(6,000〜9,000円)を用意。コースのペアリングでは料理の味を引き出す、主張しすぎないグラスワインがセレクトされているが、バータイムでは個性の強いグラスワインも出されている。

コースとペアリングコースを合わせても5皿のコースなら、食後酒をつけても1万円くらいの価格設定になっているので、ワインの価格も抑えめ。

「そうなると、どうしてもほかの飲食店と似通ったワインリストになりがち。うちは小さなインポーターの試飲会にも顔を出し、輸入本数が少なく、ドゥイエでしか飲めないワインを意識しています」とオーナーの菊地さん。リーズナブルで珍しい自然派ワインとの出合いが期待できそうだ。

ソムリエ野原さんの「私が恋した自然派ワイン」

野原さんが恋した自然派ワインは、マス・ド・レスカリダのソプレ・エ・ジョイヨス(グラス900円、ボトル5,500円)

ソムリエの野原さんに特別に思い入れのある自然派ワインを聞いたところ、マス・ド・レスカリダのソプレ・エ・ジョイヨスを指名。フランスのローヌ地方のガメイ種を使った赤ワインだ。

「入口はクラシックなワインだった私が、自然派ワインで初めておいしいと感じた一本です。これを飲んでみて、自然派ワインならではの体にじわりと染み込むような旨味を感じました。ガメイで造られていますが、ボージョレー・ヌーボーとは違い、なめらかでやわらかく消えていく印象です。

ワインの名前もすてきで、オクシタン語というフランスの古い言葉が使われています。ソプレ・エ・ジョイヨスは“やさしくて陽気”という意味。ワインの味わいをイメージさせてくれるネーミングも気に入っています」

年月とともに楽しみが増えていく店

奥には半個室もある

店内を奥までのぞくと、カウンターやテーブル席以外にカーテンで仕切った半個室もある。家族や友人と落ち着いた会食をしたいときにも利用できる。千葉シェフが立ち働く様子が見えるのもうれしいポイント。

角地に店を構える「ドゥイエ」。外装塗装はオーナーの菊地さんが営業の合間にこつこつ進めている

ドゥイエの外観をよく見ると、まだ看板ができていないし、アーチ窓の塗装も終わっていない。実は店名もオープンして2週間後にやっと決まったのだそう。しかし、この変わりゆく姿もドゥイエの魅力。今後はカウンターの角を立ち飲みバールにする予定があるという。一軒家の店内は、2階を利用することも検討されている。年月が経つ過程にも楽しさがありそうだ。

ビストロやパン屋が集まる西荻窪駅の南口は、おいしいもの巡りができる街。ドゥイエは、そんな楽しい街巡りで訪れたい店の筆頭になる日も近い。

※価格は税込

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

※営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、最新の情報はお店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

取材・文:岡本のぞみ
撮影:山田大輔