大規模な再開発にともない、しばらくこの地を離れていた大人たちから再びの注目を集める街・渋谷。だけど、いざ来てみたら食事処に迷ってしまうというケースもしばしば。そんな、“シブヤお久しぶり組”の迷える大人たちのため「食べログ グルメ著名人」で渋谷区初のCEO(Chief Eat Officer)を務める小宮山雄飛さんに渋谷の新&定番グルメスポットを両方教えてもらっちゃおう!というこの連載。
[定番]編25回目となる今回は、東京・代官山にある、魚介メニューのおいしい超人気ビストロ「Ata」をご案内します。
【大人の渋谷メシ・定番編】第25回「Ata」(アタ)
「食べログ ビストロ 百名店」にも選ばれている「Ata」。魚介をメインに扱うフレンチビストロとして、2012年のオープン以来、確固たる人気を誇る名店の「絶対外せない」メニューをご紹介します。
Ataと言えば、カウンターに座ってまず目につくのが、マグロの頭!
毎日豊洲から届くマグロの頭は、かなり大きいサイズにもかかわらず、毎日その日の分は売り切れてしまうというからすごい人気!
いつもあれこれ迷ってしまうメニューボード。お肉のメニューもどれもおいしいのですが、今回は「これぞAta」と言うべき、絶対外せない魚介メニューだけをチョイス。魚介フレンチのおいしさを堪能します。
冷たいガスパチョにコンフィした温かいイワシをのせた、Ataらしい遊び心を利かせた一皿。コンフィは食材を油に浸してじっくりと煮る料理法で、こちらのイワシは6時間ほどコンフィしているので、骨まで食べられるのも特徴。
トマトの酸味やキュウリのさっぱり感がおいしい冷たいガスパチョと、ホロホロの食感のイワシがよく合って美味。冷たいスープと温かい魚の組み合わせは一見意外ですが、魚介とトマトソースと考えれば実は相性ばっちり。コンフィしているので生臭さもまったくなく、実に考え抜かれた一皿です。
冷たいスープでありながらワインを合わせたくなる一品! ということで、ロゼを注文。Ataではおいしい魚介をツマミに白ワインを思いっきりゴクゴクいくのもおすすめですが、イワシのコンフィなど香ばしさのある料理には、すっきりかつ風味も強いロゼがよく合います。
続いてAtaの名物アイオリ。ムール貝、海老、イカはそれぞれ単品でも頼めますが、野菜と一緒に3種の魚介がどかっと盛り付けられた全部のせが、見た目も豪華でおすすめ。
数人で取り分けて楽しめます。
特製のアイオリソースはただのマヨネーズとは違い、生クリームとメレンゲを使っていて、フワフワトロトロの軽い舌触りが絶妙。隠し味にライムを加えていて、見た目以上にさっぱりと爽やかな味で、魚介との相性ばっちりです。
そしてメインは、こちらも名物ブイヤベース。今日はとにかく魚介を思う存分味わいます!
見てください、この色鮮やかなご褒美感! 食べ物を表現するのに絶対使ってはいけないベタな表現と分かりつつも「海の宝石箱や〜!」が頭に浮かんでしまいます(笑)。
毎日豊洲から届く新鮮な魚介を使用。メインには鯛を使うことが多いそう。スープは鯛の頭を1人前に2匹分ほど使い、オーブンでしっかりと焼いてからだしをとるので、魚の生臭さはなく旨味だけがしっかりと出ています。
一方、具材の魚は火を通し過ぎずに新鮮なプリプリ感が残っているのが見事。一皿の中に様々な旨味と食感が共存しています。
最近は若者にはいわゆる肉バルが人気ですが、魚介のおいしさをワインと共にゆっくりと楽しむ、そんなちょっと大人な時間を過ごせるのがこちらのお店の魅力。
夜な夜なグルメな(そしてお酒好きな)渋谷の大人が集う、ビストロの名店です。
※価格はすべて税込