〈食べログ3.5以下のうまい店〉

巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー！ 食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。

食べログは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンした店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分にあり得るのだ。

点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちに楽しんでいるらしい。

そこで、グルメなあの人にお願いして、本当は教えたくない、とっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する企画。今回は塩沢航さんが「料理の精度が高い！」と絶賛する大衆酒場「ザ・ニューワールド」を案内してくれる。

教えてくれる人

塩沢航
小山薫堂事務所「N35」の放送作家。「オモウマい店」「アナザースカイ」「有吉くんの正直さんぽ」「ミライ☆モンスター」などを担当。師匠譲りの食いしん坊で「パレ・ド・Ｚ」「リモートシェフ」など食にまつわるコンテンツも多数手がける。コロナ禍において、YouTubeチャンネル「人気シェフのうちレシピ」をプロデュース。

若者が集う心斎橋パルコの地下2階「心斎橋ネオン食堂街」で独自の存在感を放つ

大阪を代表する繁華街でファッションやカルチャーの発信地のひとつ・心斎橋パルコ。この地下2階にある「心斎橋ネオン食堂街」は、新進気鋭の飲食店が25店舗ひしめき合う人気スポットだ。

その一角にある「ザ・ニューワールド」は、東京・代々木上原のモダンフレンチレストラン「sio」のオーナーシェフ鳥羽周作さんプロデュースのモダン居酒屋。なお、「sio」はミシュランガイド東京2020から3年連続で星を獲得するなど、今最も注目されているレストランのひとつだ。

「飛ぶ鳥を落とす勢いの鳥羽さんが新しいお店を開いたと聞いたので、足を運んでみました。鳥羽さんらしく、食堂や居酒屋メニューを隅々まで洗練していて驚きました」とこの店との出合いを語る塩沢さん。

「味にうるさい大人でも楽しめる居酒屋を目指しています」と語るのは店長の小山さん。若者が集う心斎橋パルコにありながら、落ち着いた世代でも楽しめるメニュー構成で、支持層は幅広い。

「とにかく料理の精度が高いので、創作小料理屋としても楽しめます。味が単調にならないよう、予想外の酸味を取り入れるなど飽きさせない工夫もさすがです」と塩沢さんもこの店に心酔しているようだ。

食べログ点数は3.22。2021年3月にオープンしたばかりゆえに、まだその存在を知られていないのかもしれない。今の料理界を牽引するシェフの味が気軽に楽しめる大衆居酒屋とは、果たしてどんなお店なのだろうか。

※点数は2022年5月時点のものです。

サバ缶をレストランクオリティに昇華させた名物料理

「もろみ味噌チーズ」（390円）などのスピードメニューから、お造りや茄子田楽、チキン南蛮などの一品料理まで幅広いメニュー構成の中で、名物と言われるのが「ニューワールドのサヴァ缶」だ。

缶詰の中には、ほぐしたサバの身をマヨネーズなどで和えタルタル状にして、その上にはコリアンダーの実、トレビス、玉ネギなどのサラダをトッピングしている。