プチパリ神楽坂の人気スイーツ

スイーツが並んだショーケースの奥に、ガラス張りになった厨房がある

夢のようにふわりと消えていく口どけのメレンゲ菓子で、すっかり神楽坂の人気者となったパティスリー「オー・メルベイユ・ドゥ・フレッド」。天井に輝くのは、フランスから取り寄せた、スワロフスキーと同じクリスタルを使ったシャンデリア。フランス語が行き交う店内は、“プチパリ”神楽坂の中でも、ひときわ本場の香りを感じさせてくれる。

日本大好きファミリーが伝えてくれるフランスの味と文化

店頭にカラフルに並べられたスイーツ。どれにしようかと迷うこと必至だ

北フランス、フランドル地方伝統のメレンゲ菓子「メルベイユ」を、苦心を重ねたレシピで唯一無二の口どけを持つスイーツにしたのは同店の創業者、フレデリック・ヴォカン氏。そのおいしさはたちまち多くの人を虜にし、今ではフランスのみならずイギリスやスイス、アメリカなど世界9カ国、40店舗を出店するまでとなった。

「オー・メルベイユ・ドゥ・フレッド」東京店はアジアで唯一の店舗。その店舗の陰の立役者が、東京店のディレクターを務めるアレキサンドル・トランキーニさんの家族だ。

左がチーフパティシエのマエさん、右がティーサロン・マネージャーのカリさん

「私たち家族はジュネーブに住んでいて、『オー・メルベイユ・ドゥ・フレッド』は前からよく知っていました。ヴォカン氏に会ったときに、日本への出店を勧めたんです。私たちは日本が大好きで、日本の人たちがフランスのお菓子や文化が大好きなことを知っていましたから。そうすると、ヴォカン氏から一緒に日本でやろうと。それで家族全員で来日し、お店をオープンすることになりました」と語ってくれたのは、ティールームのマネージャーを務める長女カリさん。

次女マエさんは、ジュネーブの店で2年間、パティシエを務めた「メルベイユ」菓子の達人。アレキサンドル さんはベーカリーとマネージメント、妻のガエルさんは全体のマネージメントを担うなど一家で店を盛り上げている。

ソファはすべてハンドメイドの特注品。カウンターに使われている大理石までフランスから取り寄せている

アレキサンドル さんとヴォカン氏が目指したのは、フランスにある本店をそのまま日本で再現すること。ティールームはサロン文化が華やかだった帝政フランス時代をイメージしている。ビロードのソファや豪華なシャンデリアまですべてが、同店が伝えたいフランスの文化を表している。

淡雪のような食べ心地は秘伝のレシピから

スイーツはすべて店内にあるキッチンで手作り。これも同店のこだわりだ

もちろん、味も目指すのはフランス本店と変わらぬおいしさ。チョコレートや小麦粉、バターといった材料は、できるだけ本店と同じものを使用している。

「卵と牛乳だけは鮮度が大切なので、日本のものを使っています。日本産はとても質が良くて、おいしいですね!」とカリさん。

土台となるメレンゲにホイップクリームをのせ、さらにメレンゲをのせクリーム覆っていく

パティシエたちも全員、本店で6ヶ月の研修を受けている。世界中どこで食べてもヴォカン氏が作り上げたおいしさを体験できるようにするためだ。それでも、日本はフランスと気候が違うため、なかなか本店と同じというわけにはいかない。

「日本はとても湿気が多く、メレンゲ菓子作りには難しい環境です。調理時間などを工夫して、本場の味を再現するようにしました」(カリさん)

どれにしよう? 素材とメレンゲとのバランスが絶妙なフレーバーの数々

エアリーで軽い口どけのメレンゲを、ふわふわに泡立てたホイップクリームだけで繋げたスイーツは、口の中でとろけていく至福の口どけ。フレーバーは伝統のチョコレート味のほかに、チェリーやナッツなど定番6種類と、季節限定のフレーバー1種類からなる。

「メルベイユ」 320円(税込)

いずれも素材の組み合わせのコンビネーションが絶妙で、それぞれに個性があり、今日はどれにしようかと迷うのも楽しい。一番人気は、チョコレートフレーバーのクリームに砕いたダークチョコレートをまぶした「メルベイユ」。ダークチョコレートのほろ苦さが菓子全体の甘さを引き締めている。

「アンクロワイヤブル」 320円(税込)

カリさんのおすすめは、“信じられない!”という意味の「アンクロワイヤブル」。スペキュロス味のクリームにホワイトチョコレートをまぶしている。

スペキュロス味とは、ベルギー伝統のクッキーのフレーバーで、シナモンやナツメグなどのスパイスが利いた味。このスパイスの味わいがアクセントになって、ちょっとクセになるおいしさだ。

「エキセントリック」 320円(税込)

ピンク色がカラフルな「エキセントリック」。シロップ漬けチェリーで味付けしたクリームにチェリー味のメレンゲを粒状にしたものをまぶしている。日本のサクランボよりコクのある甘さが大人っぽい味わいだ。